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イギリスの食文化研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


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イギリスの地方料理 ケント 04


ケントの伝統的な焼き菓子といえばハフキン。
ハフキンは平たく楕円形をしたティーケーキで、
このタイプのケーキは他のエリアでも見られるが、
ハフキンの特徴は、中心に穴があいていること。
この穴に種をとったチェリーを詰めて、デザート菓子とすることもできる。
残念ながら、このハフキン、今では見かけることが少なくなってしまった。

フリード・ケーキは豚を屠殺した後に作られる。
フリードは豚の内膜で、ラードを多く含む。
セイヴォリー(甘くない)にするなら、このフリードに小麦粉と塩を
甘いケーキにするなら、砂糖とスパイスとを混ぜ合わせて作る。
現在ではフリードを入手することが困難となったため、
フリード・ケーキもとんとお目にかからなくなってしまった。

ウエハースもケントの名物だった。
もともとはゴーフルと呼ばれるフランス発祥の菓子で、
ケントでは12世紀から最近まで作られてきた。
ウエハースを作るのに欠かせないのは上質な粉である。
材料は小麦粉に、砂糖、バター、牛乳を使い、
風味づけにナツメグかローズウォーターを加え、
円形もしくは四角い鉄の型で焼き上げる。
熱い火にかけても取り扱いやすいよう、型には長い取っ手がついている。

ビデンデンでは、イースター/復活祭の月曜日に
ビデンデンのケーキがふるまわれることでよく知られている。
ケーキとは呼ぶものの、非常にかたいビスケットで、
2人の女性のつながった姿“ビデンデンのおとめ”が象られている。
これは“ビデンデンのおとめ”が、ビールとパン、チーズ、ビスケットを
遺言により、貧しい人々に無料に分け与えたことから。

“ビデンデンのおとめ”とは1100年に生まれたとされる
肩と腰がつながった結合双生児、メアリー&エリザ・チャルクハーストのことで、
34歳のときにメアリーが亡くなったとき、
体を切り離すようすすめられエリザはこれを拒否し、
彼女も6時間後に息を引き取った。
彼女らが所有していた20エーカーの土地は教会に譲渡。
この土地は“パンとチーズのくに”と呼ばれ、
貧しい人々のために食糧がふるまわれたのである。
17世紀にビールの配給は中止されたが、
パンとチーズとケーキのふるまいは、その後も引き続き行われた。

ケーキはエプロン姿の“ビデンデンのおとめ”が象られ、
彼女らの名前、没年齢である34が刻まれている。
“ビデンデンのおとめ”は伝説であり、数字も間違っているという見方がされるが、
このような逸話が残り、お菓子として存在するのは、なかなか心温まることである。
(筆者注:“ビデンデンのおとめ”は1100年生まれとされているが、
 当時のイギリスの記録は1と5の見た目の区別がつきづらいことなどから、1500年とする説も。
 また、“ビデンデンのおとめ”は伝説ではなく、
 ある程度事実に基づいたものとする説もある)
(・・続 く・・)

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前回までの“イギリスの地方料理 ケント 01〜03”はこちら(↓)
イギリスの地方料理 ケント 01 http://ricorice.exblog.jp/21257294/
イギリスの地方料理 ケント 02 http://ricorice.exblog.jp/21290139/
イギリスの地方料理 ケント 03 http://ricorice.exblog.jp/21333040/

これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン
イギリスの地方料理 バークシャー
イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー
イギリスの地方料理 サリー
はこちら(↓)
http://ricorice.exblog.jp/i28/



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by ricoricex | 2013-11-28 00:00 | イギリスの地方料理