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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex
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光と影の喫茶店


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帰省しました。

山口市で、目が向いたものは、
“甘いもんと喫茶店”
でした。

まずはこれかな、
で、銘菓とされる“外郎”について、綴りました(↓)。

今回は、喫茶店を。

・・・

NYタイムズの記事を読んで、もっとも、あっ、これをピックアップするんだ、と感じたのはコーヒーショップのくだりでした。
確かに、見かけるようになりました、JR山口駅を、県庁に向かって北上、途中のアーケード街の界隈で。

でも、私が目を閉じて真っ先に思い出すのは、今どきのコーヒーショップではなく、昔ながらの喫茶店、なんですよね。
事実、先のアーケード街を過ぎて、県道204号(旧・国道9号)を超えてパークロードに入ると、
そしてパークロードの西に並行する、一の坂川沿いには、懐かしい喫茶店が今も点在します。

なぜ健在なのか。理由は明快。
左手の市役所(建て替え中)に始まり、パークロードの突き当たりの県庁までの間には、官庁関係が集まっているんです。なので、喫茶店、しかも軽食も出す、というわけです。
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パークロード

ここであげるお店は、ほとんどが、私が高校生の頃(1984〜87年)からすでにありました。

「シェフ」「ノーマ」健在。
「ノーマ」を曲がったところには、「ズッカ」というナチュラル系のお店も(ここは、新しい)。
以前は、中国茶のお店もあったのですが(ランチが食べられた)、移転したようです。
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「シェフ」

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「ノーマ」

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「ズッカ」


そして、そのままパークロードを北上すると、「クルミ」。
ここは閉店する/した、模様。。。
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県庁の手前で右に曲がり、少し歩くと、一の坂川にぶつかります。
ちなみに、一の坂川は京都の鴨川を模して作られ(で合ってる?)、桜と蛍の名所です。ツツジもきれいです。
私は、ここの桜が山口市内ではいちばん好きですねぇ。
私は桜は、特に夜は怖いのですが、ここのは自然な感じで、いいんですよ。風が吹いて、花びらが川にはらはらと舞う様子もいいし。
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一の坂川沿いにも喫茶店はあり、パークロードよりも、こちらの方が、軽食も出すにせよ、喫茶店然としている、かな。
パークロード沿いも一の坂川沿いも、いずれもお店があるのは、東側(と断言していいのかな?)。

一の坂川を、南下して、「ラ・セーヌ」「琥珀」「むくの木」。
「ラ・セーヌ」はギャラリーがあって、そこの飲食部門、って感じです。
今日はお休み?と思いきや、「むくの木」も閉店したようで。。。
「むくの木」は、この店構えがなかなかいいので、惜しいなぁ。誰か、受け継いで欲しいなぁ。。。
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「ラ・セーヌ」

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「琥珀」

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「むくの木」

・・・

行ったことあるお店がほとんどとはいえ、回数としては数えるほど。
どこももうずいぶん前で、記憶がごっちゃになっています。

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高校生の頃は、パークロードと一の坂川の間にある県立図書館にしょっちゅう来てましたが、喫茶店でお茶するってことはなかったですし、
食べる、のであれば、ちょっと足を伸ばして、デパート「ちまきや」(現・「井筒屋」)別館2階の「どんどん」で学割うどんを食べてましたし(当時250円とかだった?)。
(さらに余談で、重松清の『きよしこ』を読んだときに、ここで描かれている情景に、この県立図書館がまざまざと思い出されて仕方がなかった)


・・・

今日は、「琥珀」でひと休みしましょう。

扉を開けると、いきなり、タバコのにおい。
ここは喫煙OK。
私は習慣化しない喫煙者(といってもほとんど吸わない)ですから、少し漂うくらいは気にならないのですが、ここは、なかなかです。今どき珍しい。
店内が、よく言えば霞みがかっている、実際はそうじゃないのに埃っぽさ(黄砂の中にいる感じ)を感じさせるのは、古びているせい? タバコのせい? 両方、かなぁ。

