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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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『楽天少女通ります』


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田辺聖子、すごいわ。。。
エッセイ(風?)、短編(↓)に続いて読む。


『楽天少女通ります』は、日本経済新聞に連載された「私の履歴書」を書籍化したもので、
個人の歴史とともに、時代の変遷、街の移り変わり、の記録としても重要。方言を織り交ぜた文体も、口語ままではなく、その落とし所や使う箇所の目配せ。
かつ、作家としての矜持、他の作家への視点、自分とは違うときは、相手に敬意を払いつつ、私はこう考える、こう思う、を言っていて、その理由も名言。

この人は信用できる。

自分のことを、軍国少女だった、というのも然り。
軍国少女だったのが、よかった、というわけではない。
今のこの時代を意識して、本当はこうだった、みたいな言い訳というか後付けみたいなことを言いがちだけど、そんなことをしない、その姿勢が、ね。

しかも、これがこの人のもっともすごいところであり、それゆえにそのすごさが見逃されがちなんだけど、軽やかな筆致で、読みやすいのに、唸ってしまう。
もっともらしいマジメな顔して滔滔と綴る方が、よっぽどラクなんだよ、ほんとに。

プロの仕事だ!

・・・

ときどき、私のところにすら、「ライターになりたいんですけど」と言ってくる人がいる。
確かに、一応、商業ライターとしての仕事はしてる。
ただ、私の資質としては編集者かもしれなくって、向き不向きはわからないけれど、やってていちばん楽しいのは、企画の青写真を描いているときだから。細かいことよりも大枠を考え、ぶっ壊してやる!と息巻いてるときの方が俄然嬉々としている。
なので、自分が実践できているかどうかはおいておいて、編集者としての視点でいうと、はっきり言って、書くのが好きな人はライターに向いていない、というのが私見。

なぜか。
書くのが好きな人は近視眼的で、自己愛が軸にあるから。
対象を客観視できないと、人に読ませる文章は書けない、と思う。
加えて、商業ライターの仕事は自分が書きたいものを書くわけじゃないし、そもそも書くことは全体の5〜10%くらい、ってのが私の実感。調べたり、裏をとったり、推敲したり、校正したり、の方がよっぽど時間がかかる。

「ライターって仕事は、資格も何もいらないから、自分で名乗った時点からライターですよ」
と言うと不服そうな顔をされる。
「書きたいことがあるなら、今の時代、ソーシャルメディアでいくらでも発信できるじゃないですか」
と言うと、ますます険しい顔になる。

作家になるのはむずかしいけれど、ライターなら簡単だろう。
まずはライターとして生計を立てたい、ってことだろうけど、さて、どうかな。そもそも、そんなもん、誰がわかる?
(以前、新聞社の人が、「もし会社がダメになったら、ライターくらいしかできない、やったことないけど」と発言され、あまりに驚いてその顔をマジマジと見たことがある。新聞と出版とでは手法が異なるにせよ、それにしても。。。。結局、その程度の認識なんだよね〜)

・・・

通常私は、本に書き込みをしたり、線を引いたり、ページを折ったりしない。付箋もなるべくつけない。
んだけど、この本に限っては、あれもこれも、と心に留めておきたい言葉が散りばめられていた。買うか〜(図書館で借りてきたからね)。

でもって、もっと読みたい。
んだけど、著作が多くて迷う。田辺聖子は多作でもあったんだよねぇ。いやはや、すごいことだよなぁ。



by ricoricex | 2023-06-05 00:00 |