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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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ロンドンのモダン住居建築ツアー 03 ~アレクサンドラ・アンド・アインスワース~


今秋、イギリス訪問の際に偶然にも参加できた
ロンドンのモダン住居建築ツアー
Road Trips by Routemaster: Visions of Utopian Living with Tom Cordell
は、ナショナル・トラストが開催した
UTOPIA LONDON”という建築映画を監督したTom Cordellと一緒に
ユートピアを目指して作られたロンドンの住居建築を巡るツアー。
ロンドンのモダン住居建築5カ所を、
かつて郊外を走っていた緑色の2階建てバス、ルートマスターで回りました。

このツアーに参加できたいきさつについては、
ロンドンのモダン住居建築ツアー 01
http://ricorice.exblog.jp/22471253/

最初の訪問場所のローンロード・フラッツについては、
ロンドンのモダン住居建築ツアー 02 ~ローンロード・フラッツ~
http://ricorice.exblog.jp/22494115/

をご覧ください。
ロンドンのモダン住居建築ツアー 03 ~アレクサンドラ・アンド・アインスワース~_e0038047_081575.jpg
ツアーの最初の目的地、ローンロード・フラッツの見学が終わり、
バスに乗り込んで向かった先は、
カムデンにあるアレクサンドラ・アンド・アインスワース/The Alexandra and Ainsworth
アレクサンドラ・ロード・エステイト、ロウリー・ウェイとも呼ばれます。

集合住宅建築というと、とかく高層階のビルを思いがちですが、
ここは4階建ての低層階で、縦ではなく、横に長い建物です。
ええと、タイとかのリゾートホテルで、低層階のホテルがありますよね。
あれのもっと規模が大きいというか、ざっくりと言うと。
まあ、とにかく長い。距離にしてどのくらいでしょうか、何100m、
ロンドンの地下鉄のひと区間はあるんじゃないかと思えるほどの大きさです。

敷地内を1本の道が走り、両側に建物が建ち、
各フラットの玄関もこの道に面して設けられています。
デザイナーは、アメリカ合衆国生まれ、ロンドンのAAで学んだニーヴ・ブラウン。
1968年にデザインができ上がり、工事の着工は1972年、
6年後、デザイン完成から10年後の1978年に完成しました。

各フラットはテラスを大きく設けられているのが特徴で、
歩いているとそれぞれの住居者の生活の様子が垣間見れます。
スペースがあることもあり、観葉植物が設置されていたりもするため、
コンクリート色は思っているほど強くありません。
住居内は見学できませんでしたが、
テラスが大きい、ということは窓が大きく、採光も期待できそうで、
ぎちぎち感は少ないのでは、と推察します。
ロンドンのモダン住居建築ツアー 03 ~アレクサンドラ・アンド・アインスワース~_e0038047_094212.jpg
一番の問題は、郵便屋さんでしょうか。
防犯の意味もあるのでしょう、各フラットの玄関は地面に面しておらず、
ちょっと階段を上がったところに設けられています。
ということはですね、一軒一軒いちいちこの玄関へのアプローチの階段を昇降しないといけない。
いくら段数が多くないとはいえ、非常に疲れるのは想像にかたくありません。
「この玄関の造りって、郵便屋さんが大変じゃない」と言ったら、
周りにいたほかのツアー参加者の方にえらく感心されました(笑)。
と同時に、まさに郵便屋さんが配達している姿が!
「ほら見て! やっぱり大変そうよ」と(笑)。
ロンドンのモダン住居建築ツアー 03 ~アレクサンドラ・アンド・アインスワース~_e0038047_0165778.jpg

公民館、というか、住居者のために別棟でコミュニティスペースもあり、
ここで実際に暮らして、コミュニティを運営している立場の方からお話をうかがいました。
おもしろかったのは、子供のためにあらかじめ遊び場は用意されているものの、
子供というのは万国共通、何にでも遊びを見出すもので、
建築家の意図とは別のところで子供が喜んで遊んでいると。

このコミュニティスペースで感じたのは、
こういう優れたコンクリートの建物は、圧迫感を感じさせない意図があるのでしょう、
採光のとり方、それは窓のようなわかりやすいものだけでなく、
天井とか壁のちょっとしたスペースの角度の付け方がうまいということ。
ル・コルビュジエのロンシャンの礼拝堂は、圧倒的な光が強烈な印象でしたが、
ラ・トゥーレット修道院は、まさにこの光のとり入れ方が焼き付いていて、
ゲーテの「もっと光を!」じゃないけれど、
ヨーロッパの北の方は、採光は住居を考えるときに、
これらの国々より緯度が低い日本で生まれ育った私のような者が思うよりも、
意識的/無意識にしろ、ずっと重要視されているんだろうなぁと思ってみたり。
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そんなこんなでとうに12時を回り、アレクサンドラ・アンド・アインスワースを後に、
バスは次の目的地へと向かいます。次の場所については、次回。

sat 27/09/14



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by ricoricex | 2014-10-31 00:00 | 建築&デザイン