厳しい試験を通ったドライバーさんは、行き先を告げるだけで
ひょいひょいと目的地に向かいます。
タクシーはキャブ/cabとも呼ばれ、
運転手さんは、キャブ・ドライバー/cab driver、
キャビー/cabbieという言い方もされます。
テリー/telly(テレビのこと)だのキャビーだの、
イギリスに行くようになってすぐの頃は、
何のことだか分かりませんでした。
前後の文脈や新聞の見出しや、人に聞いたりして、
なるほど!と膝を打ったものです。
キャビーは、その語感がなかなかかわいらしく、
覚え立ての頃は、むっくりとしたタクシーの運転手さんとなかなか結びつかず、
困ったものです(笑)。
キャビーズ・シェルター/cabbie's shelterとは、
タクシー運転手さんの休憩所。
正式にはcabman's shelterですが
(そのままの意味でcabman's restと呼ぶことも)、
キャビーという言い方があまりに気に入っているので、
ここではキャビーズ・シェルターで。
このキャビーズ・シェルター、ロンドンの街でちょこちょこ見かけます。一番メジャーな場所のひとつといえば、V&Aミュージアムの近くでしょうか。
広い通りの真ん中に緑色のかわいい小屋がちょこんと建っていて、
屋根もついています。
なんだろう?って思っていました。
広い道路になぜこんな建物が?
それが、キャビーズ・シェルターだったのです。
(写真は、V&Aミュージアム近くのキャビーズ・シェルター)
タクシー運転手さんの休憩所といっても
ここでごろんと横になってくつろぐのではなく、
カフェ、というより、カフといった場所。
紅茶などの飲み物やちょっとつまめるパイなどが用意されています。
日本だと、駅の立ち食いうどん、あたりが近い存在かもしれません。
作られたのは1875年から。
1914年までの間に61カ所ものシェルターが建設されました。
提唱者は、ヴィクトリア調時代政治家、シャフツベリー卿。
人道主義者であった彼は、子どもの労働の規制など、
労働環境を整えたことで知られています。
ちなみに、ピカデリーサーカスからソーホーやチャイナタウンの方向に向かって
ニュー・オックスフォード・ストリートまでのびる通り、
シャフツベリー・アヴェニューは、彼の名を冠したものです。
当時は、馬車の御者のために作られ、
時代が馬車から車になると、
タクシー運転手さんの利用する場所となりました。
ちょっと古い情報なのですが、2009年2月現在のデータで、ロンドンにあるキャビーズ・シェルターは以下の13カ所です。
・Chelsea Embankment(アルバート・ブリッジ近く)
・Embankment Place
・Grosvenor Gardens(ノース・ガーデンの西側)
・Hanover Square (セントラル・ガーデンの東)
・Kensington Park Road
・Kensington Road(北側)
・Pont Street
・Russell Square(レスター・スクエアにあったものを移動)
・St George's Square(ピムリコ)
・Temple Place
・Thurloe Place, Kensington(V&Aミュージアム近く)
・Warwick Avenue (クリフトン・ガーデンズ)
・Wellington Place(セント・ジョンズ・ウッド)
もしかしたら、やむなき事情により、今はなくなってしまったところもあるかもしれません。
(写真は、ケンジントン・パーク・ロードにあるキャビーズ・シェルター)
あるキャビーズ・シェルターは、豪華なホテルの向かいにあり、
ホテルオーナーが撤去を申し出たものの
(理由はみすぼらしいから!)、
結果は却下。
少し移動させることで決着したようです。
こういうことに対して、却下の判断を下す、
イギリスのこういう面は好きだなぁ。

ところで、キャビーズ・シェルターが利用できるのは、タクシー運転手さんだけではありません。
誰でも利用できます。
なんといっても値段が廉価!
次こそは試してみようかな、と目論んでいます。
(写真は、ピムリコのキャビーズ・シェルターとそのメニュー)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子』は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。
・プロフィール ・活動内容 ・著書
(↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)
・お仕事・講演などのご依頼は、
chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

