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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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今、改めて、ガストロパブを確認する


今、改めて、ガストロパブを確認する_e0038047_22154697.jpg

先日、『Evening Standard』による“ロンドンのガストロパブ50選”(↓)にふれ、
https://ricorice.exblog.jp/32631286/
(オリジナル記事はこちら(↓))

イギリスの友人がプリント版『Evening Standard』を送ってくれて、
ウェブとプリントを比べてみたりして(↓)、

今一度、と改めて読み直した本の名は『The Gastro Pub Cookbook』。
トップの写真のもので、初版は2003年。私が買ったのは、2000年代後半、だったかと思います。


当時の私はガストロパブ、という言葉は知っていたものの、そこまで店舗も多くなく、
パブは本当に飲むところ、もしくは地方だとファミレス的なスポット、という認識で、
確かにおいしいところもあったけれど、家庭料理の延長のコンフォートフード、って感じでガストロノミーとは結びつかず、どうにもうまくイメージできなかったから、それでこの本を買ったんですよね。

今、改めて、ガストロパブを確認する_e0038047_22210339.jpg

今、改めて、ガストロパブを確認する_e0038047_22222609.jpg

ガストロパブの始まりは1991年、ロンドンの「The Eagle」から
(こちらでも触れてます(↓))。
https://ricorice.exblog.jp/32631286/

『The Gastro Pub Cookbook』は、イギリスの150のガストロパブと、cookbookとあるようにレシピを紹介した内容で、
読み直すと、当然、それにも言及してあり、そしていかに広まったか、どういう立ち位置なのか、なども記してあり、ああ、そうだったな、そういうことか、と再確認。
今、改めて、ガストロパブを確認する_e0038047_22204605.jpg

そして、思い出しました。
私は、『The Gastro Pub Cookbook』によって、
その視覚情報によって、ガストロパブとはこういうものなのか、というのがわかった、ってことを。

料理もインテリアも、シンプルナチュラル、なんですね。
今のイギリスのパブは、いかにも古いところ、それがウリのところ、以外は、
ガストロパブの影響でしょう、そのことで料理もいいんだよ!と暗黙のうちにアピールしてるのでしょう、ウッディでナチュラルな感じ、なんですよね。
かつて(20世紀。。。)のキャトルセゾンとか私の部屋とかのカントリー、っぽい、というか。
日本で、今もってパブとしてイメージされる厚手の擦り切れた絨毯、飴色の重厚そうな家具、とかではないんですよね。

イギリス料理の伝統を踏まえた上で、シンプルでナチュラルなものを打ち出したモダンブリティッシュもガストロパブと同時期ですから、容れ物(パブかレストランか)の違いで、同じ文脈から誕生したんだなぁ、というのがよくわかります。
ちなみに、1994年にオープンしたモダンブリティッシュの旗手「St John」はこんなお店です(↓)。
https://ricorice.exblog.jp/32687084/
https://ricorice.exblog.jp/27084901/


私は音楽が好きで(オタク/アノラックとも言う)、かねがね一世代を経て、俯瞰で眺められ相対的に評価できるなぁ、と思っていて、
今なら1990年代、Oasisをはじめブリットポップのバンドの再結成や再評価、ってのもわかる気がするのです。

同じことは他のジャンルでも言え、食の世界でも、ガストロパブとかモダンブリティッシュとかの新しい概念の料理/飲食店は、今、見直すと、そのときの潮流や現在までの動きがよくわかるなぁ、と感じます。

by ricoricex | 2024-09-09 00:00 |