人気ブログランキング | 話題のタグを見る

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

イギリスの地方料理 ドーセット 01


ドーセットは、石灰質の絶壁と美しい海が織りなす海岸線で知られる。
世界第2の湾岸はドーセットのプールにあり、
内陸部に行けば季節ごとに自然の花々が彩りを添える。
古い教会や茅葺き屋根の家が点在するかわいらしい村々、
シャーボーン、シャフツベリー・ドーチェスター、ブリッドポート、ウィンボーン、
コーフェ・カースル、ブランドフォードといった歴史ある町がいくつもある。

そんなドーセットの食は、土壌を反映するものだ。
海の幸や豊かな牧草地が育む乳製品に恵まれている。
しかし、昔からそうだったわけでは決してない。
19世紀、この地域の農業従事者は最低賃金の労働を余儀なくされていた。
この地方には産業と呼べるものはなく、あったのは農業と漁業、
それと石材。
ポートランド・ストーンは、良質な建築素材としてロンドンに運ばれていたので、
それに関する産業があった程度である。
ボタン作りも家内工業として行われていた。
しかし、1851年のロンドン万国博覧会が開催されると、
イギリスでは機械化が進み、
ボタン作りは家内工業から工場生産へと移っていった。

当時、低賃金労働者が好んで食していたのがルーク・パイ。
肉がなければ根菜やダンプリングで代用できたのが、大きな理由だろう。
煮込み料理やパイの材料としては、ウサギもよく食べられていた。
野生のウサギを食用に交配させていたほどだ。

イギリスの地方料理 ドーセット 01_e0038047_0194413.jpgブラックベリー、クラブ・アップル、スローといった
果樹栽培も盛んだった。
もちろん野菜も作られ、
これらの果物や野菜は、スープにしたり、
ピュレにして肉料理に添えられたりした。
ハマナなどの海草を使うことも珍しくなかった。
また、石灰質の土壌をもつこのエリアは、
クレソンの栽培にも適しており、
商業的にも大きなものとなり、19世紀からはほかのエリアへ出荷もされた。
現在も、スペティスベリーはクレソンの産地として知られる。
クレソンのスープは、このエリアらしい食べ物でもある。
(・・続 く・・)

**********
これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン
イギリスの地方料理 バークシャー
イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー
イギリスの地方料理 サリー
イギリスの地方料理 ケント
イギリスの地方料理 イースト・アングリア
イギリスの地方料理 サセックス
イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島
イギリスの地方料理 ケンブリッジシャー
イギリスの地方料理 ウィルトシャー
はこちら(↓)
http://ricorice.exblog.jp/i28/



・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。
by ricoricex | 2014-07-09 00:00 | イギリスの地方料理