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イギリスの食研究家、食の編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


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カテゴリ:イギリスの地方料理( 68 )



年に一度開催される市は、ミッドランズの街では重要なものであった。
そのひとつ、ノッティンガム・グーズ・フェアは地域で一番古いもので、
その歴史は13世紀に遡ることができる。
10月の第一週に開催され、市の名前のとおり、グーズ(ガチョウ)が取り引きされていた。
これらのグーズはロンドンに持ち込まれ、クリスマスの食卓にのぼった。
(筆者注:クリスマス・ディナーは、現在ではターキーを使うことが多いが、
 イギリスでは伝統的にはグーズが利用された。)
また、この市で並んだのはグーズだけではない。
ビスケット、ブランデー・スナップ、グーズベリー・パイといった食べ物も軒を賑わせた。
現在、市はファンフェアと姿を変え、グーズの取り引きこそないものの、
今も人気のあるイベントである。

グーズと聖ミカエル祭は切っても切れない関係にある。
聖ミカエル祭にグーズを食べる習慣は、
クリスマスにロースト・グーズを食べる習慣へと引き継がれた。
ノッティンガム・ロースト・グーズはこのエリアでよく食される一品である。
グーズの皮は塩とコショウをまぶし、刻んだリンゴ、セージ、パン粉を詰めて焼く。
途中、2度串で刺す。余分な脂を落とし、同時にパリッとした焼き上がりにするためである。

e0038047_0161894.jpgクッキングアップルの代名詞的存在、
ブラムリーはノッティンガムシャーで生まれた品種である。
このブラムリーを使ったこの地方の菓子に、ノッティンガム・バター・プディングがある。
ベースとなる作り方は次の通り。
ブラムリー6個は皮をむき、芯をくり抜き、耐熱皿におく。
バター、砂糖、スパイスを混ぜたものを、それぞれくり抜いたブラムリーの芯に注ぐ。
卵4個は卵黄と卵白に分け、ほぐした卵黄に、かたく泡立てた卵白を混ぜ、
ブラムリーに回しかける。
中温のオーブンで焼くこと約50分。
焼き上がったら、グラニュー糖をふりかけ、クリームを添えてサーヴする。

ピーク・ディストリクトの清涼な水は、採取できる量も申し分ないため、
ミネラルウォーターとして流通される。
アッシュボーン、ボクストンが2大名水地だ。
これらの地名のラベルが付いたミネラルウォーターを見たことがある人も
多いのではないだろうか。

イギリスと一口に言っても、
ところによって気候も違えば土壌も違う、嗜好が違う、食べ物が違う。
その違いは、たとえ小さなものでも大きな発見で、楽しさと喜びにあふれている。
(終わり)

**********
前回までの“イギリスの地方料理 ノース・ミッドランズ 01&02”はこちら(↓)
イギリスの地方料理 ノース・ミッドランズ 01 http://ricorice.exblog.jp/22787224/
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これまでの、“イギリスの地方料理 ロンドン
イギリスの地方料理 バークシャー
イギリスの地方料理 バッキンガムシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー
イギリスの地方料理 サリー
イギリスの地方料理 ケント
イギリスの地方料理 イースト・アングリア
イギリスの地方料理 サセックス
イギリスの地方料理 ハンプシャー&ワイト島
イギリスの地方料理 ケンブリッジシャー
イギリスの地方料理 ウィルトシャー
イギリスの地方料理 ドーセット
イギリスの地方料理 サマセット
イギリスの地方料理 コーンウォール
イギリスの地方料理 サウス・ミッドランズ
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by ricoricex | 2015-03-08 00:00 | イギリスの地方料理

ほかのミッドランズのエリアの例に漏れず、
ダービーシャーでもジンジャーブレッドがよく作られる。
ジンジャーブレッドは、小麦粉、牛乳、バター、砂糖、卵を材料に、
これらを混ぜ合わせてオーブンで焼いて作るケーキだ。
なかでもアッシュボーンはジンジャーブレッドでその名が知られるところで、
また、ブクストンではジンジャーブレッドのプディングが作られている。

e0038047_052044.jpgこのエリアでもっとも有名な菓子といえば、ベイクウェル・プディングだろう。
今ではイギリス全土で見られるようになったこの菓子だが、
地元のオールド・ベイクウェル・プディング・ショップでは、
今も1860年のレシピによるベイクウェル・プディングが作られている。
ベイクウェル・プディングが誕生したのは、ラトランド・アームズ・ホテルで、
失敗から生まれた菓子が好評を博したことで今に続いている。
このうわさをききつけ、
オールド・ベイクウェル・プディング・ショップでも作り始めたのである。
このベイクウェル・プディングに似た材料を使って作る菓子に、
デューク・オブ・ケンブリッジ・プディングがある。

