「ほっ」と。キャンペーン

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食の編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


by ricoricex
プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ:本( 9 )



e0038047_053584.jpg

2016年11月8日(火)〜18日(金)(日本着は11月19日(土))までイギリスに行ってきました。
この滞在は、10日というとても短い期間だったでアートギャラリーやミュージアムの企画展示をゆっくり観る時間がとれず。。。
せっかく世界のいろんなものが集まっているのに、なかなかに残念なことです。

e0038047_06274.jpgでも、ロンドン滞在最終日、飛行機のオンラインチェックインのおかげもあり(空港到着の時間が1時間以上短縮できる!)、やっとやっと行けました。それは、
ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム/Victoria and Albert Museumで開催されていた
You Say You Want a Revolution? Records and Rebels 1966-1970」(2016年9月10日(土)~2017年2月26日(日)。あと少しです!)。

この企画展、日本語を使ってぴたっと短い言葉に当てはめづらい。
1966〜1970年のポップミュージックやファッションなどのユースカルチャーから見た社会の変容を紹介したもので、そのキーワードはRevolution(革命)であり、そこにはいつも象徴的なrecords(音楽)が流れていて、それを担っていたのはrabels(反逆者たち)ってこと。
非常に示唆的なのが、サブタイトルに“How have the finished and unfinished revolutions of the late 1960s changed the way we live today and think about the future? ”とあること。
訳すと“1960年代後半のさまざまな革命(終わってしまったもの、続いているもの含め)はいかに今日の我々の生活を変え、それが未来にどうつながるのか?”といったところでしょうか。
ここで、革命について、終わってしまったもの、続いているものとあるのが肝だなぁと思ったのです。
e0038047_06234.jpg



結果の是非はともかく、Brexit/イギリスのEU離脱、アメリカ合衆国のトランプ政権の誕生もまさにこの革命に含まれると、個人的には思っています。
(日本での報道の大半が、イギリスのEU離脱 = 悪、アメリカ合衆国のトランプ政権 = 悪という大前提で、そればかりに焦点をあてて、あれこれ言っていて、でも結果は出たわけで、であれば、どうしてそうなったのか、これからどうなるのか/どう対応していくのかを検証する方がずっとマトモだと思うのですが。。。
とにかく、イギリスのEU離脱 = 悪、アメリカ合衆国のトランプ政権 = 悪を声高々に、あたかもそれが正論のように言っている風潮には心底うんざり!)
そして、イギリスをはじめヨーロッパでは日常的な交通公共機関のストや、授業料値上げに対する学生デモや、これらのことも、日常の小さな革命だと思っています。


革命が成功する/しないはおいておいて、まずは声を上げる。
その繰り返しが歴史となり、その上で現代の欧米が成立していることを、この企画展ではひしひしと感じざるを得なかったのです。


この企画展、あまりに考えさせられることが多くって、いずれちゃんと綴りたいと思いますが、
展示を見ながら、確信したのは、
“村上春樹はノーベル賞を獲れない”
ってことです。
(日本社会の、いちいちノーベル賞でぎゃあぎゃあ言うのもうざいし、日本人受賞者を不必要なまでに取り上げるのもうざいし、そもそもノーベル賞に限らず、こういう白人社会の権威と呼ばれるものに無条件にへこへこする姿勢が嫌いだ!)

私は1969年生まれなので、この当時の日本にも革命吹き荒れた時代は体験していないし、記憶にもないのですが、日本での革命は革命とならず、結果、無力化と虚無感を植え付け、その空気感のまま今まできているんだ、ってことを否が応でも痛感!

で、ノーベル文学賞って、革命側、実際に革命に身をおくか、もしくは真っ向から反対するか、はおいておいて、どうして革命が起こったか、とか、そこでは何があったのか、とかを、つまり立ち位置はどうあれ、ともかく現場に向かう視点を持っている、切り取るってことが、イコール、社会へのまなざしと捉えられていて、そこに価値を見出しているように思えるのです。(実際のところ、革命どっぷりはNGでしょうし)

で、一方の村上春樹。
私はあまり得意でなく、特に最近の作品は読んでいないのですが、一貫して底辺に感じるのは、
もがいてももがいても、もはやもがくことすら諦めてしまったかのような、自分を取り囲む世界をすっぽり覆ってしまうほどの
“虚無感”
なんですよね〜。