奥にテーブル席、左側にカウンター。席は半分くらい埋まっていて、柔和そうなマスターが忙しそうにコーヒーを淹れ、女性が注文をとり、運び。
入ってすぐの右手の席に案内されます。

ここ、当たり席!
窓から陽が差し込み、風が揺れると光も揺れる。足元を影がゆらゆら。
これだけで、OKな気持ちになります。
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プリンセットを頼みます。
ノスタルジックなカップ&ソーサーで出てきたブレンドコーヒーは、好みですねぇ。
ものすごく上質な豆、とかではないと思うのですが、丁寧に淹れている感じがします。
そして、私はUCC(上島珈琲)が染み付いているんだなぁ、とも感じました。
外の看板にUCCも掲げてあって、今もかどうかは分かりませんが、その系譜でしょうし、私は、母が喫茶店で働いていて、そこもUCCだったし、子供の頃、周囲はUCC系の喫茶店をよく目にしたので、なじんでいるんですよね。
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そして、プリン。
最初、注文を間違えたのか、と思いました。
それほど一般的なプリンとかけ離れています。
しっかりかたい、プリンというよりはクレーム・ブリュレのようで、そこにバニラアイスクリームとたっぷりのカラメル。
しっかりと舌にまとわりつき、こっくりとして、これはクセになります。
食べているとコーヒーの苦さが欲しくなり、コーヒーを飲むと、今度はこのプリンのしつこい甘さが欲しくなる。
こんな個性的なプリン、初めて食べました。
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土曜日だったからか、常連さんと思しき姿はほとんどなく、若い人が多いのにちょっと驚きました。
聞くともなく入ったきた会話から、隣の席は門司(福岡県北九州市)から、みたい。
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そのことを後で身内に言うと
「そうなんよ。あの辺の喫茶店めがけてわざわざ車で来るみたいなんよ」
なんと! 純喫茶ブーム、ってことなのでしょうか。

・・・

パークロード&一の坂川あたりはチェーン店がないのがいいなぁ、と個人的には思っています。どちらも景観がよくって、そこにチェーン店が入ると、興醒めしちゃう、というか。。。どこも一緒じゃん、になっちゃう。
チェーン店を否定しているわけではなくって、ロケーションの問題で、便利でスピーディ、勝手がわかる、がチェーン店のよさですから、ターミナル駅や繁華街とかにあると、私も安心します。

なので、エリアは違うのですが、YCAM(山口情報芸術センター)隣接地にスターバックスができたときは、ただただがっかり。
YCAMは映画とかイベントとかおもしろくって(とんがった、とも言える)、『AKIRA』だの『さらば青春の光』だのマシュー・バーニーだの、私は映画上映に合わせて帰省したりもするのですが、そこにチェーン店が、ってのは、なんでそんなつまんないことするかなぁ、と感じたのです。
NYタイムズが報じていたように、地元にいい感じのコーヒーショップもあるのなら、そういうところが出店すればよかったのに。
それこそ喫茶室を持っている外郎のお店が洋の要素をプラスして出店してもよかったのに(だとしたら、「本多屋」だなぁ)。

これに限らず、共通認識のなんとなくいいとされるもの、名前が知れているものは安全パイでしょうが、すでにそこにあるものを見つけて育てる、ってことをすればいいのに、それがそこの持ち味になるのに、っていつも思っちゃうんですよね。

・・・

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パークロード&一の坂川で、喫茶店だけでなく、お茶ができるところ、でいうと、県立美術館も外せません。
今回の帰省で立ち寄ってないので、記憶でものを言います。今は違っていたらごめんなさい。

県立美術館のティールームは入って正面にあります。
横に広がる造りで、スロープがあってその向こう。
そして、その向こうには大きな窓があり、裏の庭の緑、さらに奥にある亀山公園(小さな山です)が、一幅の絵画のようで、美しい。
コーヒーの味うんぬんでなく、この環境がいいんですよね。
喫茶室の利用だけだと、入館料はかかりませんし、ね。
なんとなくこんな感じ、というのをこちらでつかんでください(↓)。



sat 02/03/24

by ricoricex | 2024-03-20 00:00 | 旅の記憶