工業地区は決して裕福なエリアではない。
ノース・ミッドランズにもそういう場所があり、人々は食事に工夫を凝らす。
たとえば肉。切りくずや臓物系もムダにせず食べられてきた。
今日でもその名残りはあり、肉屋では
牛のかかと、豚の足、腸類などが売られている。

パイについて見てみると、ノッティンガムシャーには
隣接するランカシャーの名物、
メルトン・モウブレイ・パイのバリエーションともいえるパイがある。
このパイはポークパイではなく甘いタイプで、
パイ生地はホットウォーター・クラスト・ペイストリーを使い、
グーズベリーと透明なアップルゼリーをフィリングとする。
かつては市で大きな人気を博した。
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2015-02-22 00:00 | イギリスの地方料理

ダービーシャーとノッティンガムシャーは、
ミッドランズの名前で知られるイングランド北部のエリアに位置する。
しかし、この区分は曖昧で、ノッティンガムシャーはときに、
レスターシャーやリンカンシャーとともにザ・シャーと呼ばれることもある。
また、ダービーシャー北部はサウス・ヨークシャーと一緒にして、
ザ・ノースとされることもある。
ザ・ノースにはイギリス初の国立公園であるピーク・ディストリクトまで続く
ペナインズ山脈が走る。

このエリアはノース・ミッドランズと呼ばれ、
ペナインズ山脈を擁することからもわかるように、地形の変化に富んだ場所である。
現在、多くは残っていないが、かつては石炭産業が盛んだったエリアであるほかに、
渓谷沿いには肥沃な農耕地が広がり、
ピーク・ディストリクト界隈は羊の畜産で知られる。

ほかの酪農が盛んなエリア同様、ダービーシャーもこの土地ならではのチーズを作っている。
プレーンタイプはチェダーを思わせるチーズだが、より強く熟成したフレイヴァーを持つ。
年月をかけて熟成させる方がより味わいが増すが、たいていは若いうちに出荷される。
このチーズのヴェリエーションがセージ・ダービーである。
その名が示すとおりセージが入っているものの、さほどハーブ感は感じられない。
初期の時点においては、このチーズはフレッシュなセージをみじん切りにし、
新しいカードを加える前においてから圧搾されていた。

時により緑色を立たせるためにホウレンソウの搾り汁が加えられることもあったという。
この製法はフィギュア・ダービーと呼ばれ、
緑色を白いチーズに寄木細工のようにはめこみ、視覚効果を狙うために用いられた。
この製法で、クリスマスの時季に作られるチーズもあった。
チェッカーボード・ダービーがそれである。
セージで緑色にしたチーズを、
マリーゴールドの搾り汁で黄金色に輝かせたチーズを組み合わせて作る。

今日、上質なセージ・ダービーを買い求めるなら、
自然のセージを使い、筋のように模様が入っているタイプを選ぶとよい。
このセージ・ダービー、スフレを作るのにうってつけである。
セージの風味と緑色が加わって、ひと味違うスフレができることうけ合いだ。
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2015-02-08 00:00 | イギリスの地方料理

e0038047_15592.jpg一口にスタッフォードシャーの食といっても、職業や住居エリアによる違いは大きい。
19世紀のストーク=オン=トレントやロントンといった陶器産業エリアでは、シチューや、
カスタードプリンの簡易版ともいえるヘイスティ・プディング
パン粉を水か牛乳で浸し、砂糖と紅茶をかけたポブス、
小麦を水で戻し、フルーツやスパイスと作るおかゆのようなフルメンティ、
チックリングス、もしくはチタリングスと呼ばれる豚を使う料理がよく食べられていた。
一方で農家は、というと、週末にウサギをしとめ、パイやシチューにして食べていた。

スタッフォードシャーにはタムウォースという街がある。
ここは豚で知られ、品種名にもなっている古い交配種で有名である。
タムウォースという品種はイギリスのほかの豚に比べて小さく、
そして輝くようなジンジャー色をしているのが特徴である。
当然、スタッフォードシャーには豚肉料理が多い。
そのうち、手軽に食べられるものの代表といえば、ホット・ポーク・バップであろう。
バップとはやわらかいロールパンのこと。
これにローストポークをはさんだものがホット・ポーク・バップである。

19世紀初頭、マリア・ランデル夫人著『A New System of Domestic Cookery』が出版された。
この本には多くの地方料理が含まれ、スタッフォードシャーのものもその例外ではない。
スタッフォードシャー・ビーフステーキや、
ブラック・トリークルやブランデーを使ったリッチな菓子、
スタッフォードシャー・フルーツケーキが紹介されている。

