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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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イギリスのエリート企業は“上品度テスト”を実施する


何を今さら、、、と感じたのが第一印象。
そんなことみんな知っているし、改めて発表するようなことではないんじゃないの?と。

- イギリスのエリート企業は“上品度テスト”を実施する
出身校を絞ってのリクルーティング、話すときのアクセント、旅行先をチェックするというもの。
政府の発表があったあと、イギリスのテレビや新聞などのメディアが取り上げ、日本でもハフィントンポストで記事が掲載されました。
その詳しい内容は通りです。
イギリスのエリート企業は新卒採用で「上流階級テスト」を実施する
http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/16/uk-posh-test_n_7591330.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/16/uk-posh-test_n_7591330.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001


イギリスの主だった報道機関での記事はこちら。
Elite firms 'exclude bright working class'
http://www.bbc.com/news/education-33109052


'Poshness tests' block working-class applicants at top companies'
http://www.theguardian.com/society/2015/jun/15/poshness-tests-block-working-class-applicants-at-top-companies?CMP=share_btn_fb


The poshness test lasts a lifetime – to believe otherwise is fantasy
http://www.theguardian.com/commentisfree/2015/jun/15/poshness-test-recruitment-elitism?CMP=fb_gu


'Poshness test' is the new glass ceiling: Working-class denied top jobs as firms prefer 'well-travelled candidates with the right accent'
http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/poshness-test-is-the-new-glass-ceiling-lack-of-wealthy-background-denies-workingclass-people-top-jobs-says-research-10319541.html



たとえば、BBCのニュースリーダー(ニュースキャスターではなくニュースリーダーと呼ぶ)が話すアクセントは、昔に比べ随分訛り(とはいっても強くはないけれど)のある人も増えました(これは放送局の戦略、各地の視聴者に親しみを感じさせる、もあるのでしょうが)。
このように時代によって随分と流動的になっているとはいえ、それでもイギリスにはクラス(階級)というものが歴然と存在し、それを映す鏡のひとつはアクセントだったりするわけで。
アクセントや話す内容なんて、やっぱりそういうエリートの学校、パブリック・スクールなんかに行っていないと身につかないと思うわけですよ。
例がひと昔もふた昔も前で恐縮ですが、バロネス・マーガレット・サッチャーが保守党から首相になるべく、そのアクセントを矯正したのは有名な話。

私ですら、あ〜この人はクラスが上だなぁと感じることはあり、それはアクセント然り、話し方然り、話す内容然り。
アッパークラスになると、誰とでも(これがポイント!)おだやかに会話が続けられる、というおそるべき能力を身につけていて、これは生まれついて、というよりも教育による賜物でしょう。

となるとですよ、エリート企業はやっぱりこういう人間を採用したいと思うのはある意味当然だろうなぁ、と思うのです。
私自身、英語を自分の主軸の武器とするとあらば、そういう環境をはっきりと目指すのであれば、そういう訓練を受けに行くことは明白だからです。
なぜって。それを身につけていないと、(たとえ素晴らしい才能を持っていたとしても)人間として見下されるから。

ちなみにイギリスでは職業にもクラス分けがなされていることからも、このニュース、改めて言うことかなぁ、と。

ただですね、近年、貧富の差(階級の差と貧富の差は同じではありません)がますます広がってきていて、それまで才能があれば大輪の花を咲かせることが可能だった芸能の世界、たとえば俳優業はそのための学校やコース(日本と違って、役者になるための教育機関がしっかり存在します)を受けることが、ワーキングクラスには困難になってきています。
理由は、学費などコストの上昇。補助も減っているかもしれません。
実際に近年活躍している若手の役者を見ると、たいがいミドルクラス出身だったりしますもんね。
こういうのは、う〜〜〜〜〜ん、と思ってしまいますが。

あっ、ちなみに、誤解のないように付け加えると、クラスが上だからいいとか下だから悪いとかそういうことではないんですよね。
それはただ事実としてそこにあるもの、なのです。


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○イギリスの新しいクラス(階級)システム → http://ricorice.exblog.jp/20098425/
○『ビリー・エリオット』と筑豊と → http://ricorice.exblog.jp/21617105/



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by ricoricex | 2015-06-24 00:00 | イギリス社会