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イギリスの食研究家、食の編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


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カレー・ランチ@インディアン YMCA/Indian YMCA(ロンドン)


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今は昔、になりつつありますが(賃料の高騰、世界各国&モダンアレンジといった飲食バリエーションの豊富さで、イギリス随所に点在する昔ながらのカレー屋はなかなか厳しい状況におかれています)、
イギリスの国民食といえばカレー。

植民地支配の善し悪しはおいておいて、
ヴィクトリア朝(1837〜1901)を中心とする時代は、イギリスはまさしく大英帝国。
世界からいろんなものを持ち帰りました。

スパイス、そしてカレーもそのひとつ(ちなみにカレー粉は、自分で調合するのは大変だからあらかじめ混ぜとこーぜ!といういわば合理的精神から、イギリス人が作ったと言われています)。
そんななか、ロンドン初のカレー屋さんは登場したのは1810年とか(↓)。
Curry house founder is honoured
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/london/4290124.stm


ヴィクトリア時代にカレーはすでに人気を誇っていたそうです。
ただ、ですね、ここで言う人気とは、あくまでアッパーな方々の間で、だったんじゃないかな、と推察します。
一般庶民が、日本をはじめアジアの国よりももっとソーシャルな場である飲食店で食事をしたとは思えない。しかもエキゾチックなものを日常的に食べたとは考えにくい。
豪華絢爛な面ばかりがクローズアップされるヴィクトリア朝ですが、庶民の生活はうんと厳しかったはず。
だからこそ、ヴィクトリア時代には1500万人ものイギリス人が新天地を求めて、アメリカやカナダなど国外に渡ったわけだし。


では、一体いつイギリスでカレーが“庶民の味”として今日のような市民権を獲得したのか?
1950年代、と私は推察します。
第二次世界大戦が終わり、配給の時代を経て、ようやく平穏を取り戻した時代。
当時のイギリスは現在のようの国境がどうのという時代ではありませんでしたし、とりわけ植民地だったインドやスリランカなどの国との関係は深く、これらの国々から学生として労働者として、多くの人々がイギリスにやってきたのがこの頃。

人が集まればコミュニティができる。モノや食事を提供する場所も生まれる。
ロンドンのフィッツロヴィアは学校もあったり、当時のボヘミアン的な場所でもあったりで、この地にカレー屋さんができ、“庶民の”イギリス人がカレーに親しむようになった、と。
手軽な持ち帰り(テイクアウェイ/Take Away)ができることも手伝い、“安くていけるじゃん!”みたいなノリでわ〜っと広まったのではないでしょうか。

私の考察、実に的を射ていると思います!(自画自賛! すでに論文として成立しているのかな? きちんと裏付けをとる作業をすれば、論文にできそうだな、マジで)


枕が長くなってしまいました。
これには理由があります。現在のようにカレーがイギリスに広く浸透するきっかけとなるべく、“安くていけるじゃん!”と人々が立ち寄るようになったスポットのひとつに、それこそロンドン・フィッツロヴィアにある
インディアン・スチューデント・ホステル YMCA/Indian Student Hostel YMCAがあるからです。
http://www.indianymca.org/
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そう、イギリスのカレーの聖地ともいえる場所です。
もっともここ、Indian Student Hostel YMCAと呼ぶのも、頭文字だけとってISH YMCAと言うのもまどろっこいしいので、
インディアン YMCA/Indian YMCAの方が通りがよく、実際に看板もURLもそうなっています。