ビール醸造もスタッフォードシャーの大きな産業である。
とりわけ有名な町は、バートン=アポン=トレント。
現在では、ビール醸造メーカーは数えるほどになってしまったが、
バス・ペールエールはパブに行けばどこにでもあり、日本でも見られるほどだ。
バスを造っているのは、バートン社。
良質な水で造られる透明感あるビールは数々の賞に輝いている優良ブルワリーで、
ペールエールのほかに、IPA(インディア・ペールエール)でも知られる。
バートン=アポン=トレントにあるほかのブルワリーにはマーストン社があり、
ここのペディグリー・ビターもそのおいしさで定評がある。

スタッフォードシャーは、歴史と自然に彩られた地域だ。
加えて、食べてよし飲んでよしの魅力も備わっている。
(終わり)

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イギリスの地方料理 スタッフォードシャー 01 http://ricorice.exblog.jp/22717999/

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by ricoricex | 2015-01-25 00:00 | イギリスの地方料理

スタッフォードシャーはウェスト・ミッドランズにある州で、
工業都市であるバーミングムの北に位置する。
スタッフォードシャーの州庁所在地はスタッフォードで
何度訪問しても飽きることのない美しい街だ。

e0038047_19443049.jpgスタッフォードシャーで世界的に知られること。
それは陶器産業の里、ストーク=オン=トレントを擁することだろう。
州の北部に位置するこの町は、
ウェッジウッド、ロイヤル・ドルトン、スポードなど日本でもおなじみの
そうそうたる顔ぶれの陶磁器メーカーはここで生まれここを基盤に発達した。
州東部のバートン=アポン=トレントは、ビール醸造で知られる。
また、中世の大聖堂があることで有名なリッチフィールドも、
これらの町と同じく、スタッフォードシャーにある。

スタッフォードは歴史と文化に育まれた街で、そのことに市民も強いプライドを持っている。
たとえばヴィクトリア・パーク。散策するにこれ以上はないほど素晴らしい公園だ。
街の中心部にある、聖チャド教会や聖メアリー教会は、必見の素晴らしいスポットである。
シャー・ホール・ギャラリーは、企画展示が充実したアートギャラリーで、
バルコニー・カフェでひと心地つくのもおすすめだ。

そう、スタッフォードには歴史的建造物が数多くある。
中でも有名なのは、エンシャント・ハイ・ハウスだろう。
イングランド随一のチューダー様式の建物で、
現存する木組みのタウンハウスとしてはイングランド最古ものである。
1591年建立。17世紀に勃発したイングランド内戦では、
チャールズ1世の避難所としても使われたこのエンシャント・ハイ・ハウスは、
歴史的価値の高い調度品や建具などを数多く保有。
また、この建物は、現在ではツーリストインフォメーションとしても利用されている。

では、食についてはどうだろう。
スタッフォードシャーの名物料理のひとつは、スタッフォードシャー・オートケーキである。
オートミールとイーストを使って作るもので、
オートケーキで有名なスコットランドのものとは異なり、こちらはビスケットに近い。
(筆者注:スコットランドのオートケーキは甘味がほとんどなく、
 チーズなどをのせて食べるクラッカーのような役割の食べ物である)

スタッフォードシャー・オートケーキの特徴は
オールマイティに食べられるところにあるだろう。
冷たくても温かくてもおいしく、朝食に卵やベーコンと一緒に食べてもよし、
バターを塗ってティータイムに食すもよし、
具を巻いてオーブンで焼いて食べるのもいいものである。
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2015-01-11 00:00 | イギリスの地方料理

そして忘れてはならないのは、この地方はウスターソースゆかりの場所であること。
ウスターソースは世界的にその名を知られ、
厳密にはソースではないが、フレヴァーをつけるのに欠かせない調味料としてあまりに有名である。

このウスターソースの産みの親は、ウスターシャー出身のサンズ卿である。
インドでベンガル知事の任務を終えて、
帰途に着いた彼はインドからあるレシピを持ち帰った。
これを薬剤師のジョン・リーとウィリアム・ペリンズという2人の人物に
レシピを再現するように依頼する。

果たして、でき上がったものはひどい代物だった。
忘れかけていた数カ月後、棚にはその試作品がまだ眠っていた。
試しにためてみたところ、
以前のおぞましい味はどこへやら、熟成が進み、丸みが加わり、
おいしいソースに変身していたのである。
これこそが、今もイギリスの家庭に欠かせない調味料、
リーペリン・ソースの始まりである。
ウスターソースの作り方は今も門外不出である。
分かっているのは現在も作り方を変えず、そしてオーク樽で数カ月寝かせることだ。

