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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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イギリスの地方料理 イースト・アングリア 04


イースト・アングリアの地元の食材を愛する心はメーカーに息づいており、
プライドすら感じられる。
それは老舗もニューフェイスも変わらない。
メーカーでは、目先の流行にとらわれず、食の遺産とも呼べるアイテムを多々生産している。
そのひとつがニシンの燻製。
グレイト・ヤーマスで大量に水揚げされるニシンは、
スモークして加工品を作るための大きな燻製場が、
その港町にいくつもできるにいたった。
現在では、ニシン漁そのものはすっかり衰退してしまったが、
ニシン加工業については今だに健在である。

ニシンの燻製は、赤ニシンは海水に一週間漬けられ、
オークやそれに類する木材でしっかりとかたくなるまで燻製にされる。
かつてはこのエリアでは毎日のように食されていたものの、
今ではそのほとんどは輸出用となってしまったが。
このエリアのニシンの燻製はマイルドな味わいで、ファンが多かったのである。
事実、ニシンの燻製はおみやげとして、長い間とても人気があった。
“ヤーマスからの贈り物”として木箱に入れて送られていた。

イギリスの地方料理 イースト・アングリア 04_e0038047_118422.jpgハムやベーコンといった食肉加工品も、
イースト・アングリアの食品産業のひとつである。
サフォーク・スイートピクルド・ハムは、そんな食肉加工品の代表的存在で、
豊穣な大地で育った豚の旨みがハムにぎゅっと凝縮されている。
地元で知られるのみでなく、イギリス国内でその名を知られており、
ハロッズなど高級食材を扱う店でも販売されている。

実はこれ、マーケティングの賜物。
実のところ、イースト・アングリアにはダンモウ・フリッチ・トライアルという
ベーコンにまつわる伝統がある。
このダンモウ・フリッチ・トライアルは、
“ダンモウで行われる脇腹肉ベーコン裁判”の意味で
(筆者注:フリッチ/flitchとは脇腹肉で作られたベーコンの意)、
3年に一度、ウィット・マンデイ/Whit Monday
(聖霊降臨祭の翌日の月曜日;復活祭後の第7月曜日)に行われる行事のこと。
なんでも13世紀から伝わる古いものである。
その前の年に円満であったことを自己申告した夫婦を裁判にかけ、
認められた夫婦にフリッチが与えられるというユニークなものだ。
(筆者注:その起源は、新しくできた小修道院へ地元の領主夫妻が質素な身なりで現れ、
 結婚生活の祝福を求めたところ、修道院長がフリッチを与えた。
 その後、領主夫妻は小修道院に土地を寄付し、
 その条件として、自分たちと同じように献身的な夫婦に
 フリッチを与えることを求めたこととされる)
そして、このフリッチは当然、地元のものが使われていたのである。

話を元に戻そう。マーケッターは、地元の食肉加工品を売り出すにあたり、
こういったエピソードではなく、商品そのものにスポットを当てた。
それが功をなし、全国でその名を知られるにいたったのだ。
(・・続 く・・)

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前回までの“イギリスの地方料理 イースト・アングリア 01〜03”はこちら(↓)
イギリスの地方料理 イースト・アングリア 01 http://ricorice.exblog.jp/21459044/
イギリスの地方料理 イースト・アングリア 02 http://ricorice.exblog.jp/21504439/
イギリスの地方料理 イースト・アングリア 03 http://ricorice.exblog.jp/21541226/

これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン
イギリスの地方料理 バークシャー
イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー
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by ricoricex | 2014-01-20 00:00 | イギリスの地方料理