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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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「こわれゆく女」


何度観てもどんと心の奥底に迫ってくる映画です。何度観ても泣けます。でも、感動したとかそういうことではなくって、あまりに繊細で生々しいのです。

ジョン・カサヴェテスの作品で、確か15年ぐらい前に、今はなき六本木のWAVEの地下にあったシネ・ヴィヴァンで観たのが初めて。ジョン・カサヴェテス特集をやっていて、年上の友人に「きっと気に入ると思うよ」とすすめられて、まとめて観た中のひとつ。

ひとことでいえば夫婦(とその周辺の人々)の愛の物語です。で、その中でピーター・フォーク扮する夫が夜勤明けで仕事仲間を連れてうちに戻ってくる。彼はおそらくイタリア移民という設定なんだろう、妻役のジーナ・ローランズがみんなにスパゲティ(トマトソース?)とバゲットと赤ワインを振る舞う。映画の終わりの方で、ジーナ・ローランズの父親が「わたしはスパゲティは大嫌いなんだ」なーんて言うのが、ひそかにおかしい。

ハンドカメラで撮ったような光の感じと、絶妙な間で入ってくる音楽も好き。そして、映画の間中ピーンと張りつめていたのが、最後の最後でふっとやわらかくなって、そこに希望が見いだせるのが、いいです。
by ricoricex | 2007-04-21 23:12 | 映画