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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

イングリッシュワイン ~ブレイキー・ボトム キュヴェ・アレクサンドル・シュワツシュコ 2008~


イングリッシュワイン ~ブレイキー・ボトム キュヴェ・アレクサンドル・シュワツシュコ 2008~_e0038047_1222398.jpg
                      (グラス協力:アイシュ http://www.eisch.jp/

好きになる音楽は、ヴォーカルの声質も大事で、
歌い上げ系や粘着質のあるタイプが得意でない私は、
さらっと素直に歌われるものが好きなのですが、
ジョン・レノンの声、というのは、やはり理想だなぁとつくづく思うのです。
細いようでいて、骨格がしっかりしている、というのかな。
核がちゃんとあるんだけれど、それはあまり前面に出て来なくって、
心地よいゆらぎのようなものに覆われている、というのか。

食の仕事をしていながら、当初はワインには近づかないようにしようと思っていて、
でも、それが覆されたのがオーストラリアに行ってから。
質の高さやヴァラエティの豊かさはもちろんだけれど、
“されどワイン”もさることながら、“たかがワイン”のあり方を見せてもらったから。
まずは飲んで楽しんで、それからだ、といった具合に。
そしてオーストラリアから戻り、
東京のオーストラリアワインを扱っている酒屋さんやレストランを取材する機会を得て、
多くのところで推薦されたのが、ショウ・アンド・スミス。
突出して派手なわけではく、飲みやすい、でもぶれないだれない芯の強さがあって、
じわじわとしみてきました。これぞエヴァーグリーン。
ショウ・アンド・スミスは、
私のオーストラリアワインの先導であり、基準でもあります。

噂にはきいていて、実際に見聞きもし、でも田舎にあることもあり、
やっとイングランドのワイナリーをいくつか回れたのが2010年。
イングリッシュワインって思っていたよりもずっとレベルが高いな、の中で、
私がイングリッシュワインの虜になった決定打は、
サセックスにあるワイナリー、ブレイキー・ボトムを訪ねたとき。
そのときに飲んだスパークリングワインの衝撃たるや。
試飲だというのに、おいしい!おいしい!を連呼して、
もっと飲むか?と訊かれ、ぜひっ!と応答すること数回、
ボトル半分を開けてしまったという(普段、私はグラス2杯が関の山です)。
これがきっかけに、イングリッシュワインが俄然おもしろくなったのです。

それは、しっかりとした骨格がありながら、それを押し付けないやさしさのある、
ジョン・レノンの声のようなスパークリングワイン。

それは、優れたセンスとバランス感覚でいつ飲んでも安心できる
オーストラリアのショウ・アンド・スミスのようなイギリスのエヴァーグリーン。

イングリッシュワイン ~ブレイキー・ボトム キュヴェ・アレクサンドル・シュワツシュコ 2008~_e0038047_1262693.jpg
ブレイキー・ボトムではヴィンテージごとに名前が変えられ、
この2008年のものは、キュヴェ・アレクサンドル・シュワツシュコ。
登場するのは、家族や友人ら、造り手にゆかりのある人の名前です。
(ちなみに造り手は、小泉八雲の遠縁にあたる人なので、
 将来、そんな名前が登場することがあるかも?)

キュヴェ・アレクサンドル・シュワツシュコで使用されているブドウは
セイヴァル・ブラン100%。
ブレイキー・ボトムではシャンパーニュ・ブレンドのものも造っていますが、
この単一品種のスパークリングワインの方が、シンプルな分、
ワイナリーの個性がより表現されているように思えます。
2008年のヴィンテージは、以前飲んだときの
ソフトさはやや影をひそめ、
よりすくっと立っている感じがしました。
いずれにしよ、ぶれないところは変わらず。
飲み続けていてもだれないし、まったく飽きないし疲れない。
それってすごいことだと思いません?


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ヴァージン アトランティック航空で「イングリッシュワインで乾杯!」コラム連載中
http://www.virginatlantic.co.jp/letsgouk/english-wine/



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by ricoricex | 2014-06-27 00:00 | イングリッシュワイン