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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


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お菓子のハイブリッドはつまるところマッシュアップ?


今年に入って話題になったのが、NY発のお菓子、クロナッツ。
ドーナッツとクロワッサンのハイブリッド(かけ合わせ)で、
それを名称にも明確に打ち出し(croissant + doughnut = cronut、
見た目はドーナッツ、生地はクロワッサン。
NYのドミニク・アンセル・ベーカリーが考案し、商標も取得。詳細は以下の通り
http://dominiqueansel.com/cronut-101/)、
現在のヘルシー志向の振り戻しか、
このハイシュガー&ハイファット(間違いない。。。)な商品は人気を博し、
海を渡ってロンドンでも作っている店があります。

このクロナッツが呼び水となったのか、
マーサ・スチュワートのトゥニー/townie(タルトレット(小さなタルト)とブラウニー、
tartlet + brownie = townie)や
マフィル(マフィンとワッフル)、クロッキー(クロワッサンとクッキー)、
マカナッツ(マカロンとドーナッツ)なども登場。
このハイブリット商品現象について、
2013年9月9日づけのbbcのウェブサイトの以下のコラムがありました。
なぜ、お菓子屋のハイブリッド商品化が止まらないのか?
The unstoppable march of hybrid bakery products
http://www.bbc.co.uk/news/blogs-magazine-monitor-24457627


e0038047_148367.jpgそんな中、今週に入ってイギリスで問題勃発!
それはスターバックスUKの新商品、ダフィン(ドーナッツとマフィンのハイブリッド)が、
bea's of Bloombury(かわいらしいカップケーキで知られる、ロンドンのケーキショップ)のものに酷似しているとbea'sが猛抗議。
このあたりについては、以下の記事でご確認ください。
Bun fight erupts after Starbucks trademarks the name 'Duffin' for their new doughnut-muffin hybrid
Duffingate: Did Starbucks UK Rip Off the Duffin?
(写真はbea's of Bloomburyのst.paul店)

こういう事象を見ながら、私が感じたのはネーミングの新潮ということです。
すでに確立されたお菓子同士のハイブリッドは。今に始まったことではありません。
何をとっても大なり小なりかけ合わせで、
まったくのオリジナルはないと言っても過言ではないでしょう。
でも、これまでは、かけ合わせたことを
ネーミングにストレートに打ち出さなかったのではなかったのでしょうか?
イメージ先行の名前であったり、店名や場所、人の名前から命名されたり。

今、話題になっているハイブリッドは、
通常のお菓子のアプローチがメインストリームであるのに対して、いわばオルタナティブ。
どういうことかって言うと、これ、音楽におきかえるとわかりやすいんです。
通常、お菓子屋さんで並んでいる商品は、
既にあるものをそれぞれの店がどうアレンジするかを打ち出したもの。
音楽で言うと、クラシックやジャズのメインである、
既にある曲を演奏者がどう解釈して演奏するかという方法ですね。
しかし、ハイブリッドの場合は、
土台となる生地や製法を大胆に融合させたもので、
音楽でいうとマッシュアップ。
オリジナルを明確にしながらのサンプリング(ここでは便宜上、サンプリングと呼びます)
というわけです。

このお菓子のハイブリッド、今、目立っていますが、
今までなかったわけではないと思うのです。
人気となった要素には、お菓子そのものもでしょうが、
かけ合わせて作ったことを、いわばカミングアウトし、
つまり、ネーミングに端的に表したことが新鮮だったのではなかったでしょうか?

かつて音楽でパクリと言われて、
作る側もオリジナルでないことに後ろめたいところがあったのを、
逆に出典を明らかにして、
ほ〜ら、組み合わせるとおもしろいだろ!と新しい一面を打ち出し、
またそれによって過去のものになっていた楽曲に時代の息吹を吹き込んで蘇らせる、
そういう手法が人気を博し、ついにはジャンルを確立した、
まさにマッシュアップの手法だなぁと感じるのです。
ネーミングでもととなったお菓子が容易に推測でいることが、それを表している、と。
なので、お菓子のハイブリッドは革新的、というよりは
今の時代の気分に合った、ということではないでしょうか。

でも、このマッシュアップ、簡単じゃない。
むしろセンスが問われると思うんですよ。
かつて、自身に引用が多いことに対して(このころはコラージュと呼ばれていた)、
ゴダールは、でも私の右手は汚れている、と答えました
(記憶が曖昧ですが、そういうニュアンスのことを発言)。
つまり、何も考えずに単に寄せ集めたわけではなく、
そこにはオリジナルと同等、もしくはオリジナルを作る以上の
エネルギーが注がれているということで、
やはり制作というものは楽しいけれど、労力も相当使うわけです。



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by ricoricex | 2013-10-12 12:00 | イギリスの食ニュース | Trackback