食事もそのひとつで、自ら和食を食べたい!ってことはありません(逆に、帰国してしばらくは、日本の普通の食事を欲しなくなるのが難点ですが)。
ありがちな、外国で和食は無理でも中国料理を〜!って気分になることもないのですが、ときどき無性に食べたくなるのが、タイ料理やベトナム料理。
私の見た目が、日本など東アジア出身というよりもタイ人っぽいからでしょうか(笑)。
2016年秋のイギリス訪問で、一番行きたかった飲食店が、まさにタイ料理店。
名前は、ソム・サー/Som Saa。
http://www.somsaa.com/
訪問を羨望した理由は、タイ料理が食べたくなったから、ではなく、今のロンドンの飲食店、を象徴しているから。
(ちなみに、この前の年に一番行きたかったのはバオ/Bao。それはそれは感動的でした → http://ricorice.exblog.jp/24188784/)
2016年秋は、円高ポンド安でした。ほかの通貨に対しても日本円は強い、という状況だったでしょう。
しかし、それを差し引いても、日本の値段は安い。
500円でランチが食べられる、2000円あれば夕食にビール1杯つけられる、なんて先進国ではありえない!
イギリス、とりわけロンドンはやはり物価が高く(ただし、牛乳や野菜など、基本的な食材は税金がかからないのでむしろぐっと安い)、なかでも顕著なのが賃料。
賃料が高い、ってことはお店を開業するには相当の資金が必要となります。
個人がいきなり実店舗を持つのは至難の技。
そんなわけで、近年のロンドンでは、ストリートフードやポップアップ(期間限定店)で馴らし、そこで資金を貯め、同時に店の存在をPRし、開業へというパターンが見られ、そこは今の時代ですもの、資金調達の方法としてクラウドファンディングも利用されています。
ソム・サーも同様。
ヘッドシェフのアンディ・オリヴァー/Andy Oliverは、ロンドンのNahm(オープンして半年でミシュラン星を獲得したタイ料理店)やバンコクのBo.lanで修業した人物。
料理については、ストリートフードやポップアップ時代(若手シェフ応援のための期間限定もあり)から評判を得ており、同時にクラウドファンディングで資金調達をし、満を持して、固定店舗をオープンしたのは、2016年4月11日(公式には4月18日)。
すぐに飛んで行きたかったのですが(あ〜、こんなときに躊躇なく行けるようになるのが目標!)、秋のイギリス訪問までじ〜っと待つことに。
店内は、外から見るよりもぐんと広く、60人は着席できそうなほどで、エントランス近くの開放的なバースペース、そして奥の厨房近くはしっかり食事をするため用で、少しゆったりめとカジュアルの、ゆる〜く2つのスペースに分かれています。
カジュアルスペースの方は、椅子は学校で使われていたものを利用。最近のインテリアや食器の傾向は、概してゴテゴテじゃなくって、(使い込まれた)工業製品/工房っぽいんだよね〜。
ソム・サーのある場所はスピタルフィールズ、最寄駅はアルゲイト・イースト。
このエリア、リヴァプール・ストリート駅とシティ中心部の真ん中らへんにあり、店を出す側としては穴場かもしれない。ゾーン1内、ロンドンの中心部にありながら、旅行客の場合はわざわざ行くエリアだし、シティど真ん中ではないので、そこまで賃料が高くないのでは?
