行ったはいいが休みだった、というのは避けたいなぁ、と思ったのと、
併設の宿泊施設とレストラン、特に宿泊施設は大型ホテルではなく、
数部屋のみのプチホテルで、ブドウ畑を見渡せる、というところが気に入り、
グロスターシャーにあるワイナリー、スリー・クワイヤーズ/Three Choirs Vineyardsに
宿泊、レストランでの夕食、ワイナリーツアーとまとめて予約を入れたのは2013年秋のこと。
教えてもらった最寄駅を降りるとそこは、そこは何も、何もない無人駅。
はれっ、タクシーは???
ワイナリーツアーに十二分に間に合うよう、随分早めに到着したこともあり、
まあ、なんなとなるでしょう、
最悪の場合はロンドンに戻ろう、その場合は途中でどこか寄ろうかなぁと思いつつ、
とりあえずワイナリーに電話をし、状況を説明。
その後、教示いただいた方法がなかなかうまくいかず、何度かやりとりをして、
なんとか到着。ワイナリーツアー開始ぎりぎりの時間でした。
ワイナリーツアーでは、ワインテイスティングをしながら、ワイナリーを見学。
収穫は終わったとのことで、ブドウ畑には入らず、見渡せる場所でざっくりと説明を受けました。
イギリスでワイナリーツアーに参加するといつも思うのですが、
参加者は、イギリスのミドルクラスばっかり。年齢層は高め。
でも、どこもそれなりに参加者がいるんですよね。
ご一緒した人たちやスタッフの方としゃべっていて、はっとしたことがあります。
「イギリスのワインはおしなべて質がいいとはいえ、価格や生産量では、
たとえばオーストラリアや南アフリカといった国々には勝てない。
となると、卸しや販売だけであれば到底太刀打ちできない。
そこで、今、イギリスのワイナリーはワインツーリズムに力を入れるようになって、
観光アトラクションとして楽しんでもらうことから始めて、
イギリスのワイン業界全体の底上げを図っているのだ」。
あっ、そうか!と妙に腑に落ちたのです。
ワイナリーツアーの後、ホテルのチェックインを済ませて手渡されたのルームキーは
ブドウの葉をあしらったもの。
部屋のアメニティにワイングラスがあるあたりも、ワイナリーの宿泊施設ならでは。
部屋の色もボルドー色が基調です。
大きな窓の向こうはテラスになっており、遮るものなくブドウ畑が見渡せます。
滞在した日はあいにくの天気でしたが、
それでもリフレッシュした気分になれます。
バーを併設したレストランは、中央にしつらえられた大きなワインセラーが印象的。
これはテーブル席と、レジやソファ席を遮断する役割もあるよう。
当然、ワインは自社ワイナリーのものです。それはメニューも同様。
ワイナリーツアー&テイスティングですでにそれなりに飲んでいたこともあり、
夕食ではワインはグラスで2杯。
2コースにして、私にしては珍しくプディング/デザートをスキップ。
アミューズに続くスターターは、その日のスープをチョイス。
この日は、(記憶が合っていれば)クレソンをメインとしたスープで、
クルトンというには随分とおおぶりなパンがどどんと乗っかっています。
コクがあり、量もたっぷり。少食の人ならこれだけでお腹いっぱいになってしまうのでは。
メインは鳩のロースト。
タイムとポートのソースに、付け合わせは、パールバーレーとビーツのリゾット。
コーヒーで締めて、これで夕食はトータル50ポンド程度。
この値段でこの内容ならお値打ちになるんじゃないかな。
盛り付けも味わいも洗練された料理、というわけでは決してないし、
日によってムラはありそうだけれど、そういう肩肘ならない大ざっぱなところも、
ワインに合うちょっとおいしいものを食べるにはいいなぁと思います。
おいしいものを飲んで食べて、
すぐにごろんとなれる、しかもきれいな部屋で、というのは、いいもんだなぁとつくづく感じます。
この日も夕食後、満ち足りた気分で、
徒歩数十歩で部屋に戻り、のんびりした夜を過ごしました。
翌朝。電車に合わせた出発の時間がやや早かったので、
フル・ブレックファストは準備できないけれど、と言われましたが、
いつも朝はそんなに食べないので、シリアルや果物、ヨーグルトがあれば充分です。
とかくディストネーションありきの旅になりがちですが、
今回ワイナリー訪問のように、ひとつのテーマで滞在先や過ごし方を決めるのも、
また見方や感じ方が違っておもしろいもんだなぁと思います。
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☆ヴァージン アトランティック航空で「イングリッシュワインで乾杯!」コラム連載中
http://www.virginatlantic.co.jp/letsgouk/english-wine/
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