そこには、世の中はこんなもんだから、という諦念。結果、自分のごくごく手の届く範囲、というか。
そこに革命は入ってこない。遠くで革命、革命と声を上げている人がいるなぁ、でも自分には関係ないから、という遠くから見ている視点。

いや、その視点から大きな社会へつながるってことはあるんですよ。
でも、姿勢としては、社会というものに距離をおいている印象。
(なので、なぜ彼が世界で読まれているかというと、社会のなかで疲れちゃってる、なんとなくもやもやしているものを抱えている人がエリアや人種などを超えて多くって、彼らが村上春樹の作品世界に自分を見出し、共感するという構図なんだろうなぁ)

となると、ノーベル賞と相性がいいわけがない。
そう、傍観者には賞はくれてやらない、んです。
あれこれ言われていますが、実のところ、ものすごくシンプルな、そういうことなんじゃないかな、とぼんやり思っていたことが確信に変わった次第。
なので、もし彼がノーベル賞を獲る可能性が出てくるとしたら、無力感とか虚無感をぶち壊す“何か”、それはおそらく理性とか感情では説明のつかないもの、もっと人間の本能的なものであり本質的なもの(それは見たくはないものかもしれない)を描いたときじゃないかな、と思うのです。


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○ 私と村上春樹 → http://ricorice.exblog.jp/22460048/
○ EU 離脱! これがイギリス国民が出した答 → http://ricorice.exblog.jp/24481123/
○ロンドンのクリスマス 2016/Happy Christmas from London 2016 → http://ricorice.exblog.jp/25084190/




↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2017-02-20 12:00 |

『春にして君を離れ』


久しぶりにアガサ・クリスティー(メアリ・ウェストマコットとして発表)の『春にして君を離れ』を読む。
今まで気に留めていなかった、ナチスの台頭とその行く手についての記述、ソ連の公爵夫人の登場に、はっとする。


そーいえば、彼女はロンドンのモダン建築を代表するひとつ、ローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングに住んでいたんだったな。
バウハウスとの関連が深く、建築家をはじめ芸術家達のサロン的な役割、施主自体がナチスからの亡命者で、彼らのための援助もしていて、と、私もここまでは知っていたのですが、
2014年にナショナル・トラスト主催の建築ツアーに参加したとき、ソ連のスパイがここを住居として使っていたことをきかされ、驚いたのでした。

で、この『春にして君を離れ』が出版されたのが1944年。アガサ・クリスティーがローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングに住んでいたのは、1940〜46年。
この符号!

春にして君を離れ』は、彼女がローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングに住んでいなかったら、物語の本筋とはあまり関係ないものの、ナチスのくだりとか、ソ連の公爵夫人を登場させるとかといった、肉付けの仕方が変わっていたかもしれないし、そもそも執筆されなかったかもしれないんだよねっ!
e0038047_21343342.jpg
ちなみに、ここでひつこくひつこく言っているローンロード・フラッツ/アイソコン・ビルディングはこんな建物です(↓)。
http://ricorice.exblog.jp/22494115/


あっ、私、アガサ・クリスティーの小説って数冊しか読んでいません。映画は昔よくテレビでやっていて、それを観たぐらいかなぁ。あっ、あとテレビ東京で「ミス・マープル」シリーズ(山岡久乃さんが声を担当していましたね)を午後やってて、それをたまに観てたなぁ(ながらで、熱心にってわけじゃない)。

春にして君を離れ』はミステリーでない(だから別の名前名義で書いた)ってのに興味を持って手に取り、そしたらある意味ミステリー以上のこわさ。
こわい、というよりも、深い。とことん深い。
そして、数年に一度読み返すと、そのたびに色合いが変わる。

あっ、足止めを食らわされたときの食事の、献立表みたいに綴られた記述も興味深いです。


春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


〜〜過去の関連記事も併せてどうぞ
○ロンドンのモダン住居建築ツアー 02 ~ローンロード・フラッツ~ → http://ricorice.exblog.jp/22494115/




↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ライター/アドバイザー”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2016-07-10 18:00 |

Three Cheers for Our Side


Hip hip hooray! Hip hip hooray! Hip hip hooray!

