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イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

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イギリスの食研究家、食のダイレクター/編集者/ライターの羽根則子がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。chattex アットマーク yahoo.co.jp


by ricoricex

7日目<2007年11月1日(木)>


11月に突入。といっても何も変わりませんが。さて、今日は魚の日です。おろすところからスタートします。私自身はここ何年も魚をおろしてませんが、果たして、手先があまり器用でないイギリス人、しかも普通の人にどう教えるのか、ちょっと意地悪な気持ちで臨みます。お相手はシタビラメ。頭は取り除いてあり、内臓は処理済み、うろこを落とす必要もないので初心者にはぴったりです。
結果どうだったかというと、イギリスのやり方、論理的&合理的で(とでも言えばいいのでしょうか)とてもいいと思いました。ヒレや尾はキッチンばさみで処理します。さらに3枚におろす、ってことはしません。背骨に沿って包丁を入れ、フィレに切り分けていくというやり方です。この時使うのは、その名もズバリ、filleting knife(フィレティング・ナイフ)確かに最初に3枚におろすよりはこの方が身幅が狭いので扱いやすいです。ヒレや尾を包丁で切り落とすのは力が必要だったりしますが、キッチンばさみだと楽チン。とはいえ、当のイギリス人の生徒は、切り身、ひいては調理された状態でしか魚を見たことがない、ましてや扱ったことなんて、といった状況で、苦闘してました。若いC1は耐えられないと魚をおろすのは断念するし。
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これ、正直な姿だと思います。イギリスでの死因の上位は心疾患。この原因のひとつに肉類の過剰摂取が挙げられています。ヘルス・コンシャスな昨今のイギリス、確かに、魚の方が健康にいいというのは常識になったようですし、魚料理を得意とするリック・スタインのようなシェフは人気だし、ロンドンのようなコスモポリタンな大都市ではそれこそありとあらゆる食べ物が享受できます。しかし、これはひとつの側面であることも事実。サリーというロンドン郊外の保守的でお金持ちの多い白人層のこの場所は、そういう意味ではとてもイギリス的な場所であり、この場所で魚苦手という姿が見られたことはとても興味深かったです。
そうそう、今日のメニューはと、Tomato, avocado & mozarello salad(トマト、アヴォカド&モッツァレラチーズのサラダ)、Sole parcels with ginger, coriander and lemon grass(シタビラメのオリエンタル風)。ドレッシングを作るときはジャムの空き瓶などを利用します。材料をすべて入れて蓋をしてシャカシャカと。泡立て器やボウルは必要ありません、生活の知恵ですね。
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午後はPommes de terre Louise(ポテトグラタン)。Pomme de terreとはフランス語でジャガイモのこと。メニュー名や用法などでフランス語がちょくちょく登場します。私、フランス語はビギナーでほとんど喋れないのですが、主な食材などの単語だけはひと通り覚えました。それがこんなところでこんなに役立つとは! 学校でフランス語を選択していない(かつては外国語はフランス語が必修でしたが、現在はスペイン語など複数から選択)人は何コレ?の様子。私にフランス語の知識がなかったら、このコースはもっと厳しいものでもっと混乱したと思います。しかし英語風に発音するので、何のことか耳だけでは理解できなかったりもしますが(と、自分のことは棚にあげる)。
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夕方、学校長であるPの買い出しにセインズベリー(スーパーマーケットのひとつ。ジェイミー・オリバーがイメージキャラクター。もう10年近くやってるんじゃないかしら)へとついていく。ここで、へんてこなものを発見! きけばレジではお金だけ払えばいいように、自分でチェッカーをするという代物。日本の技術は世界最先端だと思うけど、日常生活に浸透しているかというと首をかしげざるをえないことも多い。例えばJRのチケットは会員にならないとオンラインでチケットがとれないとか、お役所関係はほとんどオンラインで手続きができない、とか。逆に、日本にはないの?とびっくりされる始末。
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その後、Pのご主人、Kと3人でパブへ。ほかに何もないところにあるので、近所の人が気軽に来るというより、わざわざ来るといった印象。わさわさうるさくないし。食事利用の人もかなりいて、素朴ながらいい感じの料理を出している様子でした。
by ricoricex | 2007-12-18 11:07 | 旅の記憶