ん〜、でもそれも言い訳かも。仕事の資料用とか新書とか、データを文書化したようなものはせっせと読むのですが、といっても、こっちもたいして多くはないので。
要は本をあまり読んでいないってことですね。
それでもときどき、まとまった時間が発生することがあります。
それは移動の時間。ヨーロッパ便は最適です。というのも、私は機内で映画も見なければゲームもしないので(なんだか落ち着かないんですよねぇ。。。)、寝ているか本を読んでいるかどっちかです。
ときどき仕事もしてますが、基本、海外へ行くときに仕事は持ち込まないようにしているので、時間はたっぷりあるわけです。
あとは、渡航先での列車移動などの時間や、めいっぱい予定を入れて動き回らないので、夜あいていたりすると、時間がここでも発生するのです。
そんなときに読むのが、文芸書の類。
新しいものを読むこともあれば、昔読んだものを読み直すこともあります。
とりわけ印象に残っているのは、南仏をのんびり旅しているときのこと。特に、リュベロンを公共のバス移動(一日数本しかバスがない)している際は、なんせ時間だけはたっぷりあるといった状況で、そのとき拠点にしていたマルセイユの友達の家から借りてきた『草枕』と泉鏡花がやけにしっくりきました。
初めて読んだのは高校生のときだったか、そのときに見えなかった風景がくっきりわかる。
年をとるってこういうことなかものねぇ。
こういう風に旅先で巡り合って再読するものもあれば、温存していて旅先で読む物もあります。
2014年秋のイギリス滞在では、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を持参。
『わたしを離さないで』は発売されてからずっと読みたいなと思っていたのですが、なんとなくほとぼりが冷めるのを待ってから、やっと購入して、ようやくイギリス入りして読むにいたったわけです。
いろんな意味で静かでバタバタしていない状況で読みたい、って思ったんですよ。
描かれている特にどーってことないイングランドの田舎のシャビーな風景が、過去の記憶や、時に目の前の光景にやけにオーバーラップして、小説そのものが静かに中へ中へ入っていくようで、じわじわと、でも確実に響きました。
(名前からわかるように、カズオ・イシグロはルーツこそ日本ですが、彼はイギリス人だし、私自身は圧倒的にイギリスを感じる作家です。日本での紹介のされ方が、日本が強調され過ぎるように思われて、いい加減うんざり! ちょっと外国で名をなすと、その人物がもはや日本人でないのに(または日本をベースとしていないのに)日本をやたら強調すること、いい加減やめません? それにより作品や実績そのものがぼやける傾向は、なんとかならんもんですかね?)
ビスケットを持参とかね、どーってことない食事やカフェ(カフ?)のシーンとか、描き方が鮮やかで、そのディテールに、嗚呼、イギリスなんだよなぁ、とつくづく思ってしまいました。
ところで、日本の普段の生活の中で読んでいたら、いったい私はどう感じたんだろう?
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