ウスターソースは魔法の調味料である。
ほんの数滴かけるだけで、
煮込み料理もスープも肉のグリルもチーズ料理も
さらにおいしく変身させてしまうのだから。
さらに、ひとつ補足を。
二日酔いにうってつけとされるカクテル“prairie oyster”は、
トマトジュースにウスターソースを加えたものである。

これまで見て来たように、
グロスターシャー、ウスターシャー、ヘレフォードシャー、
これらの州は高品質の食材の産地であり、美食を生み出している。
訪ねるたびに新鮮な驚きがある。
(終わり)

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by ricoricex | 2014-12-30 00:00 | イギリスの地方料理

果物だけでなく、野菜も注目に値する。
たとえば、ローマ人によってイングランドにもたらされたアスパラガス。
この地のアスパラガスは
同じくアスパラガスの産地であるイースト.アングリアのものよりも
細いのが特徴だ。
その繊細な味で評価が高く、賞の常連である。

このアスパラガスは決して安いものではない。
それは限られた時期にしかできないこと、
畑はほかの野菜栽培と併用できないこと、
そして機械でなく手で収穫するために、
どうしてもコストがかかってしまうのである。

またホップの栽培にも適しており、
ケントと並び、ホップの産地として知られる。

セヴァーン川、そして支流もまた食材を届けてくれる。
サケ、ウナギ、シラスウナギらがそれだ。
とりわけ、シラスウナギはこの土地の名物として何百年も続いており、
パイの一種である、シラスウナギのケーキを筆頭に、
唐揚げ、ベーコンと焼いてオムレツに添えたりもする。

シラスウナギ漁では、目の細かい特別な網が使われる。
漁は夜行われ、灯りをつられてやってきたシラスウナギを捕まえるのだ。
イースター・マンデーはシラスウナギ漁にとって特別な日で、
川沿いの村では、シラスウナギ大食い競争が行われる。
あるときの優勝者は、30分で実に500尾ものシラスウナギを食べたとか。
現在シラスウナギはヨーロッパや日本へ、ウナギの稚魚としても輸出されている。

セヴァーン川のサケ漁は、Y字型をした網“lave net”が使われるのが伝統で、
河口では漏斗に似たバスケットが使われることもあった。
また、セヴァーン川ではヤツメウナギが捕れることもある。
ヤツメウナギはウナギに似た原始的な形に近い魚で、
エサとしてほかの魚を食べるために口の吸引力が非常に強い。
地元では、ヤツメウナギは“nine eyes”とも呼ばれ、
これはエラが目のように見えることから。
“the prid” “the pride”とも言われる。
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2014-12-19 00:00 | イギリスの地方料理

この地方で盛んな畜産は牛に限らない。
コッツウォルド・ヒルズは羊で知られる。
グロスターの素晴らしい教会は、羊毛業が繁栄し潤ったことによるものだ。
羊肉は料理にも頻繁に使われ、
中でも興味深いのは、グロスター・スクォブ・パイである。
スクォブとは小鳩の意味で、
ほかのエリアのスクォブ・パイが文字通り、小鳩を使うのに対し、
ここで使われるのはラム。
スパイス類やリンゴで風味づけしたラムが使われるのだ。
羊がよく食べられていることを示すひとつの例だろう。

豊穣な大地は果物にも有効だ。
リンゴ、洋梨をはじめ、プラムはこの地方の特産品。
とりわけ開花の時期は、絵画のような美しい風景が広がる。
秋の収穫時には、どうしても木から自然に落ちてしまうリンゴがある。
そんなときは、豚を放って食べさせていた。
もっとも、今ではあまり行われないようだが。
豚といえば、加工品もよく作られ、
ミッドランズ・カットと呼ばれるベーコンが名物だ。

ヘレフォードシャーではリンゴから造る酒、サイダー醸造が盛んである。
洋梨も同様。洋梨の酒、ペリーもこの地方で造られる。
これらのフルーツ酒は、ノルマン・コンクエストの際、イングランドにもたらされた。
リンゴから造るサイダーと異なり、洋梨の場合は醸造に適した種は限られる。
そのためかペリー醸造の規模は大きくはない。

ソフトフルーツ栽培も熱心で、そのひとつがグーズベリー。
グーズベリーを使ったお菓子にオールドベリー・タートがある。
よく似たものにノッティンガム・パイがあるが、
ノッティンガム・パイがアップル・ジェリーを使うのに対し、
オールドベリー・タートの場合は赤ザラメ糖をふりかける。
熱いうちに、冷たくてもおいしい一品で、
カスタードかクリームを添えて食べる。
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2014-12-09 00:00 | イギリスの地方料理

