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イギリスの食研究家、食の編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


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カテゴリ:店レポート(日本)( 22 )


ビーフシチューを巡る旅


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ネットの発達により、ン十年ぶりの邂逅ってのにたま〜に遭遇して、これもそのひとつかもしんない。


小学校高学年だったか、中学校1〜2年だったか、歳月にして35年ぐらい前。
たぶん、お菓子かなにかを作りに誰かの家に行ったんだと思う、そこでぱらぱら眺めていた「きょうの料理」のテキストに、土鍋で提供するビーフシチューの店レポートが見開き(2ページ)であり、あまりのおいしそうさに食い入るように読んだのです。

それはそのときだけのこと、のはずだったのに、その強烈なイメージをたま〜に思い出すことがあって、でも、店名もわからず、場所もわからず、わかっているのは土鍋のビーフシチューってことのみ。それとインタビューに応えていた、もしくは写真におさまっていたのは、女将さんだったような。。。うろ覚え。

自分で飲み食いできるようになって、忘れたころに襲って来るビーフシチューな気分のときにそういえばと思い出し、東京のいくつかのお店や、神戸でも(店名忘れた)行ったのが20代で、20年ぐらい前。
本気で調べようと思ったら、国会図書館とか大宅文庫とか手はあったんだけど、まあ、何が何でもではなくって。
東銀座の銀之塔かなと思ったんだけれど、「きょうの料理」のことを訊きそびれ、確信が持てず。


そんなこともすっかり忘れていて、だって覚えていれば、土鍋、ビーフシチューっていう言葉で検索できるもんね、それがつい1〜2カ月前、調べ物をしているときに、日刊ゲンダイかなにかのウェブサイトで、土鍋のビーフシチューが紹介されているのに遭遇!


あっ、ここかも!

これ、片岡愛之助おすすめの店ってことで、場所は東京・歌舞伎座の裏。
ええええええ〜っ、東銀座は通っていたワインのクラス(WSET)があったので、2年ぐらい習慣的に行っていて、その界隈で飲み食いもしていたのに、まったく気づいていなかったなんて。。。


ランチタイムにその店、エルベに立ち寄ると、店員さんは若い方で、なんとなく「きょうの料理」のことを訊きそびれ、訊ける様子でもなかった。
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勢い勇んで行ったものの、私の記憶にある店は、エルベでない可能性が高く、前述の同じく東銀座にある銀之塔のほか、下北沢の伊万里ってことも考えられる。
常に頭の隅に土鍋のビーフシチューがあった20年ほど前、あんだけ下北沢に行っていたのに、土鍋で出すビーフシチューがウリだった伊万里には、ついぞ行かずじまい。

世田谷に住んでいた20代のときに、伊万里のことは認識していて、ちゃりんこ飛ばしたりバスに乗ったりして、しょっちゅう下北沢に行っていたのに、ねぇ。そして電車だと、下北沢駅の井の頭線ホームから、伊万里の大きな看板を見てたのに、ねぇ。
いや、いつでも行けると思っていたから、逆に行かなかったんだと思う。


でも、まあ、今となっては、もはやどこでもよくって、自分のなかで決着が着いて、すっきりした気分。
(おそらく「きょうの料理」に掲載されていたのは銀之塔だったんじゃないかと推察)
それに、伊万里には、もう永久に行けなくなっちゃったし、ね。


エルベのビーフシチューは、土鍋で提供されるのがいかにもな、ごはんによく合うそれ。

私の思い出とともに、ごちそうさまでした。


thu 09/06/16


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by ricoricex | 2016-06-13 12:00 | 店レポート(日本)

大学入学と同時に山口県から上京し、それから約四半世紀を東京で過ごし、4年前に福岡へ。
そんな私にとって、本当に久しぶりの下関や、その対岸の門司、小倉は、訪れると、その変化の大きさと、同時に、かつて大陸への玄関口だった歴史ある港町の面影が交錯し、郷愁とも違う不思議な感覚にとらわれます。
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2年前に訪ねたときは、補修工事中だった旧下関英国領事館。
2014年7月18日に再オープン。その一年後の今年2015年7月18日、一周年記念セレモニーやイベントもあったので、その機会に行きたかったのですが、どうにも予定が合わず、先日8月27日にやっと訪問できました。

そんな旧下関英国領事館、1階は展示室とショップ、2階はパブを併設したカフェレストラン「英国館」となっています。
以前にはなかったカフェレストランができたとあらば、と早速いただいたのがアフタヌーンティー3段セット。
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一番下には、ローストビーフのサンドイッチ、真ん中の段はスコーン、上の段は日替わりスイーツがのっています。
アフタヌーンティーは、通常ひとつひとつはあまり凝ったものは登場しないのですが、こちらのメニューは違っていました。
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サンドイッチの具はローストビーフをはじめ、生ハム、チーズ、さまざまな野菜を、特製のさわやかでさっぱりとしたタルタルソースとともに。風味がよくパリッと香ばしいパンはオリジナルで、具材と好相性。また具材の豊かさが手伝ってか、見た目よりもしっかりとした食べごたえがあります。
口休めに添えられたチップス(フライドポテト)、そして野菜のピクルスが新鮮で、特にピクルスの酸味ははっとしたアクセントになってよいなぁと感じました。
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スコーンは“ザ・オリジナル”と呼べるもので、まず驚いたのは食感。むちっとしていて、味は違うのだけれど、甘食のよう。
イギリスのものともアメリカのものとも違う。でもほかに類するものが見当たらないので、カテゴリーとしてはやはりスコーン。ビスケットとスポンジケーキの中間という意味合いでは、まさにそうだし。
形も、私がいただいたのは円の中に円があり、こういう解釈のスコーンもあるのだなぁと新鮮な驚きでした(若干、ポップオーバーのように見えなくもない)。
味も塩気が強く、一緒に食べるチーズクリームと合います。
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上段はその日のスイーツで、豆乳のプリンとティラミス。豆乳のプリンはほろ苦いカラメルソースと果物付きで、小さなガラスのジャーの中に入っていて、見た目もかわいらしい。

