人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

なぜロンドンでwagyuが、(一部で、とはいえ)もてはやされているのか


なぜロンドンでwagyuが、(一部で、とはいえ)もてはやされているのか_e0038047_13410984.jpg

やっと気づく。
何事も、物事は寄るだけでなく、引いたり視点を変えたりしてみないとなぁ。

10月20日、ロンドンに「新橋田村町 麤皮(あらがわ)」海外初出店のお店が登場し、
ステーキの値段は£900(!)ってことで、メディアで取り上げられ、そのひとつがこれ(↓)。


私のブログでもピックアップし(↓)、
https://ricorice.exblog.jp/30467913/
ここでも綴ったように、イギリス人はそもそもchewyな赤身肉を好むし、
サステナビリティの観点から牛肉は敬遠される傾向にあるし(実際に消費は減っている。まあ、別の理由もあるようですが(↓))、
https://karapaia.com/archives/52326890.html

時代とエリアの嗜好に逆行してるんじゃないのかなぁ、と思ったのですが、
あっ、そこじゃない、そういうことか!と。

ロンドンにお店をオープンするからといって、イギリス人がターゲットではない。

おそらく、イギリス人の嗜好は上記で間違ってはいないでしょう。今もwagyuは一般的なイギリス人の好みではない、と。
しかし、£900のwagyuステーキを食べる大半はイギリス人ではない、ということ。
普通の人は、まず行けない。
もちろん中にはスーパーリッチな人もいるでしょうが、
こういうお店の顧客は、世界の富裕層なんですよね。そこはロンドン、世界をマーケットにできるんですよね。

ターゲットにしている層にとっては、そもそも彼ら自身が好む味/嗜好は重要ではない。
超金持ちのトレンドセッターは新しいものを求めていて、赤身肉などとは全然違う観点で高級とされるwagyu、そこを彼らに訴えたいのか、と。
(おそらく)政府の後押しなどもあるのでしょう、10年ほど前からハロッズのフードホールでwagyuを売っているし、
どれどれ、これは食べてみましょう!ってとこじゃないのかな、味云々じゃなくってね(否定しているわけではありません)。
世界の美味しいものを知りたい、食べたい、お金に糸目はつけない、そういう人たちにこそアピールする狙いか、と。

だったら、値段は高い方がいいよね、高ければ高い方がいいよね。より価値があると思えるもの。

・・・

以下、参考として、
3年前の状況(↓)と、現在の状況とwagyuの定義など(↓↓)。



by ricoricex | 2023-11-20 00:00 | イギリスの食ニュース