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イギリスの食研究家、食の編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


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ランチ@ガーニェ/ガルニエ/Garnier(ロンドン)


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私自身のための備忘録。
気がついたらそこにあって、気がついたらなくなっていた店。

ロンドンで私が拠点としていて、そこのエリアの空気感がす〜っと体になじむのはアールズ・コートです。
ロンドンは西側、地下鉄のピカデリー・ラインとディストリクト・ラインが乗り入れ、ゾーン1と2の境。
かつてはユースホステルがあったり安宿があったりで、カジュアル旅行者の宿泊エリアでした。
あとコンサートやイベント会場で利用されるエキシビション・センターがあり、
この2つの目的で訪れる(た)人がいるんじゃないか、と。
逆に言えば、ほかにめぼしいものはなく、雰囲気は山の手の下町。
東京の三軒茶屋あたりが近いなぁ。
三茶界隈をうろうろしていた時期が人生で一番長く(居心地がよかったので長く住んだ)、だからこそ、私にとってしっくりくるのです。

そんな場所なので、飲食店に関してもチェーン店や、ちょっと脇道を入れば昔からやっているお店はちょこちょこあるのだけれど(だいぶ減ったけど)、あくまで近所の店感覚。
ふらっと行ってふらっと入って、なところが主流。
メディアに取り上げられたり、とか、知る人ぞ知る名店があったり、とか、というわけではありません。


数年前、アールズ・コート駅をアールズ・コート・ロード側に出て(たいがいこっちを利用するのですが)、フラム方面に向かって歩いていたとき。
「あれっ、こんなお店あったっけ?」な前を通りました。
そのビストロの見た目は、いかにも昔からず〜〜〜〜〜っとあったような佇まい。
モダンがどうの、とか、シェフの技がどうの、とか、とは違う、
昔ながらの普段着のフランス料理をまっとうな手法で実直に提供している店、という印象でした。
店構えも奇をてらわずレイドバックしたかのよう造りで、周囲になじんでいます。
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ある日、アールズ・コートに用事があり、それが終了したときは午後2時前。
いざ、お昼を!

で、はっと思い出したのが、このお店、ガーニェ/ガルニエ/Garnierでした。
http://www.standard.co.uk/goingout/restaurants/garnier-review-8049484.html

すぐに営業時間を確認すると、水曜日のこの日は営業。
ランチ営業もしていて15時まで、
しかもおトクなセットメニューもある、とのこと!
すぐさま駆け込みました。


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ロンドンの多くのお店がそうであるように、奥に長い。
木の床には、4人がけテーブルが10席以上。
木製のイスにえんじ色の座面とソファ。
四隅が曲縁を描いた大きな正方形の鏡がクリーム色の壁に飾られ、その鏡の間を絵画が占めています。
内装も、いかにも上質なビストロといった様相。
えてして、モダンだったり、シンプルだったり、デコラティブだったり、個性を出そうと頑張ってしまいがちで、それはそれで楽しかったり感心したりするのですが、
こういうありきたりを実践するのってありそうでなく、直球勝負って意外とむずかしい。
やもするとやぼったくなっちゃうもんね。

私のテーブルを担当してくれたスタッフは、中年のフランス人(発音ですぐにそれとわかる)。
「いかがですか、マダム」「どういたしましょうか、マダム」とマダム、マダムを連呼されるのは、ほかのロンドンのお店と同じだけれど、今どきのフレンドリーな接客ではなく、くだけず、ひっこり笑わず(冷たい表情ではない、少し口角はあげるけれど)。
身のこなしも、あっ、この人、由緒正しいファインダイニングにいたか教育を受けた人なんじゃないかなと思わせるに充分。
あ〜、こういうアプローチのサーヴィスも久しぶりだなぁ。

肝心のメニューは、というと、2コースのセットメニュー、コーヒー(エスプレッソ)付きで£18(同内容でディナーは£22)。
前菜&メインはプリフィクスで、私が選んだのは、
・前菜:カリフラワーのポタージュ/Potage Dubarry/Cauliflower Cream Soup
・メイン:ホロホロチョウのロースト、レンズマメ添え/Pitade aux Lentilles/Guinea Fowl with Braised Lentils
これにスパークリングウォーターを注文し、サービス料込みで、しめて£24.30。
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カリフラワーのポタージュ、フランス語でPotage Dubarry、直訳するとデュ・バリー夫人のスープ。
カリフラワーのスープがなぜ、デュ・バリー夫人のスープかって?
かつてのフランス国王、ルイ15世が大好きだったもの、それはカリフラワーと(愛人の)デュ・バリー夫人だったから。
それでフランスではカリフラワーを使う料理を、Dubarry/Du Barryという名前をつけて呼ぶのです。
こういうクラシックな名称と、これまたクラシックな料理があるのは、この店らしさを物語っているよう。