これら注文を受けてから作られるので、オーダーしたときに「ちょっと時間がかかりますよ」と言われたのも納得。
なかなかオリジナリティーのあるアフタヌーンティーです。
アフタヌーンティーはこの3段セットのほかに、スコーンとサンドイッチの2段セット、スイーツとサンドイッチの2段セットもあります。

料理メニューも充実している「英国館」では、ランチ、ディナーともコースのほかにランチはお得なセットメニューも。
その場で切り分けてサーヴしてくれるローストビーフランチは3種のアミューズから始まり、見た目も楽しい内容のようで、次はこれを!と思っています。
また、お酒を飲める場所としての使い方も可能で、ビールやウイスキーなどのドリンク、それらに合うフードも用意されています。
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ここで、肝心の旧下関英国領事館について簡単な説明を。
旧下関英国領事館は日本国内に4カ所おかれた英国領事館のひとつで、明治39(1906)年に竣工。領事館目的の建物では日本最古です。
どっしりとした重厚なレンガ造りの建物で、赤いレンガと白い石材の対比が美しい。シンプルなデザインに、階段状の切妻壁や三連のアーチが特徴づけています。
実際に領事館として使われたのは昭和15年(1940)末まで。
その後、下関市所有となり、昭和62年(1987)からは市の指定有形文化財に、平成11年(1999)には国の重要文化財の指定を受けました。

前述したカフェレストラン「英国館」のメインスペースは2階の海に面した側にあり、逆側はミーティングルームとして町おこしの話し合いの場などに使われています。
建物は、この本館のほか、附属屋もあり、こちらは市民ギャラリーとして利用されています。
本館と付属屋の間には緑と花に彩られたオープンエアスペースがあり、ここがいかにも気持ちよさそうで、ほっとひと心地つける空間です。
旧下関英国領事館では、さまざまなイベントも行われており、重要文化財として貴重な建築の観賞はもちろん、食べて、イベントに参加して、さまざまな角度からイギリスを知る場を目指していることが実感できた訪問でした。
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e0038047_11435664.jpg重要文化財 旧下関英国領事館
〒750-0005 山口県下関市唐戸町4-11
電話番号:083-235-1906
開館時間:9:00~17:00(2階レストラン「英国館」は10:00~22:00)
定休日/火曜
入館無料
http://www.kyu-eikoku-ryoujikan.com/




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by ricoricex | 2015-09-02 00:00 | 店レポート(日本)

広島アンデルセン


世の中においしいものはいっぱいあって、う〜むと唸るような感動があったり、はっと脳天を割られるような驚きがあったり。
そういうのって、もっともっと、と言葉を替えれば、とかくオブセッシブな方向へ行きがちなのですが、それとは別に体になじんだ味というのがあって、ダウン・トゥ・アースというのかなぁ、食べると戻ってきたなぁと思えるもの。
系列のタカキベーカリーやリトルマーメイドで育った私にとって、アンデルセンはそんなお店です。

2週間ほど前、たまたま広島に行く機会に恵まれ、とはいえさほど自由な時間があったわけではなく、かろうじてランチに広島アンデルセンに行くことができました。
バタバタだったため、写真はなし。

場所は、市内中心部のアーケード街の一画。
通りに面してカフェがあり、人々が談笑しながら食事をしたりお茶を飲んでいる様子がうかがえます。
お店は角に位置するため、入り口は2カ所。おばさまスタッフが扉を開けて中に招き入れてくれます。
入って右手にカフェ、右奥にパンコーナー、左手にお花屋さん、ジャン=ポール・エヴァンのチョコレートブティック。
パンだけでなく、焼き菓子やデリ、ワインやチーズも揃えていて、見ているだけで楽しい。
パンは大きな石窯が陳列スペースの奥に見られ、焼き上がったものが次々と並べられます。
ワインは、私がずっと注視していた自社ワインもあったのですが(アンデルセンは広島の中国山地に農場をもち、小麦などの農作物の栽培をはじめ、ワイン造りも行っています)、荷物を持ち歩くことができず泣く泣く断念。
レジのところにあった瀬戸内の柑橘類を使ったクグロフもおいしそうだったなぁ。。。

食事スペースは2階にあり、ちょっと高級なフードコートといった趣。
サンドイッチ、デリ、ピザ&パスタ、中国料理、デザート、ドリンクなどのセクションに分かれていて、それぞれのところで好きなものをオーダーしてテーブル席で食べるというもの。
ここが通常のフードコートと違うのは個々に支払いをするのでなく、まずはエスカレーターをあがってすぐの受付けで個人番号を出してもらい、それを各セクションで見せてオーダーし、最後にまとめて会計するというシステム。
システムをよく理解していなくって、先にメニューをオーダーしたのですが、スタッフの方が気をきかせてよろしく取りはからってくださいました(笑)。

広島に来たのは14年ぶりです。
今住んでいる福岡からも、実家のある山口からも近いのに、なかなか行くことができませんでした。
街は変わったような変わってないような。
外国人観光客が多いのは相変わらずですね(人口比率では日本でもトップクラスの多さだと思います)。

