家の中やオフィスはともかく外に出ると、コーヒー店の方がぐっと賑やかなロンドン。
現在、カフェというと、この手の厳選したコーヒーと、工夫を凝らした焼き菓子や料理を提供する店というイメージです。
一方で、日本で、たとえば東京・神保町あたりで「さぼうる」「ラドリオ」といった古くから続く喫茶店が健在だったりもして、今のカフェと区別して、レトロカフェと言ったりもします。
このレトロカフェに該当する店が、ロンドンはアールズ・コートに1軒あります。
アールズ・コート駅を東側の出口、アールズ・コート・ロード側(逆の西側はウォリック・ロード側で、アールズ・コート・エキシビション・センターへの出口です)を出て右折、フラムに向かって歩くこと数分、大きい道、オールド・ブロンプトン・ロードにぶつかったら、この道を右に曲がってワンブロック進んだところ(左手にあるので、道を横断しておいた方がいい)。
ここにあるのは、トルバドゥール/Troubadourというカフェ。
http://www.troubadourlondon.com/
店はもともとは2つ隣り合っていたテナントをくつけたのでしょう。
真ん中にカウンターをはさんで、両側に席が広がっています。
古い鋳物(台所用具でしょうか)やコーヒーポットなどが並び、照明も暗めで、独特のノスタルジックな空気が流れています。
このインテリアを見るだけでも訪ねる価値があります。
朝から夜まで営業していて、それぞれの時間帯で、朝食、昼食、夕食を食べることができます。
フル・イングリッシュブレックファストだったりコック・オ・ヴァンといったクラシカルなフランス料理だったり、奇をてらったものではないけれど、定番ものが用意されています。
食事をとらなくても、コーヒー1杯、ワイン1杯という使い方もでき、先日私が利用したのもまさにそれ。
ちょっとひと休み、コーヒーや紅茶って気分ではなく、とても喉が乾いていたので、プロセッコ(スパークリングワイン)を1杯。
これだけでも十分に今や稀少な存在のカフェなのですが、トルバドゥールをトルバドゥールたらしめているのは、ここが文化サロン的な役割を果たしていること。
それもそのはず、トルバドゥールとは“吟遊詩人”という意味で、1954年のオープン以来、ポエトリーリーディングやライブミュージック、映画鑑賞会の場としても使われているのです。
1950年代後半から60年代にかけてのブリティッシュ・フォーク・リバイバルの後押しに、このトルバドゥールは一役買っています。
これまで蒼々たる面々が、ボブ・ディランもポール・サイモンもジミ・ヘンドリックもエルビス・コステロもここでプレイしたことがあります。
今もとほとんど毎日こういったイベントが行われいて、エド・シーランが登場したこともあります。
小1時間いたのですが、近くのテーブルでは昼食がてらやって来て、そのあとえんえんと語り論じ続けていた2人のマダムが。
その一方で、ずっと本を読んでいる初老の男性もいたりして、
長居して自分の世界に没頭でき、それをさせてくれるのもトルバドゥールにふさわしいあり方かもしれないなぁ、と感じるのです。
thu 10/11/16
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