
あらかじめ言っておくと、私はザ・スミス/The Smiths・ファンではありません。
モリッシーの粘着質なボーカルは得意じゃないし、それより何よりザ・スミス・ファンがと〜っても苦手。
盲信的ともいえる、熱狂ぶりに引いてしまうんですよね。
でも、歌詞の世界観とジョニー・マーのリリカルな、哀しいほどの繊細で美しいギターにやられてしまったのです。
もっとも、リアルな活動期には、日本にはその情報も音源もほとんど入ってこなくって、ちゃんと整理してCDとして流通したのは1990年代に入ってからの記憶(これは流通の問題もあり、ザ・スミスはインディーズのラフ・トレード/Rough Tradeからレコードを出していたので、リアルタイムでは輸入盤を買うしか手がなかった。そして、ラジオで現地情報として流れたことがたま〜にあったぐらい、か)。
ザ・スミスの活動期間は1982〜1987年。
近年のジョニー・マーは、タイトな音でいいなぁ、なのですが、解散以降のモリッシーは、苦言を呈すしかなくって、そしてそれはますます強まっていて、ザ・スミスの歌の世界で見られた、どうしようもないほどまでのシンパシーは感じない。
それは、モリッシーがあちら側に行ってしまったので、いくら世間のマイノリティーを歌っても、そこにはもうどうしようもないズレがある。
日本でザ・スミス再評価が高まっていても(って、ホントかな? 若者が聞いている、らしい)、モリッシー評価にはならないのは、そりゃそうだろうなぁ、と妙に腑に落ちるのです(↓)。
ともかく、1980年代は世間的にはMTV全盛期だったけれど、それはそれでエンターテイメントとしていいな、ってものもあったけれど、私はそこからこぼれてしまうDIY(&反骨)な音にどうしようもなく心を奪われてしまい、それがラフ・トレードだったりファクトリー・レコーズだったり、チェリー・レッド(エル)だったり、クレピュスキュールだったり。
そうして、ポストカード、53rd & 3rd、クリエイション、サラ、K、サブポップへと広がり、ともあれ、ギターポップというかパワーポップというか、の洗礼を受けまくったのが、ティーンエイジャーから20代の私です。
となると、聖地はマンチェスターでありグラスゴウであり、はっきり言ってガラの悪い、ワーキングクラスの街です。
音楽って、どんなに最先端の音を奏でていても、結局は民俗音楽なんじゃないか、って私は思っていて、それと呼応する部分で、人はバックグラウンドの似通った部分に惹かれるのじゃないか、とも思っていて、私がこういう音にどっぷり浸かってしまったのは、私自身が紛れもないワーキングクラスの出身だから、ってことはおおいに関係あるでしょう。



メディアを中心に、はるか過去のことだけでなく、近年の音楽も事象と照らし合わせて積極的に検証しようとしているのもおもしろい。
音楽に関する、音楽を通じてのエキシビションもイギリスでは多く、そこでは、単に音楽というジャンルの中だけで切り取るのではなく、時代背景とともに社会のなかの事象として、系統立てて示されるから、とても興味深い。
そして、写真展では、カメラマンの作品を展示販売する場でもあり、購入することで、価値あるものとして見なす評価を与え、彼らを直接的にサポートできる場でもあります。


There is a Light That Never Goes Out: A photographic celebration of Manchester’s rock-music history
これ、マンチェスターの中央図書館/Central Libraryで2018年10月11日(木)〜2019年2月22日(金)に開催されていた、写真展のタイトル。
冒頭で記した、ザ・スミスの曲名(同時に2年前に起こったマンチェスター・アタックの後、テーマソングのようにもなりました)を冠したこの展示、マッドチェスターの時代を中心に最近までの音楽シーンの写真を展示したもの。
ファクトリー・レコーズ、ジョイ・ディビジョン、ニュー・オーダー、ザ・スミス、ザ・ストーン・ローゼズ、ザ・シャーラタンズ、ハッピー・マンデーズ、オアシスetc。









見覚えのある写真も数々あり(日本の雑誌が買い取って掲載したりしてたもの)、リアルタイムで聞いていた当時は、自分がマンチェスターという地で、過去の音楽の記録を眺める、なんてまったく想像していなかったな。
時空や感覚が歪むような不思議な感じ。
背後から耳に入る、このときこうだったああだったという会話を聞くともなく聞いていると、レコード屋をはしごしたり、ラジオや雑誌に身を預けていた、若い頃の自分が目の前に現れて、時代を引き戻されるようで、不思議な感じ。
その翌々日、マンチェスターからグラスゴウに向かう列車の車窓に飛び込んできた建物は、ハシエンダ/The Haçienda。
そう! ここだったんだよね。
マンチェスター・ピカデリー駅を出発し、次の駅、オックスフォード・ロードを過ぎて、ディーンズゲイトに向かう途中の北側、進行方向の右手に現れます。
ハシエンダかつてのファクトリー・レコーズの伝説的ヴェニュ(クラブ)は今は、名前は継承しているものの、しゃれた高級(?)アパートメントに。
この変わりように、ようやくバタッと現実に引き戻された感じ。
そりゃそうよ、マンチェスターの街だって、人たちの格好だって、うんと小ぎれいになったもん。
ノスタルジックに浸りはしないけれど、現在は過去の上に成立していて、その延長で未来もある。大転換を図るときもあれば、ゆるやかに変化することもある。
そんなことをつらつらと考えながら、頭に中に鳴り響いたのは、ライトニング・シーズ/Lightning SeedsのChange。
前日にリヴァプールに行ったから?(ライトニング・シーズはリヴァプールで結成されたバンド)。
(歌詞を無視して)曲調だけだと、There is a Light That Never Goes OutよりもThere’s a Light That Never Goes Outって感じかも。
ついでに言うと、There is a Light That Never Goes Outを「絶対に消えない明かりがある」と訳したのは、マンチェスター・アタックに対してならおおいに納得できるけれど、本来のザ・スミスの歌の歌詞の世界は「消えない光があるのなら」ぐらいが妥当じゃない?
The Lightning Seeds - Change (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=dHHrXOieYbI
sat 27/10/18
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○時代がザ・スミスに追いついた! → https://ricorice.exblog.jp/26870821/
○Yellow: A Colour of Revolution/黄色は革命の色 → https://ricorice.exblog.jp/27681158/
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