1年ほど前だったか、この広島アンデルセンの建物が取り壊されるのでは、というニュースを見ました。そのあと、これは!とうかがう機会を狙っていてやっとの機会がこの日でした。
広島アンデルセンの建物は、1925年、三井銀行広島支店として新築されたルネッサンス様式の建物。アーチ窓を配した重厚な外壁、天窓から外光が差し込む吹き抜けの周囲に中2階の回廊を有し、1945年に被爆したものの生き残り、1967年に広島アンデルセンとして生まれ変わったのです。
記事の内容からどうやら耐震補強のため、ということは理解したのですが、果たして本当に取り壊される方向で進んでいるのか、お店の方にうかがいました。
結果は、どうやら未定のようです。
ただ、どの方向であれ、耐震補強工事は来年2016年に行うことは決定していて、そのため、取り壊しになるかも?の記事が先走りしてしまったとのこと。
おそらく、の前提で、建物は取り壊しにはならない可能性が高いかも、と。
とはいえ残すにしても耐震補強工事は行うわけだし、新しく建物を作るにしても、現在の店舗での通常営業は来年早い時期までとのことでした。
(現在の地で縮小営業になるのか、移転営業になるかは不明)

そのスタッフの方曰く、全国からその件の問い合わせや実際にやって来る人も多いそうです。
この方、とても感じのいいおばさまで、店内のスタッフの方の平均年齢は高め。客層も高め。
例えが適切かどうかわかりませんが、モスバーガーが積極的に高齢者の方を雇用していて、マニュアルとは違ったほっこりするサービスだったりするでしょ、あれに近い。
ただ、広島アンデルセンの場合は、それとは違って、年齢でいうと50代と思われる方をよく見かけ、年取ってからではなく、若い頃に入社なさって長年ずっと働いてこられたんだろうなぁと思われます。

ちなみに3階はショップ&イベントスペース、4〜6階はパーティフロアです。
単にパンにとどまらず、お花屋さんがあることが象徴的なのですが、パンのある暮らし全体をボトムアップしたいという強い思いがうかがえます。
こういう信念が文化になるわけだし、こういうお店がある街って幸せだなぁ、とつくづく感じました。
次はちゃんと時間を作って来ようと思います。

wed 14/04/15


〜〜過去の関連記事も併せてどうぞ
○アンデルセン → http://ricorice.exblog.jp/21098895/



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by ricoricex | 2015-04-29 00:00 | 店レポート(日本)

Fukuoka: a city for foodies


Hi everyone.
I'll let you know useful tips especially for dining out in Fukuoka where I’m living now.
Let's get started!

When your plane lands on the city, you should head for Hakata Station.
The station building holds so many restaurants.
On the 9th and 10th floor called “Kuuten”, on the other hand, on the basement floor, you can find any sort of restaurants, from casual to fine dining, Japanese, Chinese, Korean, Italian, French and so on,. I recommend you brouse first then go to the one(s) you get interested in.
http://www.jrhakatacity.com/translation/
“Hakata Drink Street” on the ground floor, you can enjoy relaxing atmosphere with jug of beer. Attentin! Don't drink too much!

The authority introduce the outline of Fukuoka gourmet.
http://yokanavi.com/eg/theme/index/1

○Ramen
Noodle cuisine originally in china and developing in Japan. Fukuoka is famous for it as Hakata Ramen.
There are some main stores of Ramen restaurants that open abroad.

If you pop in some ramen restaurants at once, go to “Ramen Stadium”. This is a food atrraction spot.
http://canalcity.co.jp/ra_sta/

○Udon
Another tasty noodle is Udon.
24 hour opening Udon restaurant called “West” is like a fast food chain restraunts. You spot anywehe in Fukuoka. Cheap and cheerful!

○Hotpot/Nabe/鍋
Chicken Broth Hotpot/Mizutaki
Good for a chilly day.

○Offal Hotpot/Motsunabe
Offal with cabbage, leek, garlic and some other vegs

○Dumplings/Gyoza
Pan-fried dumplings with a glass of beer is a good start for evening.

○Grilled Meat Skewer/Yakitori
Not only meat but everything!

○Food Stalls/Yatai
Yatai, very famous food attraction and is regarded as a must-visit. Fukuoka still has such style, though demolishing in the other cities.
You can have local cuisine and popular food.
Tenjin, Nakasu and Nagahama areas are well known for Yatai.

○Japanese Pub/Izakaya
Personally strongly recommend. Dining in izakayas in Fukuoka is so fun. Very fresh fish and delicious local special await you!


〜〜〜〜〜〜〜〜
先日、香港の知り合いの新聞記者の方から、知り合いのフードライターさんが今度福岡に行くから、外食情報が欲しい、という依頼を受け、その回答の一部が上記の通りです(具体的な店名は伏せていますし、割愛した部分も多くあります。出せるところまで)。
このあたりの回答は質問して来る人の国や求めているもので変わってくるのですが、もったいなので。ベーシックな箇所はブログにのせておこうと思った次第。

おもしろかったのは、日韓ワールドカップのとき。
イギリス人(イングランド人)が日本に来るとなったときに、つてをたどって、私のところにたどりつきました。
訊きたいことがあるんだ、と10問ぐらいの質問リストが送られて来て、そのほとんどは忘れちゃったんだけど、ビールの値段はいくらでどこで買えるか?マクドナルドのセットメニューはいくらだ?って質問が。なるほど! これは確かにリアルに物価を知る指針になるな、とえらく感動したのでした。

で、話を戻して、ブログにのせようと思ったのはですね、この手の依頼はときどきあり、観光案内やお店のURLをつけようとするのですが、ほんっと、英語のページすらもっているところが少ない。いわんやほかの言語をや。まいったなぁ。
なんで、もしかして役に立つことがあるかも、と。

私、個人的には日本のおもてなし、って好きじゃありません。わかんないこと、困ったことがあったら自分から聞くからほっといて、って思っちゃいます。
一方的にほ〜ら、こういうのって親切でしょ、を押し付ける割には融通きかないし(ものすごくいいところはものすごくいいけど、全体としてね)。
むしろ、こういうハードというかインフラを整えるほうが大事じゃない?

