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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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『松本清張短編全集 10』


『松本清張短編全集 10』_e0038047_18093893.jpg






環瀬戸内海文化圏を掘りたいから、がその理由ですが、
やっぱり、どうにもおもしろくって、
松本清張祭りが、ゆうに1か月以上続いています。
小説なら、長いもの、の気分ではなく、短編をちょこちょこ。

『松本清張短編全集 10』_e0038047_18094490.jpg
図書館で、ふと背表紙に目が留まったのが、これ。
あ〜、好きだな〜、この装丁。
特色も使ってるし、紙も厳選されたようだし、意気込みというか、熱意が静かに伝わってきます。

タイトルの「空白の意匠」の字間をもう少しあけたい、けど、
「松本清張短編全集」とあるように全部で11冊あって、そのうちの1冊。
ということは、他と揃えていてこうなっているのかもしれない。

裏カバーもいいな。内容の説明の縦組みもいいし、
たいていはバーコードで残念な気持ちになるけれど、
それもうまく組み込んでいる感じ。
『松本清張短編全集 10』_e0038047_18094154.jpg


カバー袖もいい。
左右逆でも、おもしろいかもしれない、と思ってしまいました。

中も、エディトリアルデザイン(ブックデザイン)も好きですね〜。
行間をもう1〜2歯あけたいけど、これはちょっとわからない。
実際にやってみたら、今のままでいいような気もします。

・・・

複数の出版社から短編集が出ていて、
装丁、もですが、セレクトも違って、それも興味深い。
この『松本清張短編全集』は光文社のもので、カバー袖からほかの全集の収録作品を見ていても、
もっとも全部読んでいるわけではないですし、タイトルだけで内容が思い出せないものもありますし、
それでも何かテーマをきっちり決めて、それぞれに入れる作品を決めているわけではなさそうで、
それがいいかも、と思いました。あと、たくさんの作品を詰め込んでいないのも。

というのも、テーマが同じ/似通っていると、トーンが似通るのはいいのですが、
それが重いものばかりだと、疲れちゃうんですよね。作品数が多いと、余計に。
なので、いろんなタイプがある方が、個人的には楽しいし、飽きない。

『松本清張短編全集』は。松本清張による「あとがき」もいいです。
ちょっと気になったのが、解説が、収録作品に関係なく、松本清張そのものだったりで、こういうやり方もありか〜、と思ってしまいました。
意表を突かれたような、不思議な感じはしますが、本人による「あとがき」がある以上、収録作品に言及しなくて、するのは野暮なのかもしれません。

『松本清張短編全集 10』、肝心の小説は、「老春」がいいですねぇ。
もちろん個人差はあるけれど、いくつになっても、煩悩は一生ですよ、それが本能的な欲求に直結しているものなら尚更。


by ricoricex | 2024-06-24 00:00 |