私が麺類で圧倒的に好きなのは、うどん。
つゆは昆布とかつおぶし(いりこはあってもなくても)がしっかりきいただしで、醤油は風味づけ程度に、みりんで甘さを少々。麺はやわらかめ(やわらかすぎてもNGだけれど、コシがあるのは好きじゃない)、なのが好みです。
私が30年以上前に東京で暮らし始めたとき、うどんに難儀したんですよね
(当時は、西日本系のうどんが食べられる店がほとんどなかった。今のように讃岐うどんが当たり前のようにある時代では、到底なかった)。
大学を出るか出ないかの頃、世田谷は三軒茶屋と駒沢大学の間、246沿いの、住所でいうと上馬にあった花背(現在は閉店、というか、夢吟坊になった、というべきか)がオープンし、
つゆはもろストライクゾーン、麺はコシがあって好みではなかったけれど、
このつゆは他で食べられない!ってことでときどき行っていました。
もしくは自分で作る。
鍋に水と昆布を入れ(時間があれば浸けておく)、火にかけ、沸騰直前で昆布を引き出し、入れ替えるようにたっぷりのかつおぶしを入れ、沸騰したらすぐに網杓子でかつおぶしを取り出す。
みりんと醤油でさっと味と風味づけ。
もうひとつのガスレンジで、加ト吉(現・テーブルマーク)の冷凍さぬきうどんを長め(指定時間の倍程度)にゆでる。
両方が完成、もしくは完成間近になったら、うどんのゆで汁でいったん器を温め、そのゆで汁を捨て、うどんを入れ、つゆをかける。
これをしょっちゅうしていたんですよねぇ。
時間があった、ってのもあるんだけれど、それだけ欲しいうどんがなかった、ってことに尽き、相当餓えていたんだなぁ(笑)。
あっ、こういううどんをはじめとした日常の和食は、関ヶ原を超えると同じ調味料も味や風味がまったく違うので、まいったなぁ、でしたが、そうでないもの、ハイエンドの和食や世界各国の料理、フランス料理はビストロが出始め、イタリアンも一気にお店が増え、いわゆる“本格的”とされる料理や菓子、パンがだだだ〜っと現れ、その後、その動きはますます加速し、当時は分不相応だったものの、カジュアル〜スマートカジュアルだけでなく、ファインダイニングをあれこれ体験したのは、その変遷含め、東京にいたからこそ。
これが今の私の土台になっていることは間違いないわけで。
なわけで、うどんについては好みが明確な私です。
そんな私がお気に入り、5本の指に入ろうかという店が、ロンドンにあります。
前述した内容が私の好み。
なので、違う!って人、たとえば讃岐のコシのある麺が好み、東京のきりっとしたつゆがいい、といった嗜好の方たち、は大勢いるかと思いますので、そのあたりは加味してお読みください。
私が偏愛するロンドンのうどん屋の名前は、コヤ・バー/KOYA Bar。
http://www.koyabar.co.uk/
ロンドンの中心部、ソーホーにあります。
もともとは、コヤ/KOYAというお店が近くにあり、こちらが本店で、コヤ・バーは支店という位置づけでした。
しかし、2015年夏、本店であるコヤは閉店。
コヤ・バーは、コヤのメニューを引き継ぎつつ、朝食も提供し、今も経営が続いています。
私がコヤ・バーを目指したのは平日のお昼。
人気店ゆえ、時間をずらし2時30分頃に入店。
ここは日本のゆる系割烹か?ってな内装。
外国人のフィルターを通した日本ではなく、現在の日本の感じのいい今どき和食店をそのまま持ってきたかのようで、これってかなり珍しい。
20人ほど着席できるコの字形のカウンター(コのタテが長い)は、7割がた埋まっている状況。
なので、難なく席に通されました。
さて、何を頼もうかなぁ。
ゴマ和えとかおひたしとかのサイドメニューもありますが、まずはうどんでしょ!ってことで、
この日のスペシャルメニューの
・クミン肉味噌(羊)うどんと香草/Lamb cumin-miso + fresh herbs udon £12.80
を注文(ご一緒した方も同じものを)。
飲み物は、私は、
・ワイパー・アンド・トゥルー(ペール・エール)Wiper and true – Pale ale £5.50
ご一緒した方は、
・ワンカップ大関/Ozeki one cup £5.80
を注文。
ラムの肉味噌のクミン風味とコリアンダーと大葉がのったうどんとは、ちと冒険的か?と思いきや、
いや、よかったです!
