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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

ドーナッツ@セント・ジョン/St. John(ロンドン)


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それまでも、パンや乳製品、食肉加工品は(野菜や果物、肉なども、だけど)、
日本よりもイギリスに軍配があがるなぁ〜、と思っていたのですが
(日本は、調理されたものはともかく、素材の力がとにかく弱い)、
スーパーマーケットで販売されている大量生産のものや、せいぜい街のパン屋さんでも
それはそれで満足していたのが
(私は日本のやわらかい、もちもちを主眼においたパンがさほど得意でないのです)、
この店ではっきりとイギリスのアルチザンブレッドに開眼した、といっても過言ではありません。

セント・ジョン/St. John
https://www.stjohngroup.uk.com/

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1994年、ロンドンはファーリンドン、店名の由来にもなったセント・ジョン・ストリートに開業し、
トレードマークにもなっている豚が証明するように、
頭から尻尾まで肉の部位を余すところなく料理にして提供するモダンブリティッシュ(モダンヨーロピアン)として人気を博し、
2003年には、ショーディッヂにカジュアル寄りの店、
セント・ジョン ブレッド・アンド・ワイン/St. John Bread and Wineをオープン。

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私が初訪問したのは、セント・ジョン ブレッド・アンド・ワインの方で、もう10年ほど前のこと。
パリッと糊がきいたような白を基調とした、ムダのないインテリア同様、よりシンプルな調理法で、素材を食べるアプローチで食べさせてくれます。

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料理も、ですが、はっとしたのが、パン。
滋味深く、しみじみおいしい。噛み締めるたびに穀物が育まれた大地とパンがパンとして形成されるための発酵が鼻腔をくすぐる。
厨房とホールを仕切るカウンターに、パンが数種類並んでいて、
もちろん、購入可能です。
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きけば、セント・ジョンのパンはすべてここで焼く、パン工房も兼ねている(いた?)、とのこと。
確かこのときと前後して、パン工房はバーモンジーに移転。
当初は工房&卸し専門だったのを週末のみ一般にも開放し、
ちょうどこの店舗のある場所は、モルトビー・ストリート・マーケット/Maltby Street Marketと呼ばれる、線路の高架下沿いに続くフードマーケット。
このマーケット、買い食いならココへ!と私のイチオシでもあります。
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なんせ、週末、しかもセント・ジョンのような人気店とあらば、早い時間に、午前中には行かないと売り切れちゃうだろうなぁ、
って見当で、様子をうかがう日々が続き、
ようやく訪問できたのは、2015年秋のこと。

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モルトビー・ストリート・マーケットに到着したのは、朝10時前。体勢を万全に!ってわけで、
朝食を摂っていない状態で真っ先に向かったのは、セント・ジョン
パン、パン、パン、な気分でいっぱいだったものの、はっと冷静に。
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大きいパンを買ったところで、ここでパクつくのはなぁ〜(パクついてもいいのですが、ブレッドナイフもバターも何もない!)だし、持って帰っても果たして食べるのか?だし、
エクルズ・ケーキベイクウェル・タートトリークル・タートといったイギリスらしい焼き菓子もあったものの、
目に留まったのがドーナッツ。
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そうよ、そうよ!
セント・ジョンはドーナッツも看板商品だったんだわ、と思い出し、変更。

さすが売れ筋の目玉アイテムだけあって、通りに近いところに、それぞれの種類がばんじゅうごとでん!とおかれています。
種類はヴァニラ、(ラズベリー)ジャム、バタースコッチ、チョコレートの4種類で、各£2.50。
お店の方曰く、「ヴァニラが一番人気」だとか。

私が選んだのは、ヴァニラと(ラズベリー)ジャム。
お店の前には2〜3テーブルが設置され、「そこで食べてもいいですよ」とのことで、
イスに座ってゆっくりいただいたのでした。
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日本の一般的なドーナッツに比べるとやや大ぶり。
比較的歯切れがよく、大きさの割にすっきりと食べられます。
グラニュー糖がまぶしてあるものの、ドーナッツ自体はさっぱり目。
フィリングのヴァニラはやや酸味のある軽い口当たりのクリーム、
(ラズベリー)ジャムともフィリングはたっぷり入っていてますが、
揚げ立てだからか、油の切れもよく、するりと喉を通っていきます。

ドーナッツは、ジャンクなお菓子、といった印象があったりしますが(私だけ、かな?)、
きれなドーナッツってものが存在するんだなぁ〜、なんて感じたり。

食べながらお店を眺めていると、次々と人がやって来て、
大きなパンを包んだ紙袋を抱えて出て行く人や、一度にドーナッツを10個ぐらい買う人も。
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ドーナッツ@セント・ジョン/St. John(ロンドン)_e0038047_18180800.jpgしっかし、ですね。いつからだろう、ロンドンのベーカリーで提供するドーナッツが脚光を浴び、かつ人気アイテムとなったのは?
5年ぐらい前?
チェーン店のものと一線を画しているから? 家庭で作るのは面倒だから(もっともイギリスの家庭でドーナッツを作るのが日常的な光景(だった)とは思えないけど)? クロナッツ(クロワッサンとドーナッツのハイブリッド)が話題になってドーナッツにもスポットライトが当たった? ドイツのベルリーナー・プファンクーヘン、はたまたハワイのマラサダの影響?
謎はいまだ、解明されないままです。
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sat 31/10/15


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○モルトビー・ストリート・マーケット/Maltby Street Market(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/26209327/
○ドーナッツ@ブレッド・アヘッド/Bread Ahead(ロンドン) → https://ricorice.exblog.jp/25828940/
○イギリスでのドーナッツ販売店の増加はドイツの影響? → https://ricorice.exblog.jp/25800162/
○お菓子のハイブリッドはつまるところマッシュアップ? → http://ricorice.exblog.jp/21185677/
○クロナッツ(のようなもの)in London → http://ricorice.exblog.jp/21474143/



(↑104の英国お菓子ストーリーを詳しく紹介しています!



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・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。

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by ricoricex | 2018-03-16 00:00 | イギリスのグルメ店レポート