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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』


久しぶりにアガサ・クリスティー(メアリ・ウェストマコットとして発表)の『春にして君を離れ』を読む。
今まで気に留めていなかった、ナチスの台頭とその行く手についての記述、ソ連の公爵夫人の登場に、はっとする。


そーいえば、彼女はロンドンのモダン建築を代表するひとつ、ローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングに住んでいたんだったな。
バウハウスとの関連が深く、建築家をはじめ芸術家達のサロン的な役割、施主自体がナチスからの亡命者で、彼らのための援助もしていて、と、私もここまでは知っていたのですが、
2014年にナショナル・トラスト主催の建築ツアーに参加したとき、ソ連のスパイがここを住居として使っていたことをきかされ、驚いたのでした。

で、この『春にして君を離れ』が出版されたのが1944年。アガサ・クリスティーがローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングに住んでいたのは、1940〜46年。
この符号!

春にして君を離れ』は、彼女がローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングに住んでいなかったら、物語の本筋とはあまり関係ないものの、ナチスのくだりとか、ソ連の公爵夫人を登場させるとかといった、肉付けの仕方が変わっていたかもしれないし、そもそも執筆されなかったかもしれないんだよねっ!
アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』_e0038047_21343342.jpgちなみに、ここでひつこくひつこく言っているローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングはこんな建物です(↓)。
http://ricorice.exblog.jp/22494115/


あっ、私、アガサ・クリスティーの小説って数冊しか読んでいません。映画は昔よくテレビでやっていて、それを観たぐらいかなぁ。あっ、あとテレビ東京で「ミス・マープル」シリーズ(山岡久乃さんが声を担当していましたね)を午後やってて、それをたまに観てたなぁ(ながらで、熱心にってわけじゃない)。

春にして君を離れ』はミステリーでない(だから別の名前名義で書いた)ってのに興味を持って手に取り、そしたらある意味ミステリー以上のこわさ。
こわい、というよりも、深い。とことん深い。
そして、数年に一度読み返すと、そのたびに色合いが変わる。

あっ、足止めを食らわされたときの食事の、献立表みたいに綴られた記述も興味深いです。


春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


〜〜過去の関連記事も併せてどうぞ
○ロンドンのモダン住居建築ツアー 02 ~ローンロード・フラッツ~ → http://ricorice.exblog.jp/22494115/




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by ricoricex | 2016-07-10 18:00 |