肉うどんの中近東版って感じで、あ〜、合うな〜、と感じました。
肉味噌はスパイスが程よくきいた担々麺のトッピングみたいなもの、それにフレッシュなコリアンダー、そしてたま〜に大葉が混ざっていて、
合う、というより、微妙なところ、量や味つけなどのバランスがなんともいい按配だなぁ。
つゆも麺も私好み! つゆがぬるめなのは、ロンドンという場所柄、熱すぎるのはちょっと、ってことなんだろうなぁ。
カウンターのなかで作業している様子を見ていると、手を抜いているとは思えないし。
ちゃんとしたポリシーで、そうしているのか、と。
とにかく、つゆはだしがきいて、(塩)からくないので、最後の一滴まで飲み干せる(そしてあとで喉が渇かない!)のは私にとっては大きなポイントなのです。
それにはちゃんと理由があって、
Cook for Syria
というシリア難民のためのチャリティにコヤ・バーが参加しているからです。
http://cookforsyria.com/
提携している飲食店やシェフは約80。
人気店や有名シェフがこぞって参加しています。
飲食店では、シリアに影響を受けたり、食材を使ったり、
そのあたりは自由に、とにかくシリアにつながるメニューを提供。
食べる側は、そのメニューを注文して食べることで貢献。
食を通じてのシリア難民のためのチャリティってわけです。
これ、その目的とトップシェフによるレシピを掲載した本も出ています。
私は、こういうのは偽善っぽいなぁ、と思った時期もあったし、
さすがにいかにもそういうのは今でも敬遠するけれど、
でも基本的には素直にwith a little helpができて、それが届くのであればいーじゃないか(運営している人の手間を考えると、集まったお金から少しぐらい息抜きしてもいーじゃないかとも)と思うようになり(それはイギリスに住んで、すぐそこにチャリティが存在していることを体感した影響が明らかに大きかったのだけれど)、
このメニューをチョイスしたわけです。
(なぜ、イギリスでこの手のチャリティが盛んなのか、ってことについては私なりの考察があるので、別の機会に綴りたいと思います)
サイドメニューを食べたかったけれど、ビールでお腹いっぱいになって断念!
(ご一緒した方も、11時頃軽くつまんだらしく、サイドメニューは要らない、と)
あっ、ワンカップ大関にお猪口がついていたけれど、注ぐたびに垂れていたので、お猪口は要らないと思いますっ!
うどんを提供する世界の店のなかで、5本の指に入るほど好きなお店で食事をして、すっかりご満悦!
私にしては珍しく写真を撮ってもらい、見ると、あれっ、鏡があったっけ?な画が。
いえ、後方にいた男性もストライピー、そう、ボーダー仲間だったのでした。。。(笑)
ちなみに、このコヤ・バー、今年2017年はシティに2号店ができました。
それについては、以下のニュース報道でご確認を!
Inside Koya in the City: Site Number Two for London’s Most Forward-Thinking Noodle Bar
https://london.eater.com/2017/12/1/16714308/koya-city-site-two-london-best-noodle-bar
Using their noodles: The Koya founders on their upcoming opening in the City
https://www.bighospitality.co.uk/Article/2017/10/16/Using-their-noodle-The-Koya-founders-on-their-upcoming-opening-in-the-City
At last: London is getting another Koya
https://www.timeout.com/london/blog/at-last-london-is-getting-another-koya-100517
mon 13/11/17
~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○2017年秋、ロンドン・シティに登場するブルームバーグのヨーロッパ本部は新ダイニングスポットでもある → http://ricorice.exblog.jp/25977424/
○ランチ@カイ・チェ/Cây Tre(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25951255/
○ランチ@パデッラ/Padella(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25657886/
○ランチ@ソム・サー/Som Saa(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25151358/
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