イングランド、ひいてはイギリスの南西端に位置するコーンウォール。
アイルランドや新世界への玄関口でもある。
カウンシルの所在地はトゥルーロだが、
かつてはボドミンが行政の中心地であった。
コーンウォールは、首都ロンドンからは遠く、
隣接するデヴォンとはテイマー川で分断され、
地続きではあるものの、
島のように独立した様相のエリアでもある。
そのため、独自の食文化を形成しており、
またテイマー川沿いには食スポットも多い。
コーンウォールは隣接するデヴォンやサマセットに比べると、
牛や豚、鶏といった家畜が一般的というわけではなかった。
では、何をメインの肉としていたかというと、ヤギ。
とはいえ、今日では状況は変わり、
コーンウォールは良質なラムの産地をして知られる。
コーンウォールのムーア/原野では、
ウサギや鴨など、さまざまなゲーム/ジビエが見られる。
家禽類でいえば、鶏がメジャーどころで、
リッチな味わいのコーニッシュ・コードゥル・チキンパイが名物だ。
コーンウォールで一番有名な食べ物と言えば、やはりコーニッシュ・パスティだろう。
スズ鉱員や農夫の昼ごはんとして始まったもので、
今では全世界で、姿形こそ変わっているものの、
コーニッシュ・パスティをオリジナルとする食べ物を
見ることができる。
19世紀、コーンウォール西部、
とりわけレッドラスやカンボーンでは、スズ鉱が主要産業だった。
スズ鉱は比較的最近まで行われ、閉山したのは1997年のことである。
コーニッシュ・パスティのレシピは作り手によって実にさまざまである。
とはいえ、伝統的なレシピでは、具には、肉は挽き肉ではなく細切れを使い、
ジャガイモとタマネギが入る。
人によってはスウィード(スウェーデンカブ)を加える場合もある。
生地は、ショートクラスト・ペイストリーが使われるが、
近年ではパフ・ペイストリーを利用することも珍しくない。
(筆者注:ショートクラスト・ペイストリーはイギリスの練り込みパイ生地。
パフ・ペイストリーはイギリスの折り込みパイ生地。
パフ・ペイストリーの方がサクサクと軽い食感がある)
コーニッシュ・パスティは、具材にしろ、生地にしろ、何でもありなのだが、
それを忌み嫌って、悪魔がコーンウォールに近寄らなかったという逸話もある。
(・・続 く・・)
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