ワイト島はソレント海峡を隔ててハンプシャーの南岸に向き合うように位置し、
島であると同時に、ひとつの州でもある。
この地は肥沃な土壌、かつ雨量も充分なことから、
農作物の栽培に適している。
ハンプシャーとワイト島では、
小麦、大麦、オーツ麦などの穀類や根菜など、さまざまな農作物が作られる。
美しい村々や景観の素晴らしい海岸線、活気あふれる街も点在し、
食べる楽しさと見どころの多さで、訪れる者を飽きさせない。
ロンドンから1時間ほどで行けるので、
泊まりはもちろん気軽な日帰り旅行にももってこいだ。
ハンプシャーを代表する農作物のひとつはクレソン。(筆者注:日本で一般に使われている
クレソン/cressonはフランス語。
英語では、ウォータークレス/watercressとなる)
イギリスではサラダの具材としてよく登場する
おなじみの野菜で、
その起源は古代ギリシャまで遡れるとされる。
ピリッとした独特の辛みがあり、風味がよい。
栄養成分としては、鉄分やビタミンを豊富に含む。
クレソンは、かつてはワーキングクラスの食材とみなされており、
朝食用のサンドイッチの具材として使われていた。
パンを食べる余裕のない貧しい人たちが、代替としてクレソンを食べていたという。
そのため、クレソンは“貧乏人のパン”と称されていた。
一方で、石灰質の土地の清流で摘み取られる初物のクレソンは評価が高く、
ロンドンのコヴェント・ガーデンに運ばれ、売られていた。
(筆者注:現在のコヴェント・ガーデンは商業地区としての様相を呈しているが、
かつては野菜や果物の市場があり、人々の胃袋を支えた場所)
ハンプシャーから運ばれ、商人によって買い取られた後で、
束にし、きれいに整えることで付加価値をつけて販売された。
この当時、コーンに入れたアイスクリームよろしく、
束になったクレソンを、歩きながらかぶりついていたようである。
クレソンは、チャールズ・ディケンズの『オリヴァー・トゥイスト』にも登場する。
(・・続 く・・)
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