イングランド東部に位置し、
1974年より、ケンブリッジシャー、ハンティンドンシャー、
そしてイーリー島とが合併し、ケンブリッジシャーとなった。
ケンブリッジシャーはなんといっても、州の名にもなっている、
世界有数の名門校、ケンブリッジ大学で知られる。
ケンブリッジ大学の正確な創設年ははっきりとわかっていないが、
世界最古の大学のひとつに数えられ、中世の時代に始まった。
オックスフォードから逃れて来た学者たちがこの地で研究・教育を始め、
ほかの古い大学の例に漏れず、
自然発生的に発展を遂げ、規模も大きくなっていった。
大学で有名なこの州の料理と言えば、まずは、料理名にもその名を冠された
ケンブリッジ・プディング(もしくはカレッジ・プディング)。
スエ(牛脂)を使う、ドライフルーツをたっぷり使う、
蒸して作る、大ぶりなど共通事項が多いことから、
クリスマス・プディングの原型と考えられている。
ちなみに、1617年のケンブリッジ・プディングのレシピに、
蒸す時に使うふきんをプディング・クロスと綴ったことから、
以降、この手のふきんをプディング・クロスと呼ぶようになった。
カスタードテイストの贅沢なお菓子も
ケンブリッジにはある。
それはバーント・クリーム/クレーム・ブリュレである。
リッチなカスタードの上を
カラメライズされた砂糖が覆うデザート菓子だ。
(筆者注:バーント・クリームはケンブリッジ大学
トリニティカレッジにもたらされたとされ、
ケンブリッジ・バーント・クリーム、
トリニティ・クリームとも呼ばれる。)
カスタード菓子はほかにもあり、
フランシス・ホワイトは1932年の著書の中で、こう述べている。
“カスタード・クリームとアーモンドプードルの入った小さなタルトは、
1890年代のケンブリッジの学生の好物だった。
このタルトはクリーム・ダリオールとも呼ばれていた。
ダリオールとはプリンカップに似た高さのある小さな型のことで、
この型にカスタードを詰めたパイを焼いて売られたことから、
そう呼ばれるようになった”と。
ケンブリッジはまた、ソーセージでも知られている。
今も多くの肉屋では工夫を凝らした独自のレシピでソーセージ作りに励んでいる。
なかでも伝統的なケンブリッジの豚肉のソーセージは、Waller’sのものとされる。
肉屋のなかには自ら養豚場を持ち、
そこで飼育した豚を使ってソーセージを作るところもあるほどだ。
(・・続 く・・)
**********
これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン”
“イギリスの地方料理 バークシャー”
“イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー”
“イギリスの地方料理 サリー”
“イギリスの地方料理 ケント”
“イギリスの地方料理 イースト・アングリア”
“イギリスの地方料理 サセックス”
“イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島”
はこちら(↓)
http://ricorice.exblog.jp/i28/
・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。