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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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『突然炎のごとく』『あこがれ』『私のように美しい娘』


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『突然炎のごとく』『あこがれ』『私のように美しい娘』 @ 目黒シネマ(東京)

今週、2023年4月22日(土)〜28日(金)、目黒シネマでかかるのは
特集上映“フランソワ・トリュフォーの冒険”。
1週間で、全部で12のトリュフォー作品を上映。ほぼ日替わり、とあって、昨日に引き続き、今日もいそいそと出かけました、とさ
(今日は行くつもりじゃなかったのになぁ)。

・・・

『突然炎のごとく』(1962年)

ずっと鳥肌が立ちっぱなしだった。
トリュフォーが若干30歳のときに公開、ってことは20代で作ったんだよね。恐るべし!

私はこの映画を20歳になるかならないか、おそらく10代最後の頃に観たと思う。
大学に入り、上京したのが1987年で、その年か翌年。

当時、「an・an」はまだ週刊で出てて、DCブランド全盛ってこともあって、アパレルの広告が多くって、今よりもとず〜〜〜っととんがった雑誌だった。表紙はほとんどの場合、外国人モデルが務めていたと思う。
他の雑誌の例に漏れず、モノクロページは今でいうカルチャーページといった役割で、その中には映画のコーナーもあり、おすぎとピーコが「いい映画みなさい!」というタイトルで担当していた。

カギカッコの会話調でおもしろく(他にこの手のものに「ロッキング・オン」の渋松退団があった。一度、相原コージがこの雑誌の漫画を担当していて、おすぎとピーコが「いい映画みなさい!」をパロったことがあって(確か。。。)。これが大爆笑だった。「ロッキング・オン」は本ページはほとんど読まず、カルチャーページとライブと新譜情報をもっぱら追っかけていた)、
これを参考に映画を、というより、コラム的な読み物として楽しんでいた。
よく覚えているのは、『ブルーベルベット』、そして『突然炎のごとく』である。

『突然炎のごとく』については、90,歳を過ぎたおじいちゃんが書いた小説云々、という話で、年寄りがよくこんな小説書いたわね、みたいな流れだった、と思う。海水浴のカットがイメージ写真として使われていた、記憶。
1962年の映画が1980代終盤にかかった、ってことは再公開か、トリュフォーの特集があったか、ってことかな。
どこの劇場かは忘れたけれど、観に行った。

ストーリー自体は1人の女性と2人の男性(彼らの名前が原題)の物語で、奇妙な三角関係といえばそれまでで、陳腐といえば陳腐、単純といえば単純。
約35年経って改めて観て、あらすじは覚えていたし、ところどころのシーン、かけっこしたり、セーヌ川に飛び込んだり、エンディングだったり、挿入歌もメロディーを一回観て覚えてしまった(同様に、同時期に観た『気狂いピエロ』の「私の運命戦」も一度で記憶に刻まれた)。

が、そんなことが、三角関係とかが主題では、まったくなかった。。。
状況として三角関係かつ奔放なだけで、これは生きる根幹を見つめた、人間の性(さが)とその個体差を綴ったものすごいテーマですよ、だからずっと鳥肌が立ってたんですよ、それを30歳そこそこの青年が撮ったんですよ。

それに応えた役者たち、とりわけジャンヌ・モローはすごいな。
口がへの字ですでにほうれい線もあって声は低く腰が据わったところがあって、若いのに妙に貫禄あるな、って思ったのは変わらず、だけど、彼女で大正解だったな。こんな役どころ、他に誰ができる?

歳をとったから、やっとわかることもある。
原作者にしても、歳をとったから初めて書けたんだろう。
全部を見ているわけではないものの、トリュフォーの最高作は『大人は判ってくれない』とずっと思っていたけれど、確かに『大人は判ってくれない』のみずみずしさは魅力的だけど、突き詰めた作品としては、これかもしれない。

本を燃やす映像か何かを眺めるシーンがあって、このときすでに『華氏451』を考えていたってことかな。
そして、主人公の男性2人は文学などアーツという共通項で友情が深まり、
いろんな作家の名前が出てきて、作品名こそ出なかったものの、
本国でないのにシェイクスピアに重きがおかれ、先日久々に読んだ『すばらしい新世界』なんかもろなわけで、ヨーロッパの人たちの基礎知識に、シェイクスピアは必須なんだな〜。
立て続けに出てきたってことは、シェイクスピアを読め(原文でも)って暗示なのか。。。

・・・

『あこがれ』(1958年)

原題はLes Mistons。劇中“悪童”と訳されていて、“ガキども”“悪ガキ”といったところか。
ただ、テーマは邦題が言い当てている。性に目覚める男の子たちが、とにかくかわいいんだよね。

こういうふうに撮れちゃうなんて、映画のテーマになるなんて、男の子はいいなぁ、ずるいなぁ。女の子じゃこうはいかないもの。
フリッパーズ・ギターの『海へ行くつもりじゃなかった』にも似た感触。

冒頭に登場する水道橋みたいなのはポン・ドュ・ガール、かなぁ。
その後の街はニーム、かなぁ、円形劇場があるし。
光の感じが南仏だなぁ。
ポン・ドュ・ガールもニームも22年前の2001年4月に行き、その記憶があれやこれや蘇った。

・・・

『私のように美しい娘』(1972年)

なに、これ! !サイコー! めちゃくちゃおもしろい!