ダブル・グロスターを使う名物料理のひとつに、
グロスター・チーズ・アンド・エールがある。
これはウェルシュ・ラビットに似た、要はチーズトーストである。
耐熱皿にスライスしたグロスター・チーズを入れ、
イングリッシュマスタードを広げ、ブラウンエールを注いだら、オーブンで焼き、
トーストにのせて食べるという代物である。

ダブル・グロスターを使った料理はほかにもいろいろあるが、
イギリスの伝統的な保存食、ポット・チーズもよし。
チーズをおろし、同量の無塩バターを合わせ、シェリーかポートを加え、
カイエンヌペッパーを少しふり、スムーズになるまでよくかき混ぜる。
これをポットに入れ、澄ましバターで表面を覆って作られる。

チーズと言えば、グロスターシャーには名物のイベントがある。
春のバンクホリディに行われる、その名も“チーズ転がし”。
チーズが丘の頂上から斜面に転がされ、競技者がそれを追うというものだ。
勝者には、もちろんそのチーズが贈呈される。
安全面から中止の声も上がっているが、
今や世界的に有名となったこの祭り、
圧倒的な支持を受けて、毎年行われている。

乳のみならず、牛そのものも良質だ。
顔の部分が白いヘレフォード種はイギリスでも古い種のひとつで、
ブリティッシュ・レッド・ロングホーンとオランダ原産の牛とを交配させて誕生した。
その歴史は17世紀に遡る。
ヘレフォード種は、肉質はやわらかく香りもよい。
イギリスでは現在で、昔ほど食用されないのがいささか残念である。
とはいえ、ヘレフォード種は改良され、世界各国で育成されている。

ヘレフォード種の肉はいろいろな料理に使えるが、
極めつけは、ビーフ・オリーブだろう。
これはヴィクトリア朝の料理で、
具材を巻いた牛肉をオーブンで煮込むキャセロール料理で、
オリーブは使っていないが、具材を詰めて巻いた牛肉が
オリーブのように見えることから命名されたと考えてよいだろう。
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2014-11-29 00:00 | イギリスの地方料理

グロスターシャー、ウスターシャー、ヘレフォードシャー、
この3つの州はサウス・ミッドランズ、つまりイングランド南西部に位置し、
“ハート・オブ・イングランド”と呼ばれる。
肥沃な土地、イギリス一長い川、セヴァーン川がもたらす自然の恵み、
温暖な気候に恵まれた土地である。

豊かな大地は、オールド・グロスター種の牛の育成にうってつけだ。
この牛は、長い歴史を誇るこの土地のチーズ、
ダブル・グロスター・チーズの原料となる牛乳を作り出してきた。
余談だが、その昔、このチーズは、
レックレードからロンドンまでテムズ川を船で運ばれていたという。

1945年まで、グロスター・チーズにはダブルとシングルとがあった。
ダブル・グロスターは5月から9月にかけて作られるチーズで、
朝搾乳した牛乳をメインに、夕方搾乳したものを加えて作られる。
7〜12kgほどもある大型チーズで、熟成には何カ月も要する。
一方、シングル・グロスターは、
朝搾乳した乳か夕方搾った乳からクリームを取り除いたものが使われ、
大きさもダブル・グロスターに比べるとぐっと小さく、
重さにして4〜8kgと半分程度である。
シングル・グロスターは熟成を必要とせず、
つまりフレッシュなチーズのため、その場で食されていた。

シングル・グロスターは今では商業用のものは作られていない。
ダブル・グロスターは現在でもその人気は健在である。
とはいえ、原料の乳を作り出すオールド・グロスター種は今では稀少となっており、
ほかの牛の乳も使われる。
しかし、オールド・グロスター種以外の牛では脂肪分が充分とはいえず、
ダブル・グロスター独特のコクを生み出すのに苦心している。
また、ダブル・グロスターは、
味のみならず、とけやすく、料理に使いやすいという特徴もある。
(筆者注:原文と一般的な定義とでは異なる箇所が2カ所ある。
 ひとつは、シングル・グロスターとダブル・グロスターの定義。
 シングル・グロスターは無脂肪乳に少量の全乳を混ぜて作る、
 ダブル・グロスターは全乳のみで作るとされる。
 もうひとつは、シングル・グロスターは現在も一般流通されるものは作られている。)
(・・続 く・・)

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by ricoricex | 2014-11-18 00:00 | イギリスの地方料理