グロスター・チーズ・アンド・エールがある。
これはウェルシュ・ラビットに似た、要はチーズトーストである。
耐熱皿にスライスしたグロスター・チーズを入れ、
イングリッシュマスタードを広げ、ブラウンエールを注いだら、オーブンで焼き、
トーストにのせて食べるという代物である。
ダブル・グロスターを使った料理はほかにもいろいろあるが、
イギリスの伝統的な保存食、ポット・チーズもよし。
チーズをおろし、同量の無塩バターを合わせ、シェリーかポートを加え、
カイエンヌペッパーを少しふり、スムーズになるまでよくかき混ぜる。
これをポットに入れ、澄ましバターで表面を覆って作られる。
チーズと言えば、グロスターシャーには名物のイベントがある。
春のバンクホリディに行われる、その名も“チーズ転がし”。
チーズが丘の頂上から斜面に転がされ、競技者がそれを追うというものだ。
勝者には、もちろんそのチーズが贈呈される。
安全面から中止の声も上がっているが、
今や世界的に有名となったこの祭り、
圧倒的な支持を受けて、毎年行われている。
乳のみならず、牛そのものも良質だ。
顔の部分が白いヘレフォード種はイギリスでも古い種のひとつで、
ブリティッシュ・レッド・ロングホーンとオランダ原産の牛とを交配させて誕生した。
その歴史は17世紀に遡る。
ヘレフォード種は、肉質はやわらかく香りもよい。
イギリスでは現在で、昔ほど食用されないのがいささか残念である。
とはいえ、ヘレフォード種は改良され、世界各国で育成されている。
ヘレフォード種の肉はいろいろな料理に使えるが、
極めつけは、ビーフ・オリーブだろう。
これはヴィクトリア朝の料理で、
具材を巻いた牛肉をオーブンで煮込むキャセロール料理で、
オリーブは使っていないが、具材を詰めて巻いた牛肉が
オリーブのように見えることから命名されたと考えてよいだろう。
(・・続 く・・)
**********
前回の“イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 01”はこちら(↓)
イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 01 http://ricorice.exblog.jp/22576117/
これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン”
“イギリスの地方料理 バークシャー”
“イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー”
“イギリスの地方料理 サリー”
“イギリスの地方料理 ケント”
“イギリスの地方料理 イースト・アングリア”
“イギリスの地方料理 サセックス”
“イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島”
“イギリスの地方料理 ケンブリッジシャー”
“イギリスの地方料理 ウィルトシャー”
“イギリスの地方料理 ドーセット”
“イギリスの地方料理 サマセット”
“イギリスの地方料理 コーンウォール”
はこちら(↓)
http://ricorice.exblog.jp/i28/
・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。