思い出したのが、十年ぐらい前に、日本の某所を旅行しようと思い、よさそうだなと思っていた旅館に連絡をしたときのこと。そこは、浴衣が選べるのがおもてなしのひとつと高らかにうたっていたこともあってか、浴衣どうします?みたいなとんちんかんな回答が戻って来ました。私がききたかったのはカード決済ができるかどうか、だったんです。もう一度聞くと、カード?と怪訝そうな声。では、お客さま、キャンセルでよろしいですね、と。そもそもまだ予約してなかったよ。Why?
浴衣よりもカードが使えるかどうかの方がよっぽど大事な気がするんだけどなぁ。
まっ、そんなわけで、日本の心、とか、おもてなし以前に、まずはサイト然り、カード決済然り、こういう基本環境を整えて欲しいと切に願うのでありました。



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by ricoricex | 2015-01-30 00:00 | 店レポート(日本)

タルトポム@ゴンドラ


e0038047_8451242.jpg10月下旬、仕事&アイリッシュパブナイト@Kirin Storeなどで東京で出かけた際、
あいている時間を利用して立ち寄ったケーキ屋さんがあります。
それは、九段にあるゴンドラさん。
http://patisserie-gondola.com/

どうしてかって?
9月29日に参加した 第7回「ブラムリーを楽しむ会」で、知り合いになり、
古くからあるお店で、パウンドケーキなどはいただいたことがありますし、
もちろんゴンドラさんのことは知っていたのですが、
イギリスのクッキングアップル、ブラムリーを使ったお菓子も作ってらっしゃる、
というのをそれまで知らなかったからなのです。
しかも、長野県小布施で、ブラムリーの栽培を初めて間もなく、
まだ市場に出回る前から注目して作ってらっしゃるとのことで、
これはシーズン中に訪ねなければ、と出かけた次第。
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食べたのはタルトポム(リンゴのタルト)。
タルト生地に、クレームダマンドを薄く敷き、
煮とけたブラムリーにスライスしたブラムリーが乗っていて、
縁はスライスアーモンド。
ブラムリーの酸味とクレームダマンドのコク、
煮とけたブラムリーのとろりとした食感と上のサクサクが残ってる感じのバランスが
とてもよく、計算し尽くされているなぁと感じ入った次第です。
これは、ブラムリーでないと出せない味わい。
ご主人が修業なさった、フランス・ノルマンディー(こちらもリンゴが名産)の
タルトポムをヒントに作られたとか。
もうひとつはアップルパイで、これはブラムリーと紅玉を使っていて、
シンプルながら王道の味わい。
(写真左がアップルパイ、右がタルトポム)

ゴンドラのタルトポムをいただいて、プロの仕事だなぁ、とつくづく。
それは素材を知っていて、その特性を生かす技を持っているということ。
世の中に、ご当地ものは多く、でもほとんどは、
こういう素材があるから加工品にしてみました、という
思いつき+αの域をあまり出ていないような気がします。
先入観なしで食べたときに
どうかな?もしくは凡庸な印象しか残らないものが大半のような。。。
作る側が、思い入れがあるからでしょうが、
素材に頼りすぎて、不勉強なことが多いように思うのです。
そこに第三者のプロが入るとこうも昇華できるのになぁ。

mon 28/10/13



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by ricoricex | 2013-11-26 00:00 | 店レポート(日本)

nukumuku


ヌクムク、ヌクムク、ヌクムク。
まるでおまじないのように、声に出すと響きがよく、元気がもらえる。それが店名。
字面を眺めていると、ぬくもりがあって(そのまんま(苦笑))、ぎゅっと抱きしめたくな。
まるで、小さい子供がお気に入りのおもちゃを抱きしめるように。

e0038047_14165569.jpg店名だけでなく、店構えもカラフルで楽しい。
子どもの頃に読んだアメリカの児童小説(より現代のもの)、
『ピグルウィグルおばさん』とか『ゆかいなヘンリーくん』シリーズとかが
鮮やかに蘇ってきます(前者は、内容もだけれど、赤坂三好先生の挿絵!)。
日常の中にあるわくわくがいっぱいで、
それを具現化したようなお店が、nukumukuさんです。
店員さんも、パン屋さんというより古着屋さんのようないでたちで、なんだかうれしい。

e0038047_14174322.jpge0038047_14171212.jpge0038047_1418109.jpgnukumukuさんが移転オープンしたのは、2012年9月28日。
最寄駅は、東京都練馬区の中村橋なのは変わらないのですが、
駅から近くなり、お店も大きくなりました。
訪ねたのは、2013年9月29日。
移転オープンしてちょうど1年と1日の、いいタイミングで伺えました。

