人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)


ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01285337.jpg

最寄駅で降りたことはある程度で、たとえば次の約束までちょっと時間がある、早く着いた、なんて理由でなじみのないエリアをあてどもなくぶらぶらするのは楽しい。
一度でも来たことがあれば、距離感や東西南北が把握できているので、自分が今どこにいるか、なんとなく地図が頭の中で描けるので、さして不安にならずとも、思うがままに歩けます。

ここも、ウォーレン・ストリート駅界隈をぶらぶら歩いている最中に、前を通って気になって立ち止まって、入ったお店。
コーヒー、ケーキ&キス/Coffee, Cake & Kisses
https://coffeecakekisses.com
ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01293906.jpg

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01290204.jpg
それまで名前を聞いたこともないし、そもそもウォーレン・ストリート駅界隈のフィッツロヴィアはそんなに詳しくないし、前知識も予備知識もまったくのなく、よさそうだなぁ、の印象だけで吸い込まれるように入ったのだけれど、果たして、やっぱりよかったのです。

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01302972.jpg

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01302906.jpg

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01303040.jpg
お店のよしあし、って個人差もあるし、相対的にこれ!というのはなかなかつらいところで、このコーヒー、ケーキ&キスはその代表。
ここよりおいしいコーヒーを淹れる店はあるでしょう、ここよりおいしいケーキを出す店もあるでしょう。

でも、なんだろうな、人と人、人と街に相性があるように、人とお店にも相性があるんだなぁ、と思わされた次第です
というのも、コーヒー、ケーキ&キスは、私にとって圧倒的に居心地がよかったから。
cosyっていうのはこういうことをいうのね。

著名なお菓子屋さんであれば、お菓子が作品のような佇まいがあるせいもあって、大なり小なりかしこまったところがあるし、研ぎ澄まされたコーヒー店であれば、どこか修行(〇〇道)みたいな空気感をまとう。
それはそれでいいのだけれど、どこか緊張感があるのも事実。
されどコーヒータイム、なんだよね。
ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01311924.jpg


でもね、たかがコーヒータイム、でもいいんじゃない。
毎度毎度“されど”は疲れちゃうよ。かといって、従来の“たかが”は安かろう悪かろうになっちゃうしね。
このあたりのバランスが絶妙で、実はされどコーヒータイム、なんだけど、アプローチはあくまでたかがコーヒータイムなのが、コーヒー、ケーキ&キスだったのです。

オーダーしたのは、
アメリカーノとアップル・パイ。合わせて、£6.35。
ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01314694.jpg


普段、私は好んでアップル・パイを食べません。
嫌いなわけじゃないんだけれど、食べ進めるうちに瞼がキュッと引き締まって汗をかくというか、なんだか途中で放棄したくなっちゃうんですよね〜。
でも、コーヒー、ケーキ&キスアップル・パイは、ほわっとした表情で、あ〜、いけるかも!と感じたのです。

結果は大正解!
折り目正しい、かっちりとした、いかにもプロが作った、って見た目のパイじゃない。
でも、ラフで家庭感満載でもない。
小さなスライスに、温かみがぎゅっと詰まった、妙に背伸びも崩しもせず、取り繕ったところがなく等身大、って感じで、これに心落ち着く。
とにかく、押しつけがましくないんですよ、そこが気に入った!のです。

一口二口食べたときに、店員さんがやって来て、
「言うの忘れてたけど、温めてもおいしいんですよ。温めたの食べてみますか?」とニコニコしながら訊いてきて、「ああ、そうなの、じゃあ」とお願いすると、温めたほうがじわ〜感倍増でよかった!
しみじみしちゃうなぁ。

ちなみにコーヒーは、泣く子も黙るモンマス・コーヒーのものでした。
ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01324313.jpg



ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01330312.jpg

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01330601.jpg
店内を見渡すと、ひとりで来て勉強したりラップトップで作業をしている人の姿が多い。2人連れや親子もいたな。
観光客がわざわざ来るところでもないだろうから、格好を見ても、学校やオフィスの近くで来ているんだろうな、って感じ。

店内には自由に読める本がおいてあり、ハガキサイズのショップカードも。
名前と、店名にちなんだ、favourite coffee(好きなコーヒー)、favourite cake(好きなケーキ)、perfect kiss(理想のキス)を書き込めるようになっていて、壁にペタペタ貼ってあるのはこれかぁ。
ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01333417.jpg

ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01334318.jpg


favourite coffee(好きなコーヒー)、favourite cake(好きなケーキ)はスラスラかけるにしても、perfect kiss(理想のキス)かぁ、そんなの考えたことなかったな。
それどころか、perfect kissときくと、ニュー・オーダーを思い出してしまうワタクシ。。。
(PV/MVの監督はジョナサン・デミでしたね)


で、お店を出る前にトイレを尋ねると(イギリスでは、というか、日本以外の国では、行ける時に行きたくなくてもトイレに行っておかないと大変な目(行きたい時にトイレはない!)に遭う可能性がおおいにあり)、「下の階ですよ。工事中だけど使えるのは使えますから」。
確かに。
でもね、使う方からいうと、工事途中でも解放してくれているのはありがたい!

上の階に戻って、会計を済ませがてら、
「トイレ、ありがとうございました」とか、「アップル・パイは最高においしかった! 温めてもらって正解で、これがperfect apple pieでした」みたいな他愛ない会話を交わし、
「気に入ったからまた来ます。でも、次はいつ来れるかわからないけど」と。
「あら、ご自宅は遠いの? ロンドン郊外?」
「郊外も郊外。日本からです。片道12時間はかかります」
「12時間なんてあっという間。近いものですよ。じゃあ、また明日お目にかかりましょう!」
と送り出してくれました。

「12時間なんて近いものですよ」が妙に心に響いて、
これってコップに半分水が残っているときに、もう半分しかない、と捉えるか、まだ半分ある、と捉えるか、に通じる物事の受け取り方の違いよねぇ。
もちろんリップサービスというか、会話の流れというか、なんだけれど、居心地のいいお店はこういうほがらかなキャラクターの人がいるから成立するんだよなぁ。

ロンドンの秋はもう日も短く、店に入るときは明るかった屋外も、日が暮れ風は冷たくなっていたけれど、納得と温かさとで、ぽかぽかした気持ちで帰路についたのでした。
ケーキ@コーヒー、ケーキ&キス/Coffee Cake & Kisses(ロンドン)_e0038047_01310716.jpg


wed 11/11/15




~~これまでの関連記事も併せてどうぞ
○ケーキ@ヴァイオレット/Violet(ロンドン) → https://ricorice.exblog.jp/25579516/
○ケーキ@ベアズ・オブ・ブルームズベリー/Bea's of Bloomsbury(ロンドン) → https://ricorice.exblog.jp/27547890/
○お茶@ジャーマン・ジムナジウム/German Gymnasium(ロンドン) → https://ricorice.exblog.jp/27302483/
○ケーキ@パティスリー・ヴァレリー/Patisserie Valerie(マンチェスター) → https://ricorice.exblog.jp/27847050/
○コーヒー@モンマス・コーヒー/Monmouth Coffee Company(ロンドン) → https://ricorice.exblog.jp/26008693/
○<イギリス菓子・レシピ> アップル・パイ【Apple Pie】 → https://ricorice.exblog.jp/24896535/


** 絶賛、発売中です! **

Amazon


楽天ブックス


by ricoricex | 2019-08-31 00:00 | イギリスの飲食店レポート