世界遺産にも登録されている、温泉で有名な観光地だ。
Bathと綴り、そう、温泉があることからこの地名がついた。
現在、バースは厳密には、
サマセットにある単一自治体、バース・アンド・ノース・イースト・サマセットに位置する。
エイヴォン州に属する街だったが、1996年にエイヴォン州が廃止され、
現在の形態となった。
バースは、それ以前にも温泉そのものは存在していたが、
ローマ支配下の時代に、その治癒効果から温泉の街として発展し、
“Aqua Sulis”と呼ばれていた。
この街の名声がもっとも轟いたのは18世紀。
王室や富裕層が保養地として利用し、
ファッショナブルな街として注目を集めた。
その当時、食の面でも最先端をいっており、
健康のためにミネラルウォーターをたっぷり摂取することが提唱され、
エッジのきいた食事が提供されていた。
スパを訪れた人々は、18世紀は当たり前の習慣だった暴飲暴食をやめ、
シンプルな食事を摂るように諭された。
1750年、この地のミネラルウォーター・ホスピタルの創設者、
オリヴァー博士は、自らの名前を冠した
“バース・オリヴァー/Bath Oliver”というビスケットを作り上げた。
これは、小麦粉、バター、イースト、牛乳を原料とした
パリッとした歯触りのビスケット/クラッカーで、
ぽつぽつと小さい穴があけられ、中央に博士の顔をなぞらえているのが特長である。
紆余曲折を経て、現在でも作られており、
バースをはじめ、イギリスのほかの町でも入手可能である。
“バース・オリヴァー/Bath Oliver”はチーズと食べるのに適しており、
とりわけ地元産チェダーと相性がよい。
バースを訪ねたら、ぜひとも行って欲しいところがある。それは、レストラン「The Pump Room」。
おすすめは朝食。コーヒーとともに、地元の名物パン、バース・バンが食べられる。
これも、また、オリヴァー博士によって
考案されたものだ。
サフランで色付けしたパン菓子で、
多くのほかの伝統的なパンと違って、
カランツやレーズンが入っていない。
ただし、トッピングには、砕いた角砂糖とともに使われる。
(筆者注:現代のレシピでは、カランツやレーズンなどのドライフルーツは生地に含み、
サフランを使わないものが主流である)
(・・続 く・・)
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