おもちゃ箱をひっくり返したような、と言いたいところですが、
散らかってはいなくって(当たり前か)、わいわい楽しく飾られています。
そしてそれはディスプレイを通り越して、
アメリカ〜ンな世界の中にパン屋さんがある、とった佇まい。
1970年代にマクドナルドで使われていたステンドグラス風のランプや
ウェンディーズの女の子の看板など、眺めているだけで楽しい。
以前のお店は通りに面した窓に、バーガーキングの紙コップが並べておいてあり、
これが最初の私の魂を鷲掴みにしたわけですが、
あれっ、あのバーガーキングの紙コップは?と伺うと、
重ねてきちんとしまわれていました。
ちゃんととってある。これが愛なんだなぁ。

e0038047_14193428.jpge0038047_14191766.jpge0038047_14191132.jpgついつい、店構えの文脈で語られがちで、
パンについても、カロリーなんて気にしない!なドーナッツや
具だくさんなサンドイッチなど、
かわいいルックスの看板商品のクリームパンなど、
大盤振る舞いなところについ目が向きがちですが、
私個人としては、ハード系やライ麦などを使った食事パンが、好みです。
じんわりとした旨さがあって、
やもするとこの手のパンにありがちな
俺が!俺が!や蘊蓄を語り出しそうなみたいなところがないから、
嫌みがない。
どのパンも比較的焼きが強いのも好きな感じです。

e0038047_14204412.jpge0038047_14211976.jpge0038047_14202591.jpge0038047_1420865.jpg小さいサイズのバゲット、クリームパン、クランベリーのドーナッツなどを買い、
帰りの道すがら食べたのが、ドイツパンサンド。
チーズやハムが、申し訳程度ではなくちゃんと入っていて、
舌の記憶でイギリスを旅しているような心持ちに。
まるで『失われた時を求めて』のマドレーヌのように(大袈裟か。。。)。

確かに、東京から福岡へ向かう道すがらではあったんだけれど、
たとえば、イギリスで列車移動のとき、たとえば飛行機の時間の関係などで
外に食べに行く時間がないときに
プレタ・マンジェ(かつて日本にもありましたが2年を待たずに撤退。。。
フレッシュさがウリの、イギリスの手作りサンドイッチチェーン)とか
そういう趣の店でサンドイッチや飲み物を買って、
時計に目をやりつつ、
ぼんやりと窓の外の景色を眺めながら食べる、という。

そんな気分になったのは、移動のシチュエーションもだけれど、
やっぱり味のベクトルが近しく、
on the road、旅の途中のサンドイッチの記憶を喚起させたのだよ。
ぎゅっと抱きしめたい、と思っていたお店に、
やさしく頭をなでられた、ようでもありました。

sun 29/09/13



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by ricoricex | 2013-10-12 00:00 | 店レポート(日本)

アンデルセン


私の実家は、自分の家分をまかなうプラスαの米を作っています
(厳密に言えば、田んぼはあるけれどほったらかしにするのはちょっと、
 ということでお願いして稲作をしてもらっています。)。
ですが、亡父が、朝食にお米は胃に重い、という理由で、
朝はパンやパンケーキなどを食べていました。
(そのため修学旅行や合宿など、泊まりの行事で
 朝食が有無を言わさず、ごはんなのが苦痛で苦痛で仕方ありませんでした)
シチューなどが献立の場合は、夕食にパンを食べていたこともありましたし、
物心ついたときからパンの比率が高い食生活です。

そんな子ども時代でしたので、外出すると、
たとえば家族でデパートとか大きなスーパーマーケットとかに行くと、
最後にパン屋さんに寄ってパンを買い、
車の中で食べる、というのがお決まりでした(田舎なので車移動)。
いくつかのパン屋さんの中で、ダントツに好きだったのがリトルマーメイド。
ペストリー系が好きで、食べるのは至福のときでした。
たまに食パンを買ってもらって、翌2〜3日はそれが朝食なのもうれしかったな。

ですので、タカキベーカリーが体にしみついているような気がします。
(リトルマーメイドは、ざっくり言うとタカキベーカリーのフランチャイズ店舗)
大学入学とともに東京(現在は、2年前から福岡在住)に居を移してからも、
日常使いで利用頻度が一番高かったのはリトルマーメイド。
青山のアンデルセン(アンデルセンはタカキベーカリーの直営店)にもよく行きました。
仕事で取材に伺えたときは、やっぱりうれしかったな。

e0038047_08442.jpg7月下旬、東京に行った際、
午前中、表参道で用事があり、であれば、とアンデルセンで朝食。
駅至近という地の利もあって、昼間はなかなか席がなかったりするのですが、
朝食はのんびりゆったり。
近所の老婦人や年の頃で50代と思われる颯爽としたご夫婦が、
自分の家のダイニングの延長といった様相で訪ね、
朝食を摂る姿も画になり、あぁ、青山だなぁと思ったり。
白を基調としたシンプルな北欧風のインテリアと
やわらかい日差しに包まれて、
コペンハーゲンに行ったときを思い出しました。

タカキベーカリー、実は中国山地(中国地方の意。島根との県境の広島)に農場を持っており、
小麦や野菜を栽培し、敷地内にはパンの学校もあります。
このことはおぼろげながら知っていたのですが、
ワイン用のブドウや、アップルパイ用のリンゴのクッキングアップル
(生食ではなく加熱調理に使うことを前提としたリンゴ。
 生では酸味が勝るが、火を入れると甘味が出て、その甘酸っぱさがリンゴらしい)も
栽培していたとは!
ワインは、現在は委託醸造のようですが、ゆくゆくは自家醸造に移行。
トータルで食を、自分たちで原料から作ったものの提供を目指しているようです。
なんと、壮大なプロジェクトでしょう! 行ってこの目で確かめたい!
受け入れてくださるなら個人的に訪ねたいけれど、
ここは仕事して、ちゃんと取材したいなぁ。

