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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex
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外郎は山口、“生”が極上


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帰省しました。

山口市で、自分は何に目が向くのだろう、と思ったら、
“甘いもんと喫茶店”
でした。

“甘いもん”は、銘菓、とされるものをまずは取り上げるとしましょう。
それは外郎です。

知名度は、名古屋や小田原に劣ります。
でも、味は、というと、好みがあること、私の体に染みついているのを大前提でいうと、
断然、山口の外郎、です。

というかですね、なぜ同じ名称なの?と思うほど、まったく別物。
材料自体が違います。山口の外郎は米粉ではなく、わらび粉を使います。

ぷるんとして、“おっとり”とも表現される上品な甘さが、山口の外郎にはあります。
見た目は羊羹のようで、でも、みっちり甘いものではなく、
水羊羹に近いけれど、食感はまったく違う。
わらび餅を餡子で作ったような(当然、か。。。)。

このあたりは、検索すれば簡単に出てくる、と思います。
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「御堀堂」にあった由来

・・・

さて、と。
せっかくなので、地元の視点を加えた情報を公開しましょう。
ただ、高校生まで&帰省するたびの多少なりのアップデイトですから、リアルに地元に腰を下ろしている人の感覚はまた違うかと。

外郎は、山口市内のたいていの和菓子屋で作っています。
中でも、専門/メインで作っていて、有名どころは3軒。

・豆子郎
・御堀堂
・本多屋

・豆子郎
https://toushirou.info
初めて/なじみのない人が食べるのに向いているんじゃないかな。
山口の外郎ってこうなんだ、ってわかりやすい味。

そして、お膝元の山口市、は違うかもしれませんが、県内でもっとも知名度があるのがここ。
なんでというと、TVでCMがよく流れていたんですね。CMソングは今もそらで歌える(笑)。
認識、という意味合いでは、“山口の外郎”にもっとも大きく貢献しているのがここであることに、異論はないでしょう。

CMに伝われていた(今も?)、テーマソングの「豆子郎さん通りゃんせ」は公式サイトから聞けます(↓)。
https://toushirou.info/song
私に刻まれているのはノーマルバージョンの方で、記憶にあるのは2番、“八つお山は〜”までが流れていたか、と。
この歌、山口市内の名所が盛り込んであって、ちなみに1番の“八坂さん”とは“八坂神社”、祇園祭が行われる“お祇園さま”です。京都を模した町づくりがなされた所以です。

お店も県内に点在。
JR山口駅からだと、下竪小路の大内館店が一応、徒歩圏内。入ったことはないのですが(比較的、新しい店舗、だと思う)。
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そして、JR山口駅からも行こうと思えば歩いて行けなくはない(1kmはあると思う)、
大内の本店は甘味処も備わっていて、庭園もあって、雰囲気がよかった、記憶です。。。
桜もきれいだった、ような。。。

あと、バイパス沿いにある吉敷店は、ここ、いつからあるんだろう(40年以上経ってる? っと、「グリーンパーク」(洋菓子店)だったところ?)斜めの屋根が印象的な建物で、店によって統一感がないのがおもしろいなぁ、って眺めています。
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(以前は、横浜・あざみ野にも店舗がありまして。出身者が多いから、って聞いたような。。。)

ちなみに、豆子郎は“とうしろう”と読みます。
素人(しろうと)をひっくり返した読み方が名前の由来、という、嘘のような本当の話です。

だから、だと思うのですが、CMで登場したのもそうでしたし、紙袋などにも坊や(小僧)が描かれています。
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この紙袋、上部が角R(丸)になっている! 些細なことだけど、これはいい。紙袋の角って当たるんですよね

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小さい買い物なら、厚手のレジ袋。ここにも坊やはいます

・御堀堂
https://www.mihorido.com
地元の人間が進物とかで使うのがここ。味含め、信頼度が高い。支店も数店。
“みほりどう”と読みます。
JR山口駅から駅を背に、駅通りを左手に歩いて程なく、路地にちょっと入ったところにあります。
いかにも老舗の和菓子屋っぽい雰囲気があるのは、実は、この本店ではなくって、湯田店ですかねぇ。
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パッケージ/デザインも老舗を感じさせる、どっしりとした感じ

