私は学校の教科で言うと、数学(+物理)が圧倒的に好きで、ひらめき+考える、というのが脳の訓練のようで楽しかった。応用問題になればなるほど燃える!
頭の背後に無限に広がる大宇宙を感じ(本当は無限じゃないけど)、ロマンに浸っていたのです。
他方、暗記もの、歴史などの社会、自然科学はまったくダメで、
オブザーバント/obvervant、観察力はあるけれど、まったくもってインテレクチュアル/intellectualじゃない、教養がないのはそのためです(インテリジェント/intelligent、理解力があるかどうかは???)
ロンドンに行くたびに立ち寄る場所に、今や一大観光スポットと化した、バラ(ボロー)・マーケット/Borough Marketがあります。
フードマーケットゆえ、ストールで気軽に買って食べて、ができます。
それがウリでもあるのですが、わさわさしていて、混んでいると腰かけるスペースがないので、私自身は食事はほとんど摂ったことがなく、お菓子をつまむぐらいです。
ちゃんと食べる場合は、周辺の飲食店を利用します。
バラ(ボロー)・マーケット内のパン屋さんがスクールを開始して間もなく、渡英のタイミングでスケジュールを合わせて参加した日のこと。
イギリスに限らず、ですが、外国の場合、基本、電車とかの交通網とかを信用していないので(遅れて当然。まあ、先方も慣れてはいるんだけど)、早めに出て、滞りなく移動でき早く着いたら現地で時間をつぶすようにしています。
このときも、スクール開始の30分以上前に着いてしまった。。。
受付けまでも時間があるし、これから始まるパン作りという体力を要するものの前に腹ごしらえ、ということで向かったのは、コンディトー&クック/Conditor & Cook。
https://konditorandcook.com/
コンディトー&クックは、ケーキ屋さん(デリも多少あり)。
現在のロンドンのコーヒーブームの立役者といえる、モンマス・コーヒー/Monmouth Coffeeの隣りにあります。
どーしよーかなー、と迷いながら選んだのは、
・レモン・タート(タルト)/Lemon Tart
・カフェ・マキアート/Caffè Macchiato
セット(Meal Deal)で£3.95。
ここ、基本的に持ち帰りの店舗設計になっているんだけど、
ふと見ると奥のカウンター(といっても3席程度しかない)があいてる!
「使ってもいいですか?」と訊くと
「どうぞ、どうぞ」とにっこり。
なので、チップをおいて、奥の席へ。
レモン・タートはさくさくの土台、パート・シュクレっぽいけど、そこまで甘みはない、かなぁ。パート・ブリゼほどもろくはない。クランブルっぽい、ほろほろ感があります。
フィリングのレモンクリームも比較的あっさり目。酸味も甘味もマイルドなので、量があっても最後まで飽きずに食べられる感じ。
ガツンとしたストレートな苦さや酸味のあるコーヒーではなく、牛乳を加えてほどよく丸みのあるカフェ・マキアートにして正解!
このレモン・タート然り、このお店のお菓子類、よくも悪くも手作り感いっぱい。
形とかアイシングとかがよく言えばおおらか、悪く言えば雑なんですよ〜。
ホームメイドをウリにしている個人店ならわかるのですが、
ロンドンの6店舗を構えているほどの店なのにぃ。
でも、店の立ち位置を振り返れば、わからでもない、か。
コンディトー&クックのオープンは1993年。
今のように本格的なベイクショップは珍しく、町のケーキ屋が圧倒的主流のなかで誕生しました。
このコンディトー&クックや、以前にご紹介した1995年オープンのパン屋さんのベイカー・アンド・スパイス/Baker & Spiceなくして、現在のような洗練されかつ卓越した技術のベイクショップが林立する現象は起きなかったわけで、いわば橋渡し、先駆者です。
そしてそういう立場が得てしてそうなってしまうように、どっちつかずの宙ぶらりんなところにいる、という。
お菓子の仕上がりのツメの甘さは、そういうところから来るんだろうな、と感じるわけです。
で、最初に戻って。
コンディトー&クックのコンディトーはKonditorと綴ります。
イギリスでは店舗名に創業者の名前が付けられるのはよくあることで、kから始まる言葉は珍しいな、あるのはknitとかknotとかkのあとにnを伴うことが多く、そうでないものは外国由来の言葉で、外国にルーツがある人なんだなぁ、ぐらいに思っていたのです。
ここまでは推察できておきながら、っていうのが、私がインテレクチュアルではないところで、このコンディトーってドイツ語でペイストリー・シェフ/pastry chefって意味なんですね!
そうだよ、そうだよ! だってドイツ語でお菓子屋さんは、コンディトライ/Konditoreiだもん!
そこが結びつかなかった、自分のノータリンにがっくしくるわけです。
なんで、ドイツ語がついているかって?
それは、オーナーシェフのGerhard Jenneがドイツ出身でドイツで修業を積んだ人物だから。
ロンドンでパティシエとして働いていた彼を有名にし独立へと向かわせたのは、
著名人のオーダーメイド・ケーキを手がけ、それが評判になったのがきっかけ。
店内に三段重ねのリッチなケーキがディスプレイされているのはそのためでしょう。
そうえいば、同様に著名人のオーダーメイド・ケーキで有名になった、
ペギー・ポーシェン/Peggy Porschenもドイツ出身だな。
たった2人を例に出すのもアレですが、コンディトー&クックはおおらか、ペギー・ポーシェンが繊細でラブリーという違いはあるけれど、ドイツ人は創造性に長けているのかしらん。
thu 18/09/14
~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○パン@ベイカー・アンド・スパイス/Baker & Spice(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25675717/
○カップケーキ@ペギー・ポーシェン/Peggy Porschen(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/18710427/
○カップケーキ 1@ハミングバード・ベーカリー/The Hummingbird Bakery(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/18343368/
○カップケーキ 2@ハミングバード・ベーカリー/The Hummingbird Bakery(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25759968/
○ケーキ@ヴァイオレット/Violet(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25579516/
○ケーキ@ペイトン・アンド・バーン/Peyton and Byrne(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25414561/
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