オープン時間かっきりの12時にお店に到着したときは、2番目のお客で、その後しばらくはぽつぽつだったものの、13時近くになると一気に人が。
メニュー自体はさほど多くありません。
ランチの場合は、
焼き物(グリル)2種、麺類&ご飯もの3種、サラダ4種、カレー&スープ4種、
これにごはん(白いごはんかジャスミンライス)とデザート1種。
ドリンクは5種類(アルコール/ノンアルコール含めカクテル)ありますが、これはフル・ドリンク・リストからも選べ、バーとしても利用できるだけあり、種類が多い! ワインだけで40以上、ビールやサイダー(シードル)、スピリッツ系も豊富です。
ディナーもあまり品数は多くなく、上記のランチの種類よりも多少増える程度です。
で、この日ランチ(2人)でオーダーしたのは、
・Gung Golae(ココナッツでマリネしたタイ風、エビのグリル)
・Som Tam Thai(バンコクスタイルの青いパパイヤのサラダ)
・Gaeng Gat Bai Yeela(ターメリック・シーフードカレー)
に各自ごはん。
飲み物は、私はザ・王道のタイビールのシンハーを、連れ立っていった方はオリジナルカクテルをオーダー。
料理は、非常に洗練された味わいです。
本国タイでの料理は概して、辛さ、甘さなどの味覚がそれぞれ立っていて、その上で混じり合っているのに対し、ソム・サーの場合は、あらかじめバランスよく融合されていて、まろやか。穏やかで、後口もさわやかで心地よい。
だからといって、なんちゃってじゃないの。
ちゃんとタイ料理を熟知して、その上で自らの味を追求している印象。
タイでも、インターナショナルなお客がメインの上質なレストランで食べたらこんな感じだろーなー。
私、青いパパイヤのサラダがあまり得意でなく、というのも、パパイヤの青さやかたさが前面に出過ぎていて、それは野暮ったくもあり、もう少しやり方があるなぁ、と思っていたのですが、ここのはパパイヤがこなれていてやわらかく、ドレッシングにもよくなじみ、パパイヤが主張し過ぎないこともあり、ず〜っと飽きずに食べられる感じ。
あ〜、きちんと下処理しているんだな! こんな風にできるんだな!と感心。チェリートマトやピーナッツも色味や食感、味のいいアクセントだし。
店内に案内してくれたお兄さんはテキパキ、テーブルを担当してくれた女性はややぎこちなかったけれど、一生懸命で好感が持てるサービス。
唯一、締めに飲んだコーヒーが、粉っぽくって今ひとつ。
今ほどコーヒー店がイギリスにあふれていなかった頃、パブで飲んだコーヒーがこんな感じだったなぁ、と懐かしいような残念なような(笑)。
私は予約して出かけましたが、ふらりと立ち寄りも可能。
お店側は、大人数以外は、気軽にどーぞ!というスタンスです。
タイ料理はシェアして食べるから楽しい、2人の場合は4〜5品どーぞ!とお店側は標榜していて、ひとり利用だとオーダーできる数も限られてつまんないかも。
私は2人で出かけ、確かにもう1〜2品頼んでもいーかなー、といったところでした。
ちなみに上記のオーダー、2人で£60ちょい(サーヴィス料込み)。
これに少しチップをおいてきました。
(昨今はサーヴィス料込みの飲食店がぐんと増え、チップをおかなくても、なのですが、習慣化しているのとサーヴィス料はホールスタッフにちゃんと還元されているの?ってことがつい頭をぐるぐるするので、(クレジットカードの支払い額にプラス、じゃなく)現金をおいてきちゃうんですよね〜)
なんせアルコールの種類が多いので、次はバーとして利用してみたいと思っています。
ロンドンは昔ながらのパブに加えて(減っているけど)、ワインバーやバルなどはぐぐっと増えたけれど、こういうちょっとしゃれたアジアスタイルのバーは、実のことろあまりないかも(食事をするところはたくさんあるのに、ね)。
場所もだけれど、スタイルとしても穴場かもしれません。
fri 11/11/16
~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○割包@バオ/Bao(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/24188784/
○ランチ@ブックス・フォー・クックス/Books for Cooks(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/23968640/
○ランチ@クロブタ/Kurobuta(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/23936417/
○ランチ@ハンサム・キャブ/The Hansom Cab(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/22654083/
○結局、チップは誰の取り分になるのか? → http://ricorice.exblog.jp/23614370/
○ロンドンの飲食店のトイレあれこれ → http://ricorice.exblog.jp/24935504/
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子』は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。
・プロフィール ・活動内容 ・著書
(↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)
・お仕事・講演などのご依頼は、
chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!