環瀬戸内海文化圏を掘りたいから、がその理由ですが、
やっぱり、どうにもおもしろくって、
松本清張祭りが、ゆうに1か月以上続いています。
小説なら、長いもの、の気分ではなく、短編をちょこちょこ。
あ〜、好きだな〜、この装丁。
特色も使ってるし、紙も厳選されたようだし、意気込みというか、熱意が静かに伝わってきます。
タイトルの「空白の意匠」の字間をもう少しあけたい、けど、
「松本清張短編全集」とあるように全部で11冊あって、そのうちの1冊。
ということは、他と揃えていてこうなっているのかもしれない。
裏カバーもいいな。内容の説明の縦組みもいいし、
たいていはバーコードで残念な気持ちになるけれど、
それもうまく組み込んでいる感じ。
カバー袖もいい。
左右逆でも、おもしろいかもしれない、と思ってしまいました。
中も、エディトリアルデザイン(ブックデザイン)も好きですね〜。
行間をもう1〜2歯あけたいけど、これはちょっとわからない。
実際にやってみたら、今のままでいいような気もします。
・・・
複数の出版社から短編集が出ていて、
装丁、もですが、セレクトも違って、それも興味深い。
この『松本清張短編全集』は光文社のもので、カバー袖からほかの全集の収録作品を見ていても、
もっとも全部読んでいるわけではないですし、タイトルだけで内容が思い出せないものもありますし、
それでも何かテーマをきっちり決めて、それぞれに入れる作品を決めているわけではなさそうで、
それがいいかも、と思いました。あと、たくさんの作品を詰め込んでいないのも。
というのも、テーマが同じ/似通っていると、トーンが似通るのはいいのですが、
それが重いものばかりだと、疲れちゃうんですよね。作品数が多いと、余計に。
なので、いろんなタイプがある方が、個人的には楽しいし、飽きない。
『松本清張短編全集』は。松本清張による「あとがき」もいいです。
ちょっと気になったのが、解説が、収録作品に関係なく、松本清張そのものだったりで、こういうやり方もありか〜、と思ってしまいました。
意表を突かれたような、不思議な感じはしますが、本人による「あとがき」がある以上、収録作品に言及しなくて、するのは野暮なのかもしれません。
『松本清張短編全集 10』、肝心の小説は、「老春」がいいですねぇ。
もちろん個人差はあるけれど、いくつになっても、煩悩は一生ですよ、それが本能的な欲求に直結しているものなら尚更。