私は社交的内向型なので、社会生活は送っているのだけれど、一方でひとりでいると心落ち着くし、ひとりで行動することやひとりでいることがまったく苦にならない。
これ、子どもの頃から。
年齢を重ねると行動範囲が広がったり、なにより資金ってものができるので、いろんなことが可能になるわけだけれど、子どもの頃はそうはいかない。
当時は娯楽が少なかったこともあるし、そんなわけで幼稚園から小学校にかけては、ひとりでできることとして、そりゃあよく本を読んだものです。

大半は外国の児童文学。
小学校高学年になると、せっせと読書データ(国、作者、訳者、イラストレーターをメモしたもの。感想は一切なし!)を記録したりもしていました。
今も読み書きはあまり得意でなく、数字やデータを眺めたり作ったりする方が断然楽しいので、人間変わらないものです。

で、こうやって記録をとっていると、自分の好みが分かってくるし、そして自分の好みの人が関わったものを探すようになるんですね。
私の場合、訳者の大のお気に入りは神宮輝夫先生(大尊敬!)でした。
なもんで、『ツバメ号とアマゾン号』など一連のアーサー・ランサムの作品(訳者は神宮輝夫先生おひとりじゃなかったけどね)を、そして神宮先生が訳された本をそりゃあもう夢中になって読んだものです。
大掛かりではなく、ごくごく身近なありふれた生活のなかのちょっとした冒険や体験ものが多く、わくわく感いっぱいになって、すっかりその世界に入り込んだんだよなぁ。


神宮先生、12作品におよぶアーサー・ランサム連作“ランサム・サーガ”を全面改訳なさり、2010年から6年の歳月をかけて随時発刊。今年2016年1月、ついに最終作の『シロクマ号となぞの鳥』が刊行されました。
これ、ちゃんと新聞記事になっていたじゃないの!(知らなかった。。。)
冒険と成長の物語、新たな息吹 神宮輝夫さん、「ランサム・サーガ」シリーズ全面改訳
http://www.asahi.com/articles/DA3S12247846.html



欲しいなぁ。揃えたいなぁ。
でもね、子どもの頃の強烈な体験ってのはそうそう頭から外せなくって、時代遅れになった言い回しや言葉があっても、やはり自分が体験した函入りのあれ!が欲しい、ってのはあるのよね。
新しいシリーズが岩波少年文庫とハンディなのはありがたいけれど、あの函の中には当時の私のわくわくがいっぱい詰まっているのよ。

神保町の古本屋さんや、今ならそれこそアマゾンでさくっと買えるのですが、問題は場所をとることなんですよね。
正確には、場所をとってもいいのですが、これに手を出したら、堰を切ったようにあれもこれもと、子どもの頃に夢中になった児童文学に手を出しそうで、それが怖い。。。
嗚呼、こうしてまた悩む。ずっと悩み続けているのです。



そして、今年、2016年は、『ツバメ号とアマゾン号』の映画の封切りが決まっています(いつだろう?)。
http://www.bbc.co.uk/bbcfilms/film/swallows_and_amazons
https://harbourpictures.com/portfolio/swallows-amazons/

初版が1930年だったから、もう85年も前の話なんですよね〜。
今まで映画&TVドラマ化されたことはあるけれど、観たことはなくって、自分の中のイメージもあるので観るのが怖いような、でもやっぱり観たいよーな(とはいえ、日本じゃ演んないでしょうねぇ)。


映画『ツバメ号とアマゾン号』の撮影は昨年2015年7月に開始。
そして、この映画制作では、主要キャラクターのひとり、TittyがTattyに名前を変えられ、物議を醸しました。こんな感じで(↓)。
BBC changes name of lead character in Swallows and Amazons from Titty to Tatty
http://www.telegraph.co.uk/news/bbc/11697288/BBC-changes-name-of-lead-character-in-Swallows-and-Amazons-from-Titty-to-Tatty.html


以前、どっかの行政だったけなぁ、イギリスの伝統的なお菓子、スポティッド・ディック/Spotted Dickを、スポティッド・リチャード/Spotted Richardに名称を変更したのは。
(※ここでいうDickとはPuddingの意味なのですが。。。念のため)

まっ、世の中にはいろんなことがいちいち気になる人がいるってことで。
アイ・アイ・サー。


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○湖水地方=ピーターラビットじゃないの、私の場合 → http://ricorice.exblog.jp/24192631/
○子ども時代のアイドル → http://ricorice.exblog.jp/9960525/
○人生は食卓のまわりをまわる → http://ricorice.exblog.jp/10094581/




↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ライター/アドバイザー”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2016-06-03 12:00 |

2016年2月29日(月)、作者であるビクトリクス・ポターの生誕150周年を記念して、児童文学のキャラクターとして初めて、ピーターラビットがイギリスの硬貨に登場。
カラーコインシリーズ4種の第一弾としてお目見えとなったのは、青いジャケットを着たピーターラビットがデザインされた50ペンス硬貨。別のキャラクターのコイン3種も年内に順次発行される予定だとか。
Beatrix Potter's Peter Rabbit on new 50p coin
http://www.bbc.com/news/uk-35684900



イギリスの湖水地方(レイク・ディストリクト)は、そのピーターラビットの故郷として、作者のビクトリクス・ポターが暮らしていたところとして知られていますが、(また、ある人にとっては詩人ワーズワースゆかりの地として)、私にとっては別の児童文学の舞台として頭に叩き込まれていた場所です。
それは、アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』(と一連の作品群)。

(↑は私の記憶にある本の装丁&体裁とは違うけれど)

初めて訪れたのは、2000年初夏。当時、イギリスに住んでいて、学校のハーフターム(学期の間に1週間ほどの休暇があるのです)を利用してか、週末を利用してか忘れちゃいましたが、一番いい時季に行こう!と思いたち、訪問したのでした。
私は、混沌とした、よくいえばいいも悪いも混在した人間臭い都市が好きで、のんびりしたとこでは暮らせないと思っているのですが、それとは別に、世の中にこんなに美しいところがあったのか!と驚きました。
画に描いたような、とはこういう風景をいうんでしょう。湖と緑と空と山と、なにもかもがあまりにも美しい。breathtakingという言葉どおり、まさに息を飲むような風景がパノラマとなって、眼前に広がっていたのでした。
(その後、2001年2月に再訪。エリア全体が冬ごもりといった様子はそれはそれでよかったです)

嗚呼、ここで『ツバメ号とアマゾン号』に出てくる子どもたちは、冒険を体験したんだな。
じわり、じわり、と物語の世界がよみがえります。
初版が刊行されて70年経った当時でさえ、物語を照合させるのにあまりあるほどの自然環境でした。


アーサー・ランサムの『ツバメ号とアマゾン号』は、わかりやすくいうと、子どもたちの冒険物語(舟がベース)です。
その冒険は、『ロビンソン・クルーソー』や『ガリヴァー旅行記』といった大掛かりなものではなく、いかにも身近に起こりそうな、ごくごくありふれた(ミドルクラスの)子どもたちのワクワクぶりをいきいきと伝えるもので、すっかり夢中になっちゃたんですね〜、子どもの頃の私は。

当時の私は、今からは信じられないほど、本を読むのが好きで、その大半は外国の児童文学でした。
読書記録をつけていて、それは感想ではなく、作者、訳者、イラストレーターといったデータのみ。
こうやってデータを記録していると、気づくことがあり、私の場合は、好きな作品の訳者に神宮輝夫先生(尊敬の念を込めて、先生です)が多かったんです。
ツバメ号とアマゾン号』はじめ、アーサー・ランサムの作品の大半は、神宮輝夫先生が訳してらしたんじゃなかったかな?
物語と私の相性もあるのでしょうが、それを差し引いても、訳がすばらしかったんです。
ありがとう! 神宮輝夫先生!

現在は絶版になっていますが、岩波書店から『アーサー・ランサム全集』が全12巻で出ていて、これまで2、3度、東京・神保町の古本屋さんで見かけました。
そのたびに食指が動いて動いてしようがないんだけれど、ハードカバー&函入り(だったと思う)で場所をとるの悩みどころで、そのたびに現実的な判断を下すんですけどね。
後に文庫版も出ましたが、やはり幼少時の思い入れもあって、手元におくなら、こっちのどんっ!とした全集が断然いい!
一生、このまま迷い続けるのかしらん。


ところで、このワクワク感、音にすると、まさにこーなのよ!と思ったのが、
フリッパーズ・ギターの1stの『海へ行くつもりじゃなかった』。
アーサー・ランサムは『海へ出るつもりじゃなかった』という作品を書いていて、フリッパーズ・ギターの手法、それになにより小沢健二はそれをヒントにしてもなんらおかしくない家の子どもだから、明らかに確信犯!ですな。