料理はスープもお肉もしっかりめに塩をきかせ、ホロホロチョウの焼きもしっかりしていて、王道だなぁ、と思わせるものでした。
フレッシュな野菜などではなく、豆の煮込みを合わせるのも、クラシックなフランスっぽい。
現代の軽やかなフレンチも楽しいのですが、私自身の好みは骨格のしっかりしたフランス料理。
手頃な値段で、こんな真っ当なものが食べられるのはうれしいなぁ。

私がいいなぁ、と思ったのはパン。パニエには2種類のパンが入っていて、ひとつは定番のバゲットをカットしたもの。
もうひとつがバゲットを細長く切り、油(オリーブオイルだと思うけど、こういうフランス料理を出しているところだとバターかなぁ。半々かなぁ)をたっぷりふりかけオーブンでぱりっと焼き、粗塩(岩塩)をふったもの。
塩はそこまでたくさんふっていないけれど、粗塩なので塩気がときどきバシッとくる。
実においしい。ワインが欲しくなる。
古くなったバゲットの再利用だと思うけれど、そのパサパサを逆手にとってクリスピーに仕上げてあります。


ちなみに、私が選ばなかったほかのメニューはこんな感じ。
・前菜:カンパーニュ・パテ/Terrine de Campagne/Country Coarse Paté
   スモークサーモンのサラダ、ポーチドエッグ添え/Salade de Saumon Fumé, Ouef Poché/Poached Egg and Smoked Salmon Salad
・メイン:ハドック(コダラ)のカニ・ホワイトバワーソース/Aiglefin, Beurre Blanc au Crab/Baked Haddock, Crab White Butter Sauce
   マッシュルームのリゾット/Risotto aux Champignons Sauvages/Mushrooms Risotto


ところで、私は仕事柄、厨房で困らない&メニューが読める、つまり料理や製菓・製パン用語、ワイン用語と素材(野菜、果物、肉、魚など)程度のフランス語は習得しています。
日常会話だったり、雑誌を読んだり、という一般的なフランス語については、学校に行っていた時期はあったものの、普段使わないこともあってすっかり錆び付いていますが。
それでも食に関するフランス語は接することが少なくないので、こっちはまだ大丈夫で、ほっとした次第。

実際、歴史的&距離的に近いこともあり、イギリスでは特に食に関してはフランス語がそのまま使われることもあり、フランス語知っててよかったなぁ、と思うのはこんなときです。
なので、stragglingでsurvivingな現地のクッカリーコースの日々も、フランス語の食用語が理解できたことで何度助けられたことか!


2017年4月現在、ガーニェは存在しません。
2016年9月に閉店しました。
オープンしたのは2012年7月ですから、わずか4年の開業期間。
ちなみに、ガーニェという店名はオーナーの名前からつけられました。
Andy Hayler’s Restaurant Guide, Garnier
https://www.andyhayler.com/restaurant/garnier



そして、後で知ったのですが、このガルニエ氏とシェフのヘンリー・ハリス氏がオープンさせたレストラン、ラシーヌ/Racineが、ナイツブリッジのブロンプトン・ロード沿いにありまして。
ガーニェが王道クラシック・ビストロなら、ラシーヌは王道クラシック・ブラッスリーといった様相で、
ここも私、気になっていたんですが、一度も訪問できないまま、2015年1月にクローズ。

Henry Harris closes French restaurant Racine
http://www.bighospitality.co.uk/Business/Racine-restaurant-closure


Andy Hayler’s Restaurant Guide, Racine
https://www.andyhayler.com/restaurant/racine


2002年オープンだったので、幾度となく前を通っているのですが、賃料の高騰で撤退という判断をくだしたようです。
いつまでもあると思うな、ですね。。。
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thu 29/10/15


~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○ランチ@パデッラ/Padella(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25657886/
○ランチ@ソム・サー/Som Saa(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25151358/
○カレー・ランチ@インディアン YMCA/Indian YMCA(ロンドン) → http://ricorice.exblog.jp/25683596/
○ロンドンのビストロ・ベスト5 → http://ricorice.exblog.jp/22404966/




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by ricoricex | 2017-04-20 00:00 | イギリスのグルメ店レポート