タカキベーカリーの思い出話をもうひとつ。
小学校中〜高学年の頃、日曜日の午後に、
テレビで『パンの道』という特別番組が放映され、
これがタカキベーカリー製作の番組だったんです。
内容は、記憶が曖昧なのですが、パンの歴史とか、パン文化を伝えるもので、
タカキベーカリーのプロモーションではなかったような。。。
映像として強烈に残っているものがあり、
それはヨーロッパのパンのある日常風景。
なんだろうなぁ、自分の身近なところで、
外国との文化の違いを初めて知ったからかもしれません。

e0038047_094471.jpgその話を一度取材時に伝えたら、ご担当の方は驚かれ、
同時にとても喜んでくださったんです。
その方は、同郷で同世代で、その番組はやはり非常に大きな衝撃で、
それもあって、タカキベーカリーに入社なさったそうです。
私が持っている本も、その方はもちろんお持ちになっていました。
タイトルは『アンデルセンを 食卓に』。
目の前の山が終わったら、久しぶりに読み直すとしましょう。



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by ricoricex | 2013-09-23 00:00 | 店レポート(日本)

ベルグの4月


2年前に長年(人生の半分以上!)暮らした東京から福岡に移って、
今は少なくとも3カ月に一度東京に行くペースで、
東京では、バタバタ動いてあっという間に終わるスケジュールですが、
それでもいくつか飲食店に足を運んでいます。
それは気になるお店だったり、紹介していただいたところだったり、
そしておつきあいのあったところに再訪というパターンもあります。

e0038047_0382554.jpgおつきあい、と言ってもプライベートではなく、あくまで公のもので、
それでも例えば1軒から数軒で取材をする書籍の仕事や、
雑誌でも長い時間割いていただいたところは、
情がわくというのでしょうか、愛おしい存在です。

横浜・たまプラーザにあるベルグの4月も、そんなひとつ。
書籍『〜ベルグの4月〜アントルメ・グラッセの技法』では、
何カ月もにわたって取材をさせていただきました。

取材をさせていただいていた頃、たまプラーザ駅は工事が進んでおり、
その後、駅の完成とともに、2010年秋には、駅にもご出店なさいました。
e0038047_0391673.jpgさらに、その2年後、昨年2012年秋には、
ベルグの4月本店に隣接して、カフェ・ダ・コテもオープンなさいました。
ここは、カフェ利用はもちろんですが、
新作のガトー・ア・ラ・ブロッシュ専門店としての側面もあるようで、
次に東京に行く際は、と思いつつ半年以上。
先日、ようやく訪ねることができました。

まず覗いたのが、本店のアントルメ・グラッセのコーナー。
アントルメ・グラッセとは平たくいえば、アイスクリームケーキのことで、
ベルグの4月には、通常のアントルメ同様、さまざまな種類があります
(詳細は『〜ベルグの4月〜アントルメ・グラッセの技法』にて!)。

約3年ぶりに見るアントルメ・グラッセは、
見覚えのあるものもたくさんありますが、新作もあり、
気になったのが、サントノーレ。
もともとのサントノーレは、シュー(シュークリームのシューです)菓子のひとつで、
土台生地の上に小型のシューをおき、
クレーム・シブーストをしぼって仕上げたもので、
アントルメ・グラッセの場合は、クレーム・シブーストの代わりに、
アイスクリームが使われているようです。

もうひとつ、これは!と思ったのが、トロピカルマンゴー。
『〜ベルグの4月〜アントルメ・グラッセの技法』で取り上げたトロピックの進化形で、
上にマンゴーが贅沢にトッピングされています。
トロピカルマンゴーでは変化しているかもしれませんが、
トロピックはココナッツ風味のダックワーズを土台(+表面、差し込み)にし、
マンゴーとパッションフルーツ、ココナッツの2種類のソルベを使ったもので、
濃厚でありながら、すっきりとした喉越しで、組み合わせのよさが見事。
そうえいば、トロピカルマンゴーは、
『3つ星スイーツ』では3つ星として選出されており、
やっぱり!と思ったものです。

ただですね、なんせアントルメ・グラッセですから、
上京中の身には持ち帰るわけにはいかず、
かといって冷凍庫がパンパンなので宅配してもらうことも叶わず。。。
いずれ、チャレンジしたいと思います。

e0038047_0403836.jpgアントルメ・グラッセを断念した私が購入したのは、
マカロンと、前述した新作のガトー・ア・ラ・ブロッシュ。
実は私、一般的なマカロンが、食べたときに
口蓋にペタッと生地がくっつくのが、さほど得意でないのですが
(同じ理由で最中もあまり得意でないのです)、
ベルグの4月のマカロンは、食感も見た目も違う、この店オリジナル。
生地の中はしっとり感もありますが、表面はザクザク、さっくりとした食感。
マカロンの特徴である艶もピエもなく、素朴な見た目です
(ピエとはフランス語で“足”の意、で、
 焼き上がったときにマカロンのふちにできるフリルのような部分を指します)。
コロンとした丸い形もほほえましい。
いくつか種類がありますが、バニラ、フランボワーズ、ピスタチオを購入しました。

今回の目的、ガトー・ア・ラ・ブロッシュは、
フランス南西部、ミディ・ピレネー地方に伝わる伝統菓子です。
ブロッシュとはフランス語で串刺しの意味で、
ガトー・ア・ラ・ブロッシュは直訳すると、串焼き菓子となります。
その言葉通り、もともとは円柱形の芯棒を回しながら、
生地をかけて焼き上げ、
ピレネー山脈の山々を思わせる、背の高い凹凸のかる形が特徴のお菓子です。
フランス版バウムクーヘンと言うと分かりやすいでしょうか。

