いずれ起こるにしても、現時点で起こるとは思っていませんでした。
今年2015年12月9日(水)、こんなニュースが飛び込んできました。
フランスのシャンパーニュメゾン、テタンジェ/Taittingerがイギリスはケントに畑を購入!
これについては、イギリスの各メディアで以下のように報道されています。
Taittinger English vineyard plan marks ‘a new chapter’
http://www.decanter.com/wine-news/opinion/the-editors-blog/taittinger-english-vineyard-plan-marks-a-new-chapter-285168/?platform=hootsuite
Taittinger to plant vineyards in UK
http://www.thedrinksbusiness.com/2015/12/taittinger-to-plant-vineyards-in-uk/
Taittinger Champagne Taittinger to produce English sparkling wine in Kent
http://www.theguardian.com/business/2015/dec/09/champagne-taittinger-to-produce-english-sparkling-wine-in-kent
これまでも、フランスのワイナリーがイギリスに畑を購入するという噂は幾度となくあったのですが、今回は本当です。
そして、テタンジェはイギリスに初進出したシャンパーニュメゾンともなったわけです。
購入した畑は69ヘクタール。うち40ヘクタールほどにシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエを植える予定。
2017年に作付けを始め、早ければ2020年にこの土地で育ったブドウで作ったスパークリングワイン“Domaine Evremond”30万本がお目見えとなることが期待されています。
なぜイギリスにブドウ畑を所有するのか。
理由はいくつかありますが、大きなところでは、土地の値段、が挙げられます。
イギリス南東部は、ナイティンバー/Nyetimber、リッジビュー/Ridgeview、チャペル・ダウン/Chapel Downなど優良なワイナリーが質、そして量を増やしていっていますが、それでも畑の値段は、シャンパーニュに比べると安い。
実際に石灰質の土壌で、地質としては非常に似通っています。
ただし、問題がないわけではなく、テタンジェが購入したケントは海風の影響を受けやすいところ。そこがシャンパーニュと大きく異なり、適したブドウ苗を選ぶ必要があります。
そして、イギリスでスパークリングワインの消費量が伸び続けていることも、テタンジェがイギリスにブドウ畑を購入する理由のひとつでしょう( → http://ricorice.exblog.jp/23982747/)
イギリスでのスパークリングワインの売上げは前年比27%増。しかしながら、シャンパーニュの伸びはわずか1%。
イタリアのプロセッコやスペインのカバだったり(イギリスでは、プロセッコの売上げはついにシャンパーニュを上回りました → http://ricorice.exblog.jp/23942473/)、自国の英国スパークリングワインなどが躍進している中、シャンパーニュはイギリスで伸び悩んでいるのが現状です。
テタンジェの場合、輸出量のうち、約1/4はイギリスであり、大事にしたいお得意先なんですね。
また、イギリスでスパークリングワインの消費が伸びている背景に、パブやレストランなど飲食店の存在もあり、こちらは実に前年比41%の伸び。しかしながら、こちらもシャンパーニュの消費はくすぶっている状況です。
テタンジェとしては、勢いがありまだ伸びしろが感じられる今のうちに、イギリスで親近感を持たせる狙いがあるんだろうな、と想像できます。
時代の流れの速さをまたしても感じます。
なにごとも、ステレオタイプや既成概念でものを見てると、とんでもなく時代錯誤になっちゃいそうですね。
~~過去の関連記事も併せてどうぞ
○英国スパークリングワインの売上げが急上昇! → http://ricorice.exblog.jp/23982747/
○プロセッコがシャンパーニュの売上げを上回る! → http://ricorice.exblog.jp/23942473/
○最新・ロンドンのワインバー&ワインに注力したレストラン → http://ricorice.exblog.jp/23240436/
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子』は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。
・プロフィール ・活動内容 ・著書
(↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)
・お仕事・講演などのご依頼は、
chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!