なわけで、新硬貨から思い出されたことをつらつらと。


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○子ども時代のアイドル → http://ricorice.exblog.jp/9960525/




↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ライター/アドバイザー”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2016-03-05 12:00 |

先日、“SMAP報道をイギリス人に質問された”記事の最後にジョージ・オーウェルの『1984』についてふれたついでに。
まあ、単に私が思い出して読み直しただけなんだけど(笑)。


ジョージ・オーウェルといえば、どうじても先に挙げた『1984』や『動物農場』といったディストピア小説、はたまた『パリ・ロンドン放浪記』『カタロニア讃歌』『ウィガン波止場への道』などのノンフィクションが挙げらますが、エッセイもいろいろ残していて、そのひとつが『In Defence of English Cooking』。
日本語にすると、“イギリス料理は悪くない”“イギリス料理を弁護する”といったところでしょうか。


10年ほど前だったと思います。
2000年代半ば、ペーパーバックで知られるペンギンブックス/Penguin Booksが70周年を迎えた際に発売(再編集、もしくは装丁を変更しただけなのかな)されたものにジョージ・オーウェルの『In Defence of English Cooking』もあり、これ、わずか60ページほどの薄い本。
4つのエッセイが収められており、トリに登場するのが、本のタイトルにもなっている「In Defence of English Cooking」です。

In Defence of English Cooking (Pocket Penguins 70's)


イギリスの生活では一般的な、でもそれ以外の国々ではさほど知られていないであろう食べ物の賛歌、それはキッパー(ニシンの燻製)だったり、スティルトン(ブルーチーズの一種)だったり、コックス(・オレンジ・ピピン ※リンゴの1種)だったり。
そして、レストラン事情で締めくくっています。

特に、このエッセイの大部分を占めるイギリスの食べ物賛歌は、作品が発表されて70年以上(!)経った今でも十分通用します。
締めのレストラン事情は、今は違います!と言いたいところですが、実は本質的な部分では変わっていないのでしょうか。もしくはもがき続けているのかもしれません。
私は疑ってかかるところから始めるクセがあるので、本当に変わったのかもしれないけれど。


さて、「In Defence of English Cooking」はたった3ページのエッセイです。
しかも、平易な文章なので、読みやすい。
私は、ジョージ・オーウェルの作品が好きで、同時に深〜く影響を受けているのですが、エッセイを読むと、その文体から、一言でいうと、誠実な人だったんだなぁ、と感じます。
目線が上からじゃないのよ。偉そぶったところがなく、言葉を変にこねくり回すこともなく、それでいて情景がまざまざと浮かんできて、とても好感の持てる文体です。考え込むことなく、さらっと読めるのもいい。


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○SMAP報道をイギリス人に質問された → http://ricorice.exblog.jp/24082498/
○イギリスの地方料理 ケンブリッジシャー 04 → http://ricorice.exblog.jp/22017309/
○私の英語学習のバイブル → http://ricorice.exblog.jp/24040928/




style="display:block"
data-ad-client="ca-pub-2330781859383885"
data-ad-slot="2695888056"
data-ad-format="auto">



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ライター/アドバイザー”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2016-01-28 21:45 |

『わたしを離さないで』


働き出してから、めっきり文芸書の類を読まなくなって、それはその世界に没頭にするのに時間がかかり、そして読み始めたら一気に読みたいので、なかなか普段の生活の中の細切れの時間を、というのがやりづらくなったから、です。
ん〜、でもそれも言い訳かも。仕事の資料用とか新書とか、データを文書化したようなものはせっせと読むのですが、といっても、こっちもたいして多くはないので。
要は本をあまり読んでいないってことですね。

それでもときどき、まとまった時間が発生することがあります。
それは移動の時間。ヨーロッパ便は最適です。というのも、私は機内で映画も見なければゲームもしないので(なんだか落ち着かないんですよねぇ。。。)、寝ているか本を読んでいるかどっちかです。
ときどき仕事もしてますが、基本、海外へ行くときに仕事は持ち込まないようにしているので、時間はたっぷりあるわけです。
あとは、渡航先での列車移動などの時間や、めいっぱい予定を入れて動き回らないので、夜あいていたりすると、時間がここでも発生するのです。