ガトー・ア・ラ・ブロッシュはガトー・ピレネーとも呼ばれるお菓子で、
ベルグの4月では、ガトー・ア・ラ・ブロッシュ、
ガトー・ピレネー(ホール)、ガトー・ピレネー(カット)として用意しており、
ガトー・ア・ラ・ブロッシュは通常タイプ、
ガトー・ピレネーは、ガトー・ア・ラ・ブロッシュより直径の大きい芯棒を使って
成形したものを2段に切ったもので、それがホール。
カットはそれを食べやすいサイズに切ったものです。

e0038047_0433989.jpge0038047_0412627.jpg購入したのは、ガトー・ピレネー(カット)のプレーンとフランボワーズ。
生地自体は重厚でどっしりしたところがあるものの、
表面に凹凸があり、表面積が広いせいか、
ざっくり、ときにカリッとした食感があり、心地よい。
ごつごつした風貌といい、大らかなお菓子です。

e0038047_049718.jpge0038047_0415249.jpgちなみにガトー・ア・ラ・ブロッシュはこんな感じです。
このガトー・ア・ラ・ブロッシュはシトロン。
ガトー・ア・ラ・ブロッシュとガトー・ピレネーのフレイバーは、
今回ご紹介した、プレーン、フランボワーズ、シトロンのほかに、
横浜レギュームなどがあります。
横浜野菜を意味する横浜レギュームは、
横浜で全国有数の生産量を誇る小松菜を使ったものです。

e0038047_039344.jpgお菓子の話ばかりになしましたが、ベルグの4月は接客が気持ちよい。
レジで待っていると、必ず一声かけてくださいますし、
ほどよい距離感で、臨機応変にいろいろを心配りをしてくださいます。
別段改まってはいないのだけどキリッとしている。
パリッと糊がきいた木綿のシャツみたいだなぁ、といつも感じるのです。

sun 21/07/13



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by ricoricex | 2013-08-03 00:00 | 店レポート(日本)

働き始め、自分で稼いだお金をなんとかやりくりしながら
背伸びした場所で外食し始めたのは、今から20年以上前。
今でこそビストロをはじめ、普段着で行ける店が多くありますが、
当時、フランス料理はまだまだ高嶺の花でした。
それでも、四谷三丁目(東京)のパザパなど、ビストロ系の店が少しずつ増えていた時期で、
レストランガイドの編集(取材はほとんどしていない)をしていたこともあり、
気になるお店に、そうそう頻繁には行けなかったけれど、
いそいそと出かけていました。

好き、であり、同時に、好奇心が強いわけですが、
当時、編集プロダクション(出版編集の制作会社)にいて、馬車馬のように働いていて、
それでもときどき時間を作って、こういう場所に行っていたことで、
あるいは精神の均衡を保っていたのかもしれません。

その頃、こういった私の行動はバカ呼ばわりされていて、
先行投資と言うと呆れられていましたが、
のちに食の専門の雑誌や書籍でも仕事をするようになり
(当時は、ぼんやりとやりたいなぁと思っていた程度)、
そういう経験は多かれ少なかれ役に立っているわけですから、
人生は不思議です。

東京・六本木のフレンチレストラン、トレフ ミヤモトは、
私が食の専門誌や書籍で仕事をするようになってしばらくして、
取材する機会をいただきました。
レストラン・ケータリングの特集で、
取材は終日だったのですが、なんせ先方の仕事に密着、
といった形でしたので、
可能なときに行って話をきき、を細切れにするやり方でした。

その数カ月後、今度は、日本のフランス料理の歴史を振り返る
という雑誌の企画で、再度取材する機会をいただきました。
そのときは、シェフが座ってちゃんと話をする時間を作ってくださったので、
じっくり取材ができ、同時に、脱線したというわけではないのですが
(私自身は、一見関係のないスモールトークも
 その人となりやお店を深く理解するのに実は大事と思っているのですが)、
ちょうどリリー・フランキーさんの『東京タワー』が
ベストセラーになっていた時期で、それに端を発し、
話は、炭坑町のお昼の時刻を告げるのは発破をかける音、になり
福岡は筑豊・飯塚出身のシェフと、山口のかつての炭坑町出身の私とで、
そうでしたね!という話をして盛り上がったのです
(このとき、出版社の担当編集者の方もいらしたのですが、
 こういうことを背景として持っている人間の方が少数なわけですから、
 この人たちは何を喋っているんだろうといった感じになってしまって(笑))。

まあ、だから、というわけではないのですが、
勝手に身びいきみたいな気持ちになり(笑)、
同時に、概して、現在50〜60代の方が作るフランス料理(お菓子も、か)が
私が立ち返るところだと感じていることもあり、
常に気になりつつも、もはや私が東京に住んでいないので、
なかなか出かけられずにいました。

先日、やっと訪問。
直前の予約だったにもかかわらず、快く受け入れてくださって深く感謝します。

トレフ・ミヤモトの料理やお店については、
今さら詳しく述べる必要はないと思いますが、
数年ぶりに食事をして驚いたのが、そのフレッシュ感。
料理がとても若々しいことでした。
それでいて、しっかりとした余韻がある。
フランス料理の神髄はソース、
もっといえばフォンであることを痛感させられたのです。

ヌーヴェル・キュイジーヌが言われて久しく、
エル・ブジ(現在は閉店)に代表される分子ガストロノミー(分子調理法)、
近年ではノマのような新しい地産地消スタイルなどの影響もあり、
若いシェフが作る、素材感をぐっと前面に出した
新感覚のフランス料理ももちろん楽しい。