・本多屋
https://hondaya.co.jp
数年前に代替わりしたのかなぁ、パッケージとかがモダン和菓子な感じに変わりました。
以前どうだったかな〜、とすぐには思い出せなかったのですが、去年の年明けに頂戴して食べたときのメモが出てきました。
味は、ぷるん度が増して、甘さが穏やかになった、サイズも今の時代に沿わせて、一口二口で食べ切れる大きさに変更した、ようだ、と。
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現在進行形を知りたいなら、ここだと思います。
本店は、JR山口駅から駅を背に、駅通りを左手にすぐのところ。このお店では、お茶もできます。
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・・・

歩くとよくわかるのですが、山口市は和菓子屋が多いんですね。
金沢や松江もそうですが、文化ごとが好きなお殿様がいたところは、お茶文化が残り、結果、和菓子をはじめ菓子屋が多いんだろうなぁ、と感じます。

で、前述したように、山口市内の他の和菓子屋でも、たいてい外郎を作っています。
たとえば、中市商店街(アーケード街)の、「井筒屋」(デパート、かつての「ちまきや」)を過ぎてすぐの、立派な店構えの「山陰堂」もですし、
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⚪︎⚪︎小路沿いにある小ぢんまりとしたところでも。
JR山口駅近くの、和菓子屋というよりも駄菓子屋のような店構えの「兄弟堂」でも。
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この記事では、JR山口駅から歩いて行ける店舗を取り上げていますが、それ以外の、温泉地の湯田でも、ちょっと郊外でも。


地元で買うなら、通常の外郎、もいいのですが、真空パックをしない “生”がとにかく極上。
圧がない分、ぷるんとした食感がのびやかで、山口の外郎の特徴である、淡い上品な甘さが、さらに際立ちます。
“生”というだけあって、日持ちしません。2〜3日かな。
すぐに食べるのであれば、私は断然これですねぇ。

どこの店が、というのは、もう完全に好み。
素直なおいしさの「豆子郎」もいいし、どっしりとした歴史と存在感を感じさせる「御堀堂」もいいし。
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「豆子郎」の“生絹”(生外郎)

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「御堀堂」の白(これがベーシック)

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「御堀堂」の黒(黒糖)

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「御堀堂」の抹茶

今回の帰省で、私、初めて「兄弟堂」に入りまして(お店の存在はずっと認識していたのですが。。。まあ、住んでない、ってのはそんなもんです)、
ここの生外郎をいたく気に入ってしまいました。
やさしく清らかで、すーっと体に甘さが入っていくようで。感動!
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余談ながら、「兄弟堂」には他にもいろいろと気になるものがあって、
特に、ショーウィンドー越しにあった、いちご大福に心を奪われてしまいました。
見た目も端正なかわいらしさがあって、味も間違いないに違いない!
と確信したものの、この後まだ歩くことを考えると、買えず。。。
(後で、そのことを身内に話したら、ここのは最高!と言ってました。次回は買って食べよう)
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このいちご大福もですが、生外郎も、いわゆる“お取り寄せ”みたいなのはできない、やっていないと思います(通常の外郎はできます)。
そして、それでいいと私は思っています。
山口宇部空港やJR新山口駅でも買えますし。

わざわざそこに行かないと食べられないものがあっていいじゃない。
そもそも、その土地のもの、お店のものって、本来そういうもんじゃないの、かなぁ。
食べ物ってただ食べるだけじゃない。その向こうにある文化とか歴史とかを丸ごと体感して、初めて味わえることもあるし。
なので、説得されたり、気弱になったりして、生外郎を“お取り寄せ”する舵切りをしないでくださいね。

・・・

外郎、掘りたいんですよねぇ。
名古屋、小田原、徳島、京都、神戸をはじめ、大分・中津や宮崎にもあるらしく、材料や形状も違ったり。。。
なんで、エリアによってこうも違うのでしょうか。


sat 02/03/24

by ricoricex | 2024-03-12 00:00 | 旅の記憶