人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 03


この地方で盛んな畜産は牛に限らない。
コッツウォルド・ヒルズは羊で知られる。
グロスターの素晴らしい教会は、羊毛業が繁栄し潤ったことによるものだ。
羊肉は料理にも頻繁に使われ、
中でも興味深いのは、グロスター・スクォブ・パイである。
スクォブとは小鳩の意味で、
ほかのエリアのスクォブ・パイが文字通り、小鳩を使うのに対し、
ここで使われるのはラム。
スパイス類やリンゴで風味づけしたラムが使われるのだ。
羊がよく食べられていることを示すひとつの例だろう。

豊穣な大地は果物にも有効だ。
リンゴ、洋梨をはじめ、プラムはこの地方の特産品。
とりわけ開花の時期は、絵画のような美しい風景が広がる。
秋の収穫時には、どうしても木から自然に落ちてしまうリンゴがある。
そんなときは、豚を放って食べさせていた。
もっとも、今ではあまり行われないようだが。
豚といえば、加工品もよく作られ、
ミッドランズ・カットと呼ばれるベーコンが名物だ。

ヘレフォードシャーではリンゴから造る酒、サイダー醸造が盛んである。
洋梨も同様。洋梨の酒、ペリーもこの地方で造られる。
これらのフルーツ酒は、ノルマン・コンクエストの際、イングランドにもたらされた。
リンゴから造るサイダーと異なり、洋梨の場合は醸造に適した種は限られる。
そのためかペリー醸造の規模は大きくはない。

ソフトフルーツ栽培も熱心で、そのひとつがグーズベリー。
グーズベリーを使ったお菓子にオールドベリー・タートがある。
よく似たものにノッティンガム・パイがあるが、
ノッティンガム・パイがアップル・ジェリーを使うのに対し、
オールドベリー・タートの場合は赤ザラメ糖をふりかける。
熱いうちに、冷たくてもおいしい一品で、
カスタードかクリームを添えて食べる。
(・・続 く・・)

**********
前回までの“イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 01&02”はこちら(↓)
イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 01 http://ricorice.exblog.jp/22576117/
イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 02 http://ricorice.exblog.jp/22605182/

これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン
イギリスの地方料理 バークシャー
イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー
イギリスの地方料理 サリー
イギリスの地方料理 ケント
イギリスの地方料理 イースト・アングリア
イギリスの地方料理 サセックス
イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島
イギリスの地方料理 ケンブリッジシャー
イギリスの地方料理 ウィルトシャー
イギリスの地方料理 ドーセット
イギリスの地方料理 サマセット
イギリスの地方料理 コーンウォール
はこちら(↓)
http://ricorice.exblog.jp/i28/



・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。
by ricoricex | 2014-12-09 00:00 | イギリスの地方料理