でも、長いキャリアのあるシェフの料理は、軽さがあっても、そこに深みがあるのです。
具体的にそれを作り出しているのはソースでありフォンと言っていいでしょう。
フォンをきちんととるのは、はっきり言って手間です。
毎日のこととなると、気の遠くなるような、日々の厨房での仕事の繰り返しです。
個人的には、フランス料理は、原価もさることながら、その手間を考えると、
もう少し価格が高くてもいいのではないかと思っています。

そして、こういうレストランで食事をすると、
豊かな気持ちになるのです。
これが文化、というものかもしれない。
料理もそうですが、日常では得られない
こういう時間のためにお金を払っているのかもしれないなぁと思うのです。

sat 20/07/13



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by ricoricex | 2013-07-28 00:00 | 店レポート(日本)

e0038047_21322247.jpgせっかく熊本に行くのだから訪ねたいなと心に秘めつつ、
しかし、その日の動きが読めず。
それでも場所だけは確認し、結局、伺うことができました。

トミーズショートブレッドハウス
熊本市内、市の中心部から少しだけ離れたところにある、イギリス菓子の店。
その店は大きな道沿いに、ちょこんと存在していました。
真っ赤な扉でなければ、見過ごしていたかもしれません。
イギリス菓子店が町にある、というのではなく、
町のお菓子屋さんがイギリス菓子をやっているといった様相。
掲載されていた雑誌などから、
勝手に、スタイリッシュで決め感のある佇まいを想像していたら、
随分と乖離があったのです。

店内は入って右手が売り場、左手と奥に厨房。
中央にレジカウンターがあり、
ピープルツリー(フェアトレードのもの)のチョコレートがおいてありました。
売り場の棚には、スコーンやショートブレッドが。
冷蔵庫にはクリームをはさんだケーキ類(ヴィクトリア・サンドイッチ)など。
アントルメはおいてなく、焼き菓子中心で、
小ぢんまりとした店内ながら、空間そのものも空気感も適度なゆったり感があります。

お菓子も、店構え同様これまた勝手に、きりっとしたものを想像していたら、
ほわっとしていて、いかにも手作り
(とはいえ、お店で販売されているものなのでだらしなくはありません)。

e0038047_21413495.jpge0038047_21414762.jpg購入したのは、イギリス菓子定番のスコーンショートブレッド
スコーンは、直径5cm、高さ3cmほどの小ぶりなサイズで、
生地に卵が入っているものとそうでないものの2種類。
さらにそれぞれプレーンとレーズン入りがあります。
(写真の円型で抜いてあるものが卵なし、菊型のものが卵入り)
e0038047_21423332.jpge0038047_21424693.jpge0038047_21422256.jpgショートブレッドは、プレーン、シトラスと白ゴマの3種類。
シトラスは柑橘類のフレイバーのショートブレッドで、
レモンの皮とオレンジフラワー水が使われています。
(写真の細長いタイプがプレーン、円がシトラス、葉っぱが白ゴマ)

イギリス菓子専門店というのは滅多にお目にかからないのですが、
イギリスのお菓子をおいています、というお店は少なくありません。
たいがい、スコーンショートブレッドがおいてあり、
実のところ、がっかりすることが多いのです。

いえね、それらはいちお菓子としては上質なものがほとんどです。
ただ、イギリスを感じるかというと、
それはまた別の問題で、たいていのところのお菓子には感じられない、私は。

イギリスで修業しました、イギリスで食べ慣れました、ということを
求めているわけでは決してないのです。
今の世の中、現地に行かずともアプローチはできますし。
もやもやっとさせられるのはそこではなく、
なんというのか、軸を感じないところにあるのです。
イギリスのこういうお菓子を自分はこう解釈している、とか、
イギリスのお菓子を通じてお菓子の世界を表現したい、ということが掴めない。
こういうイギリス菓子があるらしいからやってみよう、といった
表層的なものが多いなぁと、がっかりした気持ちになることが多いのです。

トミーズショートブレッドハウスさんのお菓子は、というと、
食べてすぐにほっとしました。
ぶれのないイギリスのお菓子だ、と。
スコーンは、材料、作り方がシンプルな分、
作り手が出やすいお菓子です。
おこがましい言い方をすると、特に卵なしは私が作るスコーンに佇まいが似ています。
やぼったくって、田舎のティーハウスで出合う、素朴でほっくりした味わい。
(トミーズショートブレッドハウスさんは、
 自然農法の国産小麦粉、オーガニックシュガーなど、
 素材も納得したものを選んで使ってらっしゃいます。
 佇まいが似ているのであって、
 味やテキスチャーも、私が作るものと同じではありません。)
一方、卵入りは、アフタヌーンティーで出て来てもおかしくない端正さ。
すくっと立っている印象です。でも、敷居は高くない。
目指してらっしゃるところが明確だとお見受けしました。

ショートブレッドはていねいなつくりがうかがえます。
全体的にぎとっとせず、
ヘザーやヒース(ともにイギリスの荒野に咲く花の種類)を思わせる
清楚かつ芯の通ったところがあります。
おもしろかったのは、白ゴマ。
白ゴマのちょっと抑えたところのある香ばしさやコクが、
ショートブレッドに合います。
和洋中折衷といった無国籍な味わいで、
ミルクティーだけでなく、
ほうじ茶や中国茶の紅茶や黒茶にも合いそうです。

お店で品物を選んでいる時、サラリーマン風の男性がいらして、
いかにも当たり前のように、スコーンを買っていかれるのが印象的でした。
すぐそこにある実直なお菓子、を見た気がしました。

thu 06/06/13



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by ricoricex | 2013-06-26 00:00 | 店レポート(日本)