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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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ポール・ハリウッドの一冊『British Baking』


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ポール・ハリウッド/Paul Hollywoodは,イギリスの料理家。
ベイキング(パンやお菓子作り)を得意とし、
何より、イギリスの超人気テレビ番組『The Great British Bake Off』の審査員として有名です。
放送開始から、審査員/司会者で唯一、継続して出演し続けている人物でもあります。


何冊か本も出していて(この手の有名人の割には、少ない)(↓)、

まず手に取る、としたら、『How to Bake』(2012年)、『Bake』(2022年)あたりかな、と思うのですが、
私が蔵書として手元においているのは、『Paul Hollywood’s British Baking』(2014年)。
この記事のトップの写真がそれです。
出版されて、すぐに購入しました。

タイトルにあるように、イギリスのベイキングを扱った料理本。
といっても、レシピがメインの本ですから、そのお菓子やパンについての解説や背景には、そんなに言及していません。

ポール・ハリウッドの一冊『British Baking』_e0038047_17261450.jpg
紹介されているお菓子やパンは92種類。
日本の出版社なら、おそらくたいていは、100種類以上にしましょう、っていうような気がします。
多い方がお得感につながる、って頭で、ね。
それがいい場合もあれば、帳尻合わせをしたがために世界観がぶち壊しになる場合もあります。

で、イギリスを、イングランド南西部、イングラン南&南東部、ミッドランズ、イングランド北部、ウェールズ、アイルランド、スコットランド、
の7エリアに分け、それぞれのエリアの特徴、そして、該当するお菓子やパンを振り分け掲載する、という構成です。
取り上げるお菓子やパン全部で92、というのは数としては多くなく、あれっ、なんであのお菓子が入ってないの? エリアとカテゴリー、全体のバランスをとるために、あ〜、このお菓子やパンを入れたんだ〜、ってのもあって、それも興味深い。

ポール・ハリウッドの一冊『British Baking』_e0038047_17182301.jpg
おもしろいな、と思ったのが、こういう構成であれば、通常、目次は、
エリア、各エリアのお菓子やパン、が羅列してあるのですが、それはなくって、エリアのみ。
そして、カテゴリー別レシピ索引がきてるんです。

カテゴリーは、
・セイヴォリー(甘くないもの)/Savoury pies, pasties & pugddings
・スコーン&パンケーキ/Scones, griddle scones & pancakes
・パン/Breads
・菓子パン/Sweet yeasted breads
・パイ&プディング/Sweet pies & puddings
・タルト//Sweet tarts & pastries
・ケーキ/Caks & teabreads
・ビスケット/Biscuits & traybakes
で、この区分、日本のお菓子の分類から見ると、???かもしれませんが、納得ですねぇ。
説明するだけで本1冊になりそうなので、省きますが、きれいに分類できない、んです。
工程や食べる状況などの類似性から、こういう分け方になっています。

ポール・ハリウッドの一冊『British Baking』_e0038047_17182742.jpg
このように、巻頭にカテゴリー別索引が来ていますが、(総合)索引もちゃんと巻末にあります。
何を、どう、は言いませんが、イギリスのクッカリーブックはこれが王道。
拙著『イギリス菓子図鑑』(企画・構成・編集・執筆・校正・菓子製作・スタイリング、と撮影・デザインこそ意図を伝え発注したものの、自作自演です。。。)をはじめ、

私が手がける本は、このやり方が少なくない。
この索引、本当に大変なんです。索引の校正だけで1日かかる。。。

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よくできていて、眺めているだけで豊かな気持ちになれる本です。
デザイン、写真、イラストもいいですし、紙(質)も、写真に合ってます。
大扉、はじめに、が小麦畑にいるポール・ハリウッドで、
ああ、そうなの、小麦粉をはじめ、穀類はイギリスのベイキングの要なんですよ!


日本でオーセンティックにできないのは、穀類、そして乳製品など、主材料がまったく違うから。
もちろん、今の時代、日本にいながら揃えることはできるのでしょうが、とんでもない金額になるし、そもそもイギリスのベイキングはホームベイキングが基本で、日常のコージーを演出する気軽なもの。豪華なものではないですし。
加えて、日本人の嗜好はあるわけで、本国にリスペクトを払い、理解した上で、軸をぶらさず、日本人の嗜好に合ったものを作ればいいのでは、というのがイギリス菓子やパンを作るにあたっての、私のスタンスです。
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by ricoricex | 2024-08-09 00:00 |