そんなときに読むのが、文芸書の類。
新しいものを読むこともあれば、昔読んだものを読み直すこともあります。
とりわけ印象に残っているのは、南仏をのんびり旅しているときのこと。特に、リュベロンを公共のバス移動(一日数本しかバスがない)している際は、なんせ時間だけはたっぷりあるといった状況で、そのとき拠点にしていたマルセイユの友達の家から借りてきた『草枕』と泉鏡花がやけにしっくりきました。
初めて読んだのは高校生のときだったか、そのときに見えなかった風景がくっきりわかる。
年をとるってこういうことなかものねぇ。


こういう風に旅先で巡り合って再読するものもあれば、温存していて旅先で読む物もあります。
2014年秋のイギリス滞在では、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を持参。
『わたしを離さないで』は発売されてからずっと読みたいなと思っていたのですが、なんとなくほとぼりが冷めるのを待ってから、やっと購入して、ようやくイギリス入りして読むにいたったわけです。
いろんな意味で静かでバタバタしていない状況で読みたい、って思たんですよ。

描かれている特にどーってことない田舎のシャビーな風景が、過去の記憶や、時に目の前の光景にやけにオーバーラップして、小説そのものが静かに中へ中へ入っていくようで、じわじわと、でも確実に響きました。
(名前からわかるように、カズオ・イシグロはルーツこそ日本ですが、彼はイギリス人だし、私自身は圧倒的にイギリスを感じる作家です。日本での紹介のされ方が、日本が強調され過ぎるように思われて、いい加減うんざり! ちょっと外国で名をなすと、その人物がもはや日本人でないのに(または日本をベースとしていないのに)日本をやたら強調すること、いい加減やめません? それにより作品や実績そのものがぼやける傾向は、なんとかならんもんですかね?)

ビスケットを持参とかね、どーってことない食事やカフェ(カフ?)のシーンとか、描き方が鮮やかで、そのディテールに、嗚呼、イギリスなんだよなぁ、とつくづく思ってしまいました。


ところで、日本の普段の生活の中で読んでいたら、いったい私はどう感じたんだろう?



・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。
by ricoricex | 2015-05-22 00:00 | 小説

往々にして、子どものころに読んだものを年月をおいて読み返すと、違った印象を受けるもの。
『アーノルドのはげしい夏』をん十年(!)ぶりに読み直したら、静かに深く心の中に入ってきました。
そして、階級ということ、そしてそこに端を発すると思われる
イギリス人のもつキャラクターのひとつ“諦念”にまたしても思いをめぐらしたのです。
サッチャー政権以降、随分と変わったと思うのですが(それはよく拝金主義と呼ばれる)、
なんというのか、おかれている状況をあるがままに受け入れる、というか、
ワーキングクラスはワーキングクラスで、アッパークラスはアッパークラスの世界が確かに存在し、
違う世界をうらやましいとか行きたいとか、(少なくとも表面上は)思っていないこと。
それは後ろ向きでも悲観的でもない(だからといって前向きではないけれど)
“諦念”となって表れるように感じられます。

特に少年少女向けの物語は旅立ち、とかそういうことが起こるのですが、
労働者階級の少年が主人公のこの物語では起こらない。
そうなってもおかしくない事件が起こるものの、
少なくとももとの生活で暮らしていくというもの
(心理的な変化があったかどうかはわからない)。
なんていうんですかね、一見普通の、とるに足らない人生にも
やはりそこには物語があり、たとえそれが古い因習にとらわれるものであっても
誰にも否定できない、とでもいうのか。。。

そんなことをぼんやり思ってしまいました。
と同時に、なんでもないセリフのなかに、
「人生は食卓のまわりをまわる」というすんばらしいフレーズを発見。
これは名コピーですねぇ〜。
これに限らず、神宮輝夫先生の訳は本当に素晴らしい!



