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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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『いつもよりも具体的な本づくりの話を。』


『いつもよりも具体的な本づくりの話を。』_e0038047_20200818.jpg


本当は、『自分思い上がってました日記』を読みたかったんだけど、
図書館に蔵書がなかったので、同じ著者による、そのうち読もうと思っていた本を借りてきました。

タイトルにあるとおり、“具体的”な話。
カバー袖には、“編集経験がない読者を想定し、ゼロから伝えるつもりで書いた”“まったくの初心者でも読み進めることができる”とあって、なんとなくわかりはするでしょうが、
本を作る(まとめ本や雑誌でなく、一から企画を立てて)、編集者(ダイレクターという方がいいかもしれない。いちスタッフとしてでなく統括する立場として、なので)として、ある程度やってないと、実際のところ、ピンとこない内容が多い気がします。
でも、それでいいし、そういう類の本でしょう。

非常によく考えて作ってあります。
シリーズイベントをベースに、本作りの流れに沿わせたもので、こういう編集の仕方もあるんだな〜(作る方はさぞ大変だったかと。。。)。
お金や契約、本を出した後のプロモーション、失敗談があるのがいい。
掲載していない人の話もあったようで、まんべんなく、でないのもいい
(編集とは、思い切って削ぎ落とす作業だとも、私は思っているから)。

後書きの内輪感っぽいのが、せっかくここまできてなんだかなぁ、な気持ちになり(内輪ノリ、苦手)、
文体が、そこはかとなくではあるんだけど、微妙に好きな感じではない(なんでだろう?)。
そして地の文の書体もあんまりしっくりこないのだけれど、
こういうちょっと引っかかる感じが、この本の世界に自分を投入しないで、客観性を保てるのかもなぁ、そういう狙い?と思ってしまいました。
書いてあることそのものは、うんうん、そうだよなぁ、ってことが散りばめられていますから。


なんでもそうだけど、技術的なものは世に溢れているけれど、
それは基礎体力として必要ではあるけれど、ときに否定してもそこを超えるもの、
理論化した方程式みたいなものからこぼれてしまう、言語化が非常にしづらい、心構えというか心意気、みたいなものが実のところ、とても大事なんじゃないかって、私がかねがね感じていることに背中を押してもらっている気分。

ここで書いていることも、もう過去のものなんだだけれど、それはそれとして、人様の仕事に対する具体的な話(技術ではなく)って、見る機会がないから、やっぱり新鮮だし納得できることも多いし(励みになる!)、
手元においておこう。買おう。
編集者としての、私のバイブル『編集バカとバカ編集』の隣に立てかけるとしよう。


私は基本、出版編集できているのですが、20代後半の数年、紙もの(パンフレットとかポスターとか冊子とか)の広告の制作会社にいたことがあって、視点や考え方をガラッと変える必要があり、これ、大きなプラスだったんですよね。
この本を読みながら、登場する人が版元の編集者ってこともあり(元、含む)、
編集プロダクション → 広告の制作会社 → フリーランス、ときた私は、版元の編集者、はたまた営業や販売の部署は経験したことがないので、身を置いてみたいなぁ、と思ってしまいました。

by ricoricex | 2024-07-19 00:00 |