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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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英コーヒーチェーンのコスタが、“孤独”問題解消のために“おしゃべりテーブル”を本格設置


英コーヒーチェーンのコスタが、“孤独”問題解消のために“おしゃべりテーブル”を本格設置_e0038047_22504474.jpg

孤独、というのは、目に見える状態ではなく、心のあり方、と強く思っている私は、
ひとり = 孤独、という単純な当てはめ方に違和感を覚えるし、
ひとり → 孤独 → かわいそう、という短絡的思考は、まったく違うって思っています。

まあ、これは私がおそろしく内向型、もっと言うと、社会性を伴った内向型人間だから、でしょうけど。
ときどきは誰かと一緒に、だけれど、集団行動や同調圧力が苦手で、
自分で意思決定をして自分のペースで動けるから、ひとり行動がラクでいい、ってタイプだから。

こういう私のようなタイプがいる一方で、というか、だからこそ、
誰かといても孤独を抱えるってこともあるんだろうなぁ、と思うわけです。
ひとり、ってことをいかにもよくないことのように扱う風潮が、それを示しているとも感じるわけです。


2018年1月17日(水)、イギリスで孤独問題担当国務大臣/Minister for Lonelinessが設置されました(↓)。


高齢化や社会生活不適合による孤独者問題に対処するための国務大臣で、
こういう大臣が必要なほど大きな社会問題なのか!と衝撃を受けてしまったのです。
(この孤独問題担当国務大臣設置についての経緯については、日本語でもニュースとして伝えられています。ご興味のある方はぐぐってみてください)


この“孤独”問題を解決する手だてとなるべく、
イギリスのコーヒーチェーン最大手のコスタ/Costaも乗り出しました。

それは“Chatter and Natter”と呼ばれる、おしゃべりテーブルの本格的な設置。
コスタに行って、コーヒーを飲みながら誰かと喋る、というもので、
ここでいう“誰か”というのは、ほかのコスタのお客であり知らない人です。
Costa launches ‘chatter and natter’ tables to help combat loneliness
https://www.youtube.com/watch?v=82EF6IK7CLc


2017年にすでに、“Chatty Café Scheme”としてスタートし、
コスタをはじめ、加盟しているコーヒーチェーンで取り組んでいます(↓)。
https://thechattycafescheme.co.uk/

今回のコスタの取り組みはそれを本格的に押し進めるものです。
25の店舗で実験的に行ったところ好感触だったことから、
300店の店舗で“Chatter and Natter”を設置となりました。

コスタが2500人を対象とした調査によると、
半数近い人が、1日の会話の回数が6回以下。
さらに4%の人が対面のコミュニケーションをとっていない、と。

コスタ曰く、「孤独は現代社会において見逃せない問題です。
我々の場所を単にコーヒーを楽しむ場、だけでなく、コミュニティの場として利用してもらえれば」。


へええええええ〜!
ちょっと不思議に思ったのは、イギリスにいるときの私は、
それこそコスタのようなコーヒーショップやカフェ、電車やバスの中、レジを待っているとき、とか、実によく話しかけられるのです。
そしてそこから会話が弾むことも少なくありません。

これは、私が特別に話しかけられやすい、ってことではなく、
たとえばクッカリークラスに参加したり、ワイナリーツアーなどにのったりして、周囲の人々を眺めていても同様で、
なれなれしく、ってことはないものの、適度な距離感を持ちながら、他者とコミュニケートしているから。

なので、わざわざ、こういうシステムを導入しなければいけないことに、問題の深さを感じてしまったのです。
そして、この“Chatter and Natter”がどんなものなのか、機会をみつけて試してみたいと思います。


コスタのこの取り組み、2018年8月7日(火)づけのイギリスのメディアでは以下のように伝えています。

The Independent(イギリスの新聞)
Costa rolls out ‘chatter and natter’ tables nationwide to combat loneliness epidemic
https://www.independent.co.uk/life-style/costa-coffee-chatter-natter-tables-loneliness-crisis-silent-epidemic-uk-campaign-a8312076.html


Metro(ロンドンのフリー新聞)
Costa launches dedicated chatting tables to battle loneliness
https://metro.co.uk/2018/08/07/costa-launches-dedicated-chatting-tables-battle-loneliness-7807851/


Huffpost UK(イギリスのオンラインメディア)
Costa Fights Loneliness By Encouraging Strangers To Share A Table
https://www.huffingtonpost.co.uk/entry/chatty-cafe-costa-becomes-first-uk-chain-to-roll-out-scheme-tackling-loneliness_uk_5b684d2fe4b0fd5c73dbb25a



日本で同じことができるかって?
今の日本だと合わないだろうなぁ。
Airbnb、Uberといったシェアリングエコノミーを嫌うのは、
既得権益ってことが理由として大きいのは明白だけれど、
そればっかりじゃなくって、知らない人と関わりを持ちたくない、知らない人は信用しない、ってことの表れだろうなぁ、と私は感じています。

子育てが大変、家事が大変、と言いつつ、
アウトソーシングやオゥペアやナニー、シッターやケアラーを採用しないのは、知らない人にうちに入って欲しくない、ってことも大きい、って思うし。
もっと言うと、日本人が英語が苦手なのは、語学の問題ではなく、
知らない人や社会に交わるのに対抗があることの方が理由としてよっぽど大きい、と私は捉えています。

まあ、時代は目まぐるしく変わるので、
今の社会通念はすぐさま過去の遺物になる可能性もあるんですけどね。


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○英国コーヒーチェーン最大手のコスタが、紙コップのリサイクルに本気で取り組む → https://ricorice.exblog.jp/27159168/
○イギリスのレストランの動向に見る、これからの店舗や会社に求められるもの → https://ricorice.exblog.jp/27355146/
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by ricoricex | 2018-08-16 00:00 | イギリスの食ニュース