YMCAというように、各種の講座やサービスのほか、宿泊施設を兼ね備えており、1泊だけから1週間単位で長期滞在も可能。5週以上の滞在だと、当然、かなりお得。
そして一般に利用できるのが、このインディアン YMCAのカンティーン(食堂)というわけです。要は学食みたいなもんですね。
親切にも、建物の前にはメニューを記した看板が!
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カンティーンは、建物のメインエントランスを入って右手、レセプションの前を通った、大きな扉の向こうにあります。
ホールともいえる広いスペースに、テーブルがだだ〜んと並んでいて、100人以上収容できそうなほど。
学生だけでなく、いかにも近所の人や教授っぽい人や、人種、性別、年齢もさまざまです。
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このインディアン YMCAのカンティーンはセルフ式になっています。
カンティーンの扉を背に、テーブル席の間の通路を通った奥で、まずは料理をピックアップ。
トレイをとり、カレー、ご飯もの、スナックもの、次いで箸休めのチャツネとか、向かいでラッシーなどをとり、カトラリーをのせて、会計。
ラッシーにはふたがしてあります。食べている最中に、カレーが入らないようにってことなんですよね。ありがたや〜!
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席をとっとかなくっていいかって?
大丈夫! 充分なスペースがあるし、ホールスタッフの人が食器を片付けたり水を補充したり掃除をしたりで動き回っていて、彼らが「あそこあいてるよ」みたいに教えてくれます。


私が選んだのは、
・ピラフ/Pilau Rice £2.10
・チキンカレー/Chicken Curry £3.00
ライタ/Raita(ヨーグルトとキュウリなどの野菜で作る箸休め) £0.70
・パパドゥ/Papadom(スパイシーなスナックチップ) £0.35
・マンゴー・ラッシー/Mango Sweet Lassi £1.50
これに税が加わり、締めて£7.65。

驚異の安さ! £10以下でランチ(外食)をしようなんて不可能に近いロンドンで、この値段は破壊的です(2017年4月現在、上記より少〜し値上がりしています)。
しかもどれも量も多いのよ。ありがたや〜。
シンプルに野菜系のカレーとごはんだけなら£5でおつりがきます。
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こういうところは味云々ではないけれど、でもこの値段でこれなら充分、と思わせます。
カレーはひねりのないストレートな本場ちっく。
パパドゥやピラフはマイルド。辛くない!(笑)
(いろんな人が来るから、ってことが一因でしょう)
自分でね、とテーブルには塩、コショウがおいてあります。
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そうそう卓上には水もおいてあるし、冷水機もあります。
頼めば出してくれるけれど、あらかじめ水をおいてくれてるところってイギリスでは珍しい!
まあ、セルフだから言われてから対応するよりは、前もっておいておいた方がいい、ってことなんでしょうが。

カレーは、チキン以外に、ラム、魚、エビ、
そしてベジタリアンもOKの、卵、野菜、ダル(豆)も。
箸休め的な小皿も、ライタのほか、サモサ、オニオン・バジ(インド風タマネギのかき揚げ)、サモサ(揚げ物のスナック)、チャツネなどがあり、
日本の定食屋さんでも小鉢が充実しているとうれしくなるように、心躍ります。


もちろん、インディアン YMCAではイートインのみならず、持ち帰り(テイクアウェイ/Take Away)もOK。ありがたや〜。
毎日開いていて、営業は朝、昼、夜。それぞれセットメニューもあります。

唯一問題なのは、時間。
開店時間がそんなに長くないんですよねぇ。
朝:7.30〜9.15(土日曜は7.00〜8.30)
昼:12.00〜14.00(土日曜は12.30〜13.30)
夜:19.00〜20.30
これさえ気をつければ、ロンドンでお財布にやさしい食事にありつけます。


場所は、地下鉄でいうとウォーレン・ストリート駅やグージ・ストリート駅が近いのですが、正直、旅行者の場合はこれらの駅でわざわざ降りる用事ってほとんどない、んじゃないかなぁ。

e0038047_016112.jpg有名観光スポットでもある大英博物館/British Museumからだと北西西に歩いて15分程度。
なので、散歩を兼ねて、インディアン YMCAへは大英博物館訪問のついでに行くのがいいんじゃないか、ってのが私の提案。
そうそう、日本からの留学生が多いであろう、東洋アフリカ研究学院/The School of Oriental and African Studies(通称、SOAS)は、インディアン YMCA大英博物館のちょうど真ん中らあたりにあります。
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thu 17/11/16


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○寒い日こそカレー! ロンドンのおすすめインド料理店 → http://ricorice.exblog.jp/24070933/
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by ricoricex | 2017-04-11 00:00 | イギリスのグルメ店レポート