誰しもそうでしょうが、私はその傾向が強い、ような気がします。
興味のあることにはがーっと向かうけれど、そうでないものは見向きもしない。
私の場合は、歴史や自然に無頓着なので、
たとえばロンドン郊外のキュー・ガーデン駅で降りたことはあっても、
キュー・ガーデンそのものには行ったことがないのです。
一応行っておこう、みたいなものは仕事が絡んでないと、まずやんないですね〜。
そんな時間があれば、興味のあることを優先したい!ので。
なもんで、歴史の延長にある伝統とか慣習にも疎い。
へ〜っ、とは思うのですが、それでおしまい。
そんな私ではありますが、このオリジナル記事のヘッドラインを目にしたとき、
そういえばなんでだろう?と思って、思わず読んだ次第。
イギリスのウェディングケーキは三段重ねで、それには理由があるってこと。”
私は知らなかったですね〜。
だいたいが日本の結婚事情にも興味がなくて
披露宴に招待されても、よっぽど付き合いのある人のときしか出席しないので
(おめでとう!とは思っているんですよ! ただ、自分とは違う世界のこと、って感覚なので)、
いかに無知か、おわかりでしょう。
で、イギリスのウェディングケーキについて。
下の段は、セレモニーで
真ん中の段は、セレモニーのあとで
そして上の段は、大事にとっておいて結婚1周年で
食べるのだとか。
さらに、上の段は、今でこそ1年後に食されるけれど、
19世紀には最初の子供の洗礼までとっておいたとのことです。
洗礼は英語でchristening。
キリスト教に入る儀式、のようなものですが、
現在は宗教的な意味合いは形骸化して、行事のひとつといったところ。
日本でいうお宮参りが感覚としては近いかな、と思います。
今と違って、結婚してすぐに(1年後とか)子供が生まれていたのが通常だった時代、
結婚式から経過する時間としては、結婚1周年とそんな変わらない、ですもんね。
それぞれ意味があることもだけれど、
特に上の段、そんなに長いこととっておくのか!ってことにも驚き。
ですが、よくよく考えると、
このウェディングケーキ、土台にとなっているのはどっしりとしたフルーツケーキなので、
そりゃ日持ちするよな、と納得した次第。
そこで、あっ!と思い出したこと。
2014年秋のイギリス滞在で、シュガークラフトの講習を受け、
ここで土台となったのは、まさに黒くどっしりとしたフルーツケーキでした。
そして、華やかかつ繊細なシュガークラフトを施すケーキは、
特別な機会に作られるって説明を受けたのです。
この特別な機会、自分の身近な事柄としては誕生日とか賞を受賞とかそんなことばかりが頭の中に映像として占めていたのですが、そうそう、結婚式もそうでした!
自分に関係のないことは、いとも簡単に抜け落ちちゃうなぁ。
さらにおもしろいことを。
中世の時代には、小さなケーキが積み重ねられ、このときできるだけ高くし、
ケーキの頂上越しに新郎新婦がケーキを崩すことなくキスができたら、
幸せな結婚とされた、とのこと。
フランスには小さなシュー(クリーム)を積み重ねるクロカンブッシュが伝統的な結婚菓子だし、
近年のイギリスでは、ブームにあやかってカップケーキを集合させるウェディングケーキも登場したり、で
ほうほう、なわけです。
ちなみに、17世紀のイギリスでは、
新郎新婦それぞれの象徴する、2つのケーキを使ってウェディングケーキとしていたとか。
その後、ケーキ職人のウィリアム・リッチ/William Rich(1755-1812)考案により、三段重ねのウェディングケーキが登場し、結婚菓子の定番として、現在まで続きます。
三段重ねという形状にはモデルがあったようで、
それはロンドンはシティにある、その名も聖ブライド教会(ブライド/brideは花嫁の意)。
ただ、当時は素材の問題などもあり、シュガークラフトが施されるようになったのは、後のことだとか。
そうなんだ〜!!!
予備知識がないと、いちいち新しいことばかりで、おもしろい!
確かに、手持ちのシュガークラフトの雑誌のウェディングケーキを特集したものは、
豪華な四段、五段も見られるけれど、基本は三段重ねだわ!
ちなみに、この記事の情報源はこちら(↓)。
Slice of history: This is why a traditional wedding cake has three tiers
https://www.thesun.co.uk/living/2877311/this-is-why-a-traditional-wedding-cake-has-three-tiers/
Why does a traditional wedding cake have three tiers?
http://www.foodheavenmag.com/traditional-wedding-cake-three-tiers/
はい、1番目は、イギリスの東スポ、“ザ・サン/The Sun”からです。
私は、2番目の食メディア“Food Heaven”で知り、でもこれ二次情報で、この“ザ・サン”の情報をもとにしたものなんです。
正直、“ザ・サン”ってあまりにもおやぢっぽくってほとんど読むことがないのですが、いや〜、おみそれしました!
やるなぁ、“ザ・サン”!
スノッブな言い回しがないので、文章もぐっと読みやすいよ!
(おまけ)
こちらは1890年代のイギリスのウェディングケーキを再現したもの(三段ではなく二段重ねだけど)。
なんとまあ、このシュガークラフトの繊細なことよ!
~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○<イギリス菓子・レシピ> バッテンバーグ・ケーキ【Battenberg Cake】 → http://ricorice.exblog.jp/24133144/
○エリザベス女王の90歳のバースデー・ケーキを手がけるのはこの人! → http://ricorice.exblog.jp/24314237/
(↑104の英国お菓子ストーリーを詳しく紹介しています!)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子』は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。
・プロフィール ・活動内容 ・著書
(↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)
・お仕事・講演などのご依頼は、
chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!