私、予習ってほとんどしないのよね。。。
よくライブとかでアルバム聴きこんで予習して出向く、って人いるけど、その心理、よくわかんない。
なぞったり答え合わせをしたりしに行くわけじゃないから、別に知らない曲あっても楽しければいいじゃん、なんだね〜。

映画も同様。
今では絶滅危惧種になった名画座の2本立て3本立ての、おまけ/ついでも、予備知識なしに行く。
すると、本来の目的だったものよりあたり!に当たること、あるのよね〜。
“ビルとテッド”シリーズとか『羊たちの沈黙』なんて、そう。

『私のように美しい娘』もどんなのか知らずに観た。
犯罪喜劇ってのは聞いたけれど、内容はまったく見当がつかず、
そのタイトルから、なんとなく『恋のエチュード』みたいな、陰鬱というかマジメというか、を想像していて、
今回の目的は『突然炎のごとく』だったから、観なくてもいいけど、せっかくだから観るか〜、くらいのノリだったのに、思わぬ大穴。

とにかく、痛快! 大爆笑!
犯罪喜劇ってのは確かにそうで、松本清張原作で、『疑惑』なんかをコメディに仕立てたらこんな感じかもしれない。

同時にこれ、そういう見方はどうか、って気もするけど、男性社会に対する男性からの痛烈な批判でもあるじゃないかな。
そして、そう、まっすぐに正論を述べればいい、ってもんじゃないのだ。今のフェミニストたちの言動にいまいち私が乗れないのは、あれもこれも紐付けする、ってのもあるけれど、真っ当なことを正面きって言われるから、ってのもある。
確かにそーなんだけどさー。正論をどうだ!と堂々と言われると、どうにも息苦しくなる。正義の名のもとに生きているわけじゃないもの、ぺろっと舌を出すことだってあるもの。

それにしても、トリュフォー、こんな映画も撮るんだね。
これ、何度も観たい、ダウナーになったときとかの処方箋にしたい。思い煩うのがアホらしくなる。
女性の主人公カミーユ・ブリス(ベルナデット・ラフォン)は、イギリスのシットコム/テレビコメディ作品『Absolutely Fabulous』(大好き!)のジェニファー・ソーンダースがやってもいけるような気がする。
男性主人公のスタニスラス・プレヴィン(アンドレ・デュソリエ)はオリラジの藤森に似ているけれど、ピーター・セラーズに演らさせても、また違った魅力が出たんじゃないかな。観てみたい。
男性主人公の秘書は、もう少し若い頃のスカーレット・ヨハンソン、だな。コメディの中のこういう堅物っぽい役どころも彼女は活きる、ような気がする。

ところで、この映画の舞台、どこだろう。
家の、特に屋根、風景や光の感じから南仏なのは間違いない、と思うんだけど、

・・・

さて、残るは、
『家庭』『逃げ去る恋』
『恋のエチュード』『アデルの恋の物語』
『野性の少年』『終電車』

『家庭』『逃げ去る恋』の2本立ては、「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズ/「アントワーヌ・ドワネルもの」の後半2作。前にもみてる、ちゃあ観てるんだけど、よく覚えてない。
前半3作『大人は判ってくれない』『アントワーヌとコレット 〈二十歳の恋〉より』『夜霧の恋人たち』観たばっかだし、この勢いでシリーズ全部観たい気分。

『恋のエチュード』『アデルの恋の物語』の2本はねぇ、いい記憶じゃない。
『恋のエチュード』は処女喪失の描き方がひどくって、おっさん、大丈夫か?って苦笑だったもん。
『アデルの恋の物語』はイザベル・アジャーニはよかった、んだけど、その狂気っぷりに、劇場の座席に座ってただけだったのに、なんだかえらくどっと疲れたんだよなぁ。
今観て、イマイチな印象が、果たして覆るかなぁ。
本質的なところであまり変わるとは思えず、時間があれば、になりそう。

『野性の少年』『終電車』
は『終電車』は観てる、と思うんだけど、記憶が希薄。
さて、さて。

先にちょっと触れたけど、『華氏451』観たいな〜。


sun 23/04/23



by ricoricex | 2023-04-24 00:00 | 映画