・当ブログ内の文章、写真、その他の無断転用、転載を固く禁じます。
by ricoricex | 2009-04-21 20:52 |

子ども時代のアイドル


今日、外に出たときに何気なく入った古本屋で驚喜してしまいました。
子ども向けの本の棚に、思わず欲しくなる本が何冊かあったのです。
今では信じられないことですが、子どもの頃の私は本当によく本を読んでいました。
(今は読む、というより、眺める、になってしまいましたが。。。)

子どもの頃(小学校3〜6年生)、私は私だけの読書メモをとっていました。
その読書メモは別段、感想や印象を書くものではなく、単にデータ。
書名、作品名、作者名はもちろん、イラストレーター名(当時の言い方は挿絵画家)と訳者名も。
最初は単に記録としてつけていたのですが、記録っておもしろいですね、
重ねることでデータベースとなるんです。
同じ作品でもイラストレーターや訳者によって印象がまったく違ってくることも
この記録を通して知ったように思います。

当時、私は、ざっくりと国で言うと、イギリスもの、フランスものの児童文学、
日常をベースにちょっと冒険の要素が入り
しかもユーモアのセンスが漂っているものが大好きで
(正義が勝つ、とかそういうものは説教臭くて好きじゃなかった。あっ、今でも、か)、
イラストレーターは赤坂三好先生(尊敬の念をこめて、先生です!)、
訳者は神宮輝夫先生が、ダントツにお気に入りでした。
いや、今でも、あのわくわく感を私に与えてくださる方々はこのお二方以外には
いらっしゃらないかも、です。
私の記憶が確かなら、少なくとも私が読んだ範疇では、
おふたりがご一緒された作品はなかったと思います。
神宮輝夫先生はイギリスものばかりだったような。。。
赤坂三好先生はフランスやアメリカなど、特にどの国っていうのはなかったように記憶しています。

数年前に、古本屋さんで、岩波書店(だったと思う)から出ていた神宮輝夫先生訳の
アーサー・ランサム全集(だったかなぁ)、全巻セット3〜4万円で見つけ、
思わず声をあげそうになり、買おうかどうしようか非常に非常に迷ったのですが、
置き場所を考え、また極力モノは買わないようにもしていて、そのときは断念しました。
でも、今なら買っちゃうかも。

小学館(だったと思う)から出ていた少年少女世界名作全集(っぽいタイトルだった)の
フランス編の一冊の中に、赤坂三好先生イラストの「デブの国 ノッポの国」というお話があり、
トップクラスのお気に入りのひとつでした。
それとなく、探してはいるんですけど、なかなか見つかりませんなぁ。
その気になれば、入手できると思うのですが、
向こうからやってくる方が喜びが大きいような気がして、
それとなく探している、程度なんですけどね。




↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ライター/アドバイザー”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2009-04-01 21:41 |

もう何度読み返したかわからない。
折りにつけ読み返している、一番好き(というよりしっくりくるという方があてはまる)小説。

碾臼

この「碾臼」、クリスマスを回想するシーンに始まりクリスマスに終わります。
発表されたのは65年。
なので、シングルマザーというシチュエーションは、
今となっては珍しくもなんともないし、中に出てくる社会環境/情勢も今と違う。
それでも、本質的な、社会とどう対峙するか、というのが、
この小説が発表される少し前の世代の、怒れる若者たち
のような単純なNO(もちろん彼らも決して単純ではわけでないけれど)ではなく、
より複雑な心情ゆえ、しっくりするのです。

まあ、内容はさておき、食の箇所もなかなか興味深いのです。
65年発表なので、今と若干違うものの、変わってないことも多いかもしれません。
クリスマスにターキーを調理、
ハーブやらワインやら、マッシュしたクリを使うとか出てきます。
あと、家で食べるものはゆで卵やらベーコンエッグやらぐらいで、
(シングルのせいなのか)料理しないなぁ、
卵使ってさっと簡単に作って食べてるんだろうなぁ、とか、
ミドルクラス出身の主人公の義姉が
セルフリッジでディナーパーティーのためのキジ料理を買うとか、
家でミル使ってコーヒーいれるってのもミドルクラスだなぁetc。
主人公の友人で育ちが貧しいことを表現するのに
豆とゼリー、パンに肉汁をつけて食べて育った、
というくだりが出て来ます。
肉や野菜やバランスのとれた食事をして育っていない、
ゆえに肌の色が不健康だと。
今も、体型はある意味、クラスを体現している面もあるし。
子どものころにケロッグのコーンフレークを食べていた、ともあり、
コーンフレークってアメリカから入ってきたと思うんだよなぁ、
いつどうやって入って来て、あんなに広まったのか、
(今、一般的な朝食はシリアルなんじゃないかなぁ)
調べてみたいもんです。



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ライター/アドバイザー”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2008-12-25 23:50 |