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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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『魅惑の南仏料理』


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テレビを置いていない生活が12年。
主義としてではなく、地デジの切り替えと引っ越しのタイミングで手放し、必要だったら買えばいいや、と思いつつ、差し迫ることがなく、そのまま(たま〜に出演しても、肝心の本人が観ていない、という。。。)。

そんな今の自分からは信じられないけれど、子供の頃はテレビっ子だった。
食事のときは消しましょう、なんて家庭でもなく、お咎めもなかったので、朝から晩まで、誰かが家にいるときはテレビは点けっぱなしだった。

いつだったか、小学校3年の冬の日曜日の午後だったと思う。
『パンの道』(だったかなぁ)というヨーロッパ、主にフランスのパン紀行みたいな番組がタカキベーカリーの提供(制作も?)であり、釘付けになってしまった。

白がかった画面で、石灰質の山の地域だったか、マルシェの賑わい、パンを作ったり売られている様子、とか、だったか。
番組の内容は覚えていないんだけど、映像としても記憶が曖昧なんだけど、フランスの田舎の景色と食文化に触れたインパクトが強烈で、その番組のことが強く焼き付いている。
おそらく、画面を通してだけど、観光地としてではなく、初めて直に触れる地べたのヨーロッパだったからだと思う。パンの香りまで伝わってきそうな番組だった。

この仕事をしていて嬉しかったことのひとつに、アンデルセン(タカキベーカリーのパン屋)を何度か取材できたことがある。
一度、割と長丁場の取材の際、取材内容もだけど、その一方で他愛ない話もする中で、何の気なく『パンの道』のことを口にしたら、ご対応くださった広報の方が非常に喜んでくださった。
というのも、同郷のその方は、その番組を観たのがきっかけで、タカキベーカリーに入社なさったからだ。
当時のあのあたりに住んでいる私世代の食いしん坊の子供に、相当訴えるものがあった、ってことか。


・・・

新宿の紀伊國屋書店、神保町の三省堂書店、東京駅の八重洲ブックセンター。

本って書店で取り寄せると時間がかかるんですよね。。。
今はネットという便利なものが先に来るんだけど、かつてはどうしても欲しい本があるときやひととおりブラウズしたいときは、上記の大型書店を利用した。
私は三省堂書店に行くことが多かったんだけど、食関連、特に中央公論社から出ていた「シェフシリーズ」「暮しの設計」をチェックしたいときは、八重洲ブックセンターに向かった。
西に向かった壁の書棚にずらっと並んでいたと思う。
内容を考えれば安いくらいだけど、2000〜3000円、と当時の感覚だとそれなりの値段だったので、どうしても欲しいものしか買えなかった。

一度見て心を奪われた本(ムック)があった。
そのときは、別の目的の本優先で買えなかった。
八重洲ブックセンターで見たのは、その一度きりだった。

その気になればいくらでも入手できたんだろうけど、
絶対に必要!というわけではないので、頭の片隅にありつつ、そのままにしていた。

その後、2000年代半ばに大田区鵜の木の古本屋の店頭に並んでいた。
あっ!思ったけれど、抱えている荷物があまりに多かったので買わなかった。
2010年代半ばに再びチャンスが来る。
自由が丘のマリ・クレール通り側で降りて左に曲がってすぐのところに古本屋があり、その店頭に並んでいた。
約束の時間ギリギリだったので、帰りに、と思ったら、食事をしてお茶して、で別の方向に移動してしまい、そのままになってしまった。

3週間ほど前だったか、自由が丘のマリ・クレール通り側に出たときに、そういえばと思い出したんだけど、その古本屋はなく、見落とした? 休みの日? 閉店?とぼんやり思いながら目的地へ急いだ。

1週間ほど前に、近くの古本屋の店頭に目が留まり、そこから2冊選び、レジへと向かうときにふと書棚を見ると、出合っては買えなかった、その本(ムック)があるではないか! 最初にページをめくったときから30年以上経っている、それが。

ええ、すぐ買いましたとも!

・・・

「シェフシリーズ」はほかにもあったのに、『魅惑の南仏料理』になぜ魅了されたのか。
当時、南仏がどうとかパリがどうとか、まったく知らない、意識もしていない、20歳前後の若者だった。
他のシリーズがレストランというか厨房というか寄りで、なんだかすごい世界があるんだなぁと感じたのに対し、
『魅惑の南仏料理』では現地の海やら山やらマルシェやら食材やらに目がいき、太陽の光を感じ、においまで伝わってくるように思えたのだ。
提案されている料理も、フランス料理で想像しがちなどっしり重厚なものではなく(当時は、ね)、とっつきやすい気軽で素朴なお惣菜風のものが少なくなく、これにもわくわくした。

・・・

「シェフシリーズ」「暮しの設計」いいんだよね〜。
何冊か持っていて、深みにはまりそう(すべて揃えたくなる!)のは目に見えているので、今は要らないでしょ、って自分に言い聞かせているんだけど、買って眺めるとやっぱりいいシリーズで、あ〜、他も欲しくなっちゃうなぁ。




by ricoricex | 2023-06-06 00:00 |