人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 02


ダブル・グロスターを使う名物料理のひとつに、
グロスター・チーズ・アンド・エールがある。
これはウェルシュ・ラビットに似た、要はチーズトーストである。
耐熱皿にスライスしたグロスター・チーズを入れ、
イングリッシュマスタードを広げ、ブラウンエールを注いだら、オーブンで焼き、
トーストにのせて食べるという代物である。

ダブル・グロスターを使った料理はほかにもいろいろあるが、
イギリスの伝統的な保存食、ポット・チーズもよし。
チーズをおろし、同量の無塩バターを合わせ、シェリーかポートを加え、
カイエンヌペッパーを少しふり、スムーズになるまでよくかき混ぜる。
これをポットに入れ、澄ましバターで表面を覆って作られる。

チーズと言えば、グロスターシャーには名物のイベントがある。
春のバンクホリディに行われる、その名も“チーズ転がし”。
チーズが丘の頂上から斜面に転がされ、競技者がそれを追うというものだ。
勝者には、もちろんそのチーズが贈呈される。
安全面から中止の声も上がっているが、
今や世界的に有名となったこの祭り、
圧倒的な支持を受けて、毎年行われている。

乳のみならず、牛そのものも良質だ。
顔の部分が白いヘレフォード種はイギリスでも古い種のひとつで、
ブリティッシュ・レッド・ロングホーンとオランダ原産の牛とを交配させて誕生した。
その歴史は17世紀に遡る。
ヘレフォード種は、肉質はやわらかく香りもよい。
イギリスでは現在で、昔ほど食用されないのがいささか残念である。
とはいえ、ヘレフォード種は改良され、世界各国で育成されている。

ヘレフォード種の肉はいろいろな料理に使えるが、
極めつけは、ビーフ・オリーブだろう。
これはヴィクトリア朝の料理で、
具材を巻いた牛肉をオーブンで煮込むキャセロール料理で、
オリーブは使っていないが、具材を詰めて巻いた牛肉が
オリーブのように見えることから命名されたと考えてよいだろう。
(・・続 く・・)

**********
前回の“イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 01”はこちら(↓)
イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ 01 http://ricorice.exblog.jp/22576117/

これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン
イギリスの地方料理 バークシャー
イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー
イギリスの地方料理 サリー
イギリスの地方料理 ケント
イギリスの地方料理 イースト・アングリア
イギリスの地方料理 サセックス
イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島
イギリスの地方料理 ケンブリッジシャー
イギリスの地方料理 ウィルトシャー
イギリスの地方料理 ドーセット
イギリスの地方料理 サマセット
イギリスの地方料理 コーンウォール
はこちら(↓)
http://ricorice.exblog.jp/i28/



・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。
by ricoricex | 2014-11-29 00:00 | イギリスの地方料理