人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex
カレンダー

内田百閒『御馳走帖』


内田百閒『御馳走帖』_e0038047_02150361.jpg

青春18きっぷで、23.36発だったか、東京駅を出て、横浜あたりで日付変更線をまたぎ、大垣には6.30頃(過ぎ?)に到着した、と思う。

私が学生だった頃、約35年前の話。
ガタゴト揺られて、東海道線〜山陽本線を乗り継ぎ、実家への駅に到着したのは18.00頃だった、記憶。

逆も然り。夜中になる手前に列車に乗り、ブルートレインに1両だけだったか、寝台でも個室でもなく普通車両があり、それに乗って東に向かったこともある。
なかなかきつい。体、よりもにおいが。
実家に戻ると、列車くさい!と、シャワーに直行させられた。

半分ほどの距離で十分もとは取れるので、青春18きっぷで関西で途中下車したり、旅したりもした。

本州の西の端の実家から大阪まで(厳密には神戸まで)の山陽本線は瀬戸内海沿いを列車が走り、これが実に気持ちよかった。
瀬戸内海はたいてい凪いでいて、さざなみが陽光を浴びてきらきらと輝く。眺めていると、そのおっとりとしたおだやかさに気持ちが緩み、気づけば眠りに誘われている。すっかり安堵してうとうとするのは、幸せな瞬間でもある。

山陽本線は、内陸に入ることもあったけれど、これはこれで風景ががらっと変わって、よかった。

・・・

内田百閒の『御馳走帖』は、山陽本線を連想させる。
場所でいうと、岡山を過ぎて、相生とか加古川とこら辺。

ボックス席で、窓の下には灰皿(っていうのかな?)があり、ガタゴト揺られて風を感じ、本を読みながら、ときに駅弁を食べながら(駅弁は、昨今の開発に躍起になってイキっているものでなく、素朴なものがいい。お茶は缶やペットボトル以前の、プラスティック/ビニールの、ふたを湯呑みにするのがいい)ときどき顔を上げて、窓の外をぼんやり眺めている感じ。海でも内陸でも、流れていく景色は飽きない。

・・・

ここのところ、七輪に夢中だ。
火も見ていて飽きない。見ているだけで満ち足りた気持ちになる。

火起こしに時間がかかるので、それを見越して、時間繰りをするのだけれど、
オーブンやガスレンジと違って、道具をこちらに合わせるのではなく、道具にこちらを合わせないといけない。
火の状態はそのときどきで変わり、読めないからね。

ぼーっと見ていてもいいんだけど、明らかに、中途半端に時間を持て余す、さて、と思ったときに思い出したのが、『御馳走帖』だった。
ひとつひとつの話は短いし、適当に開いて、火守りをしながらグラスを片手に、適当に読むのにちょうどいい。

高級なお店の上質な料理、とは違う、日常の食べるに向かう心持ち、そのそわそわしながらいそいそする時間はむしろ、もともとの意味の通り、これこそが御馳走で、私の七輪に向かう心情と合致するからってのもあるだろう。

図書館で借りてきたけど、これは七輪本として必携、になりそう。買うとする。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

** 絶賛、発売中です **

Amazon


楽天ブックス


by ricoricex | 2023-04-11 00:00 |