こういうお店は、グルメガイドの類に取り上げられるわけではなく、
ただいつもそこにあって、入店したことがなくても街の風景として認識されています。
ロンドンはアールズ・コートにあるビストロ・ベニート/Bistro Benitoもそんな店で、
少なくとも私がロンドンに行き始めた20年前には、すでに長年そこにどっしり構えていました。
https://www.facebook.com/BistroBenito/
でも洗練された今どきのお店とはまったく違う、
日本でいうと、街の洋食屋/定食屋といったところでしょうか。
この手のお店、イギリスでは目に見える形で減っている(日本も同じ、か)。
私曰く、endangered species(絶滅危惧種)。
それは時代の流れだから仕方ないなぁ、なんだけれど、
どこの駅を降りても同じようなチェーン店が散見されるのは、
やっぱり味気ないんですよね〜。
ほっておくと、後手に回るので、このときのイギリス滞在では、
意志をもって、どこかのタイミングで必ず行く!と。
そうしないと気づいたときにはなくなっていた!なんてことになるかもしれないから。ね。
“そのとき”はやってきました。
どこか西でランチを一緒に、となり、じゃあビストロ・ベニートへ!と相成りました。
イギリスのランチタイムに早い12時を少し回って訪れると、
先客は、ご近所さんでしょうか、ご妙齢のご婦人がお一方。
チューダー様式っぽい、黒い梁に白い壁、
古い食器や鍋などが飾られ、ソファやイスの座面の赤い色も懐かしさが漂う。
そして、テーブルセッティングね!
プレイスマットに大ぶりのサーヴィエット(ナプキン)、そしてチープなカトラリー。
(余談ですが、プレイスマットは慣れると便利!
コースターのランチョンマット版といったところで、裏はコルク、表面はコーティングしてあって、
食事のあとテーブル全体をふかなくていいし、熱いお皿をおくときも気にしなくていい!)。
そしてワイングラスね!
上質なものとはまた別の意味で、
落としても割れなさそう、ディッシュウォシャーでがんがん洗えそう。
コロンと丸く、上部がややすぼまった形がかわいらしく、
私が長年にわたって欲しいなぁ、って思っているものだったんです。
オーダーしたのは、前菜は、ご一緒した方も私も、
・リークとジャガイモのスープ/Leeks potato soup £3.80
メインは、ご一緒した方は、
・スパゲッティ・ボロネーゼ/Spaghetti Bolognese £9.75
私は、
・緑のラザニア/Lasagne Verdi £9.95
(普通のラザニアを食べたかったけど、メニューになかった。。。)
そしてハウスワインの赤のハーフボトルを2人でシェアして、£7.95
味はねぇ、まあ、こんなもんかなぁ〜(笑)。
全体的に塩気が強い。とりわけスープは。
まあ、こういうお店で見目麗しい素晴らしい料理を期待しちゃいけない。
ただ、ボリュームはすごいよ!
スープもスパゲッティもラザニア通常の飲食店の2倍はゆうにあります。
もう、前菜のスープだけでお腹ぱんぱん!
飲んでも飲んでも減らない(笑)。
スパゲッティは見るからにゆで過ぎで、アルデンテって何ですか?な状態で、
あ〜、懐かしのイギリス!
そして、パンがまた、へたれで泣かせます(いい意味で)。
スーパーマーケットで売っている、工場で大量生産したような、クラムもクラストもへったくれもない、
バタール(バゲットより太く短いタイプのフランスパン)もどき。
そして、バターではなくマーガリンが出てくるあたり、ビシッと筋が通っています(笑)。
カジュアルスマート(以上)な今どきのお店で、
オーセンティックでオーガニックな食事をするのは楽しい。
でも、同時に、こういう、日本でいう“昭和”的なものっていうのは、
ノスタルジックな気分に浸れるエンターテイメントとして楽しい。
そして、会計。
今、珍しいよね〜、こういう手書きのタイプ。
しかも記されているのは料理代のみ(つまり、サーヴィス料は含まれていない)。
もはや端末で、かつサーヴィス料も自動的に会計に組み込まれていることが多いから、
チップを計算しながら、ちょっと前までこうだったんだよなぁ、なんてしみじみしたりして。
ビストロ・ベニートのフロアにいたのは、陽気なおじさんと、
料理を運んでくれたり、コショウやチーズをふりかけてくれた寡黙なお兄さん。
先客のご婦人、後から入ってらしたご年配のご夫婦(だと思う)と
陽気なおじさんと仲よさそうに話していて、ご近所の長年のおなじみさんが多いのかなぁ、と思ったりして。
で、ビストロ・ベニートに行くぞ!と決めて気づいたこと。
アールズ・コート駅(アールズ・コート・ロード側)を出ると、
正面やや右手にニュースエージェントがあるのですが、
この裏側に、アールズ・コート・ロードを渡った側から目をやると、
底部にビストロ・ベニートの広告があるじゃないの!
今の、今まで気がつかなかったなぁ。
wed 01/11/17
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