『こわれゆく女』 (1974年/ジョン・カサヴェテス監督)
@ 秋葉原UDXシアター(東京)
映写技師が企画監修する35mmフィルム上映
https://filmza35mm-1.peatix.com初めて観たのは30年ほど前、シネヴィヴァン六本木で。
このときが初めてじゃなかったかな、ジョン・カサヴェテスがまとめて6本とかかかったのは。
去年、渋谷のイメージフォーラムで特集上映があり、2回観に行った(どちらも2本のうち1本は、『こわれゆく女』)
イメージフォーラムのときと印象が違う。脳(と体)の受け止め方が異なる、というか。
最初に感じたのは音。そして映像。光のニュアンスや質感が、ひとつひとつが際立っているのではなく、すべてがひとつになっている感じ。
歪みもノイズも(実際にあるわけではありません)、まるっとあって、
なんだろうなぁ、奥行きというか、デジタルの0 1に置き換えようとするとこぼれてしまうものは、やっぱりあるのかもしれない。
(CDをカセットテープに録って聞いたとき、ヴァイナル(レコード)と全然違って、のっぺりして、作品、というのより、モノ、と感じたのを思い出した)
『こわれゆく女』はねぇ、もう、どうしようもないですねぇ。
私の心の奥底のやわらかいところに、私自身が意識してなかったところまで、どんどん入り込む。
今回、まるっとすべてを受け止めた感じだったので、
メインキャスト以外のキャラクターや背景なども、そのまま私の中に入ってくる。
メインキャストも背中や遠くにいる姿からも、ひしひしとどどんと伝わってくる。
これは、熱量、なのかもなぁ。
そう考えると、シナリオや構図や方法論や、映画を映画たらしめるものがいろいろあるけれど、でも、これを作る!という意思なのかもしれない。
この映画はメインストリームじゃ作れないだろうし、資金集めも苦労しただろうし(この内容で、企画を説明するのも、通すのも、相当むずかしいだろう)、
だからこそ、熱量がどうしても溢れて、スクリーンの向こうににじむ、のかもしれない。
あっ、私は何がなんでもアナログがいいとは思っていないですよ、
ただ、向き/不向きがあって、こういうパーソナルな感じの映画はアナログが適している、んだと思う。
いわゆる大作は、高品質デジタル、だろうなぁ。
ロビーでは映写機が展示され、幕間にはデモ映写も行われ、
35mmの映画上映を企画なさったFILM 座の映写技師の方やスタッフの方とも話ができ、
不思議だったのは、なぜ『こわれゆく女』を選んだのか、これも質問して、答えてもらって。
これが第1回で、次回以降は不明。
また、そして定期的にやってほしい。
(『FILM座通信』みたいな小冊子、作りたいなぁ)
あっ、そうそう。
映画前にかかっていたのはスミスの「There’s a Light That Never Goes Out」。
映写技師の方はスミスTシャツだった、な。
そして、映画上映直前は「You'll Never Walk Alone」。
そうだよなぁ、今や真っ先に言われるのは、リヴァプールFCのサポーターソング、だよなぁ(セルティックFC、もだけどね)
この映画上映の告知を私が知ったのは、6月だったか。
そして先月、訃報が伝えられ、
思いがけず、追悼・ジーナ・ローランズになっちゃったな。
I didn’t do anything wrong?
ジーナ・ローランズ、すさまじいですよ。
奇蹟のような演技、奇蹟のような作品、です。
sun 08/09/24