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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 05


そして忘れてはならないのは、この地方はウスターソースゆかりの場所であること。
ウスターソースは世界的にその名を知られ、
厳密にはソースではないが、フレヴァーをつけるのに欠かせない調味料としてあまりに有名である。

このウスターソースの産みの親は、ウスターシャー出身のサンズ卿である。
インドでベンガル知事の任務を終えて、
帰途に着いた彼はインドからあるレシピを持ち帰った。
これを薬剤師のジョン・リーとウィリアム・ペリンズという2人の人物に
レシピを再現するように依頼する。

果たして、でき上がったものはひどい代物だった。
忘れかけていた数カ月後、棚にはその試作品がまだ眠っていた。
試しにためてみたところ、
以前のおぞましい味はどこへやら、熟成が進み、丸みが加わり、
おいしいソースに変身していたのである。
これこそが、今もイギリスの家庭に欠かせない調味料、
リーペリン・ソースの始まりである。
ウスターソースの作り方は今も門外不出である。
分かっているのは現在も作り方を変えず、そしてオーク樽で数カ月寝かせることだ。

ウスターソースは魔法の調味料である。
ほんの数滴かけるだけで、
煮込み料理もスープも肉のグリルもチーズ料理も
さらにおいしく変身させてしまうのだから。
さらに、ひとつ補足を。
二日酔いにうってつけとされるカクテル“prairie oyster”は、
トマトジュースにウスターソースを加えたものである。

これまで見て来たように、
グロスターシャー、ウスターシャー、ヘレフォードシャー、
これらの州は高品質の食材の産地であり、美食を生み出している。
訪ねるたびに新鮮な驚きがある。
(終わり)

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by ricoricex | 2014-12-30 00:00 | イギリスの地方料理