「ほっ」と。キャンペーン

イギリスの食、イギリスの料理&菓子 ricorice.exblog.jp

好きなリンク先を入れてください

イギリスの食研究家、食の編集者/ライター、フードアドバイザー、情報発信サポーター“羽根則子”がお届けする、イギリスの食(&α)に関するつれづれ。


by ricoricex
プロフィールを見る
画像一覧

ジャファケーキってケーキ? ビスケット?


その昔、もう40年近く前でしょうか。ロッテからマザービスケットというシリーズが出ておりまして、CMに登場していたのがアメリカのドラマ「奥さまは魔女」のサマンサ役で知られるエリザベス・モンゴメリー。
このマザービスケット・シリーズに、ビスケットにオレンジジャムがのっかり、チョコレートでコーティングした、ジャフィーというものがあり、これが子どものときに大、大、大好きでした。
ただし、ちょっとリッチめ系のビスケットゆえ、そう頻繁に食べていたわけではないのですが、サクサクしたビスケットに、酸味のあるオレンジ、ビターなチョコレートの取り合わせが絶妙で、夢中になっていたのです。

イギリスに行くようになって、その名もJaffa Cakes/ジャファケーキという代物があることを知りました。
あ〜、これ、マザービスケットのJaffy/ジャフィーじゃん! 
これが、私が初めてジャファケーキを食べたときの印象です。とはいえ、ジャフィーはビスケットであるのに対し、ジャファケーキはビスケットと呼ぶにはやわらかい生地で、大きさも一回り小さい(記憶が正しければ。。。)。でも味わいはジャフィーを思い起こすのに十分でした。
e0038047_182129.jpg

私はやわらかいビスケットがあまり得意ではないので、ジャファケーキは何が何でも食べる、というわけではないのですが、それでもたまに食べたい衝動にかられます。
このジャファケーキ、イギリスではおなじみのお菓子のひとつ。ケーキと呼ぶもののスーパーマーケットなどではビスケットの棚に置かれています。
ケーキかビスケットか。
これが論争ならいざ知らず、裁判を引き起こすことになった歴史があるのをご存知でしょうか。

それは1991年のこと。
ことの発端は、英国内国歳入庁が、ジャファケーキを贅沢品と見なしたことです。
どういうことか、というと、イギリスでは日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)は一律に課せられるのではなく、生活必需品は非課税、贅沢品は課税の対象となります。
この線引きがやけに細かく(内国歳入庁の人間ですら把握していないのではと思えるほど複雑!)、ビスケット自体は非課税、しかしチョコレートのかかったビスケットは課税となります。ところがケーキの場合は非課税。
日本人の感覚だと、ケーキこそ贅沢品で課税じゃないの?と思ってしまいそうですが、ケーキは伝統的ないつもそこにある食べ物、ということで(おせんべいとかそういう感覚なのでしょう)非課税なのです。

となると、ですよ。
ジャファケーキは、ケーキであれば非課税、ビスケットの場合であれば、チョコレートがかかっているわけですから課税商品となるわけです。
内国歳入庁の判断は、ジャファケーキはビスケット。
そこで待った!をかけたのが、ジャファケーキのメーカーであるマクビティ(ユナイテッド・ビスケッツ社)でした(ユナイテッド・ビスケッツ社は現在、Yildizグループのひとつ)。
最初から、ケーキとビスケットの線引きが明確であればこのような事態に発展しなかったのですが、確たる区分が作られていなかったためにどちらともとれるジャファケーキはその区分をめぐって、裁判にもつれこんだわけです。

ビスケット側、つまり内国歳入庁の言い分は、ジャファケーキはほかのビスケットと同じようなパッケージで、同じ陳列棚におかれているではないか、という点。
対して、ケーキであると主張するマクビティ(ユナイテッド・ビスケッツ社)は、ビスケットは時間の経過とともにかたかったものがやわらかくなるけれど、ケーキは逆でやわらかかったものがかたくなる。ジャファケーキは後者であるゆえにケーキ、だと。
証拠として、マクビティ(ユナイテッド・ビスケッツ社)は直径30cmもの大きなケーキを提出したそうです。。。
ケーキとビスケットと、両方の要素を持ち合わせるとしつつ、結果、マクビティ(ユナイテッド・ビスケッツ社)の勝利に。
めでたく非課税商品となったわけです。
とはいえ、最初からメーカーはケーキと呼んでいたじゃないか、という気もしなくもないのですが。。。

ちなみに、このジャファケーキはケーキかビスケットか裁判から約20年後、改めてそのことが記事になっています。
Jaffa Cakes - definitely not biscuits - prepare to take on imitators
http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/9249366/Jaffa-Cakes-definitely-not-biscuits-prepare-to-take-on-imitators.html



そして、そのとき、実はことはそれだけで終わらず。。。
ジャファケーキはビスケット(ややこしいなぁ)とチョコレートの間にオレンジのゼリーが入っているのですが、これが何であるかをめぐり新たな論争が巻き起こったのです。
ジャムかゼリーかというよりも、食品をかためるために使われるゲル化剤が何であるかを見極めようと躍起になったようで。
というのも、含有物によってはベジタリアンは御法度のものがあるからなんですね。


いやはや、なんとも、すごいですなぁ。。。


〜〜過去の関連記事も併せてどうぞ
○イギリスならではの食べ物、いくつ食べたことある? → http://ricorice.exblog.jp/22833681/
○イギリスの生活必需品(食品)の変遷 → http://ricorice.exblog.jp/22779789/
○イギリス人の好物、実は親会社は外国企業 → http://ricorice.exblog.jp/22564336/
○オレンジ風味【Orange Flavour】 → http://ricorice.exblog.jp/3583805/



(↑104の英国お菓子ストーリーを詳しく紹介しています!



↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
・『イギリスの食、イギリスの料理&菓子は“イギリスの食研究家”“食の編集者/ダイレクター/ライター”羽根則子のブログです。

プロフィール ・活動内容  ・著書
 (↑お手数ですが、それぞれクリックしてくださいね)

お仕事・講演などのご依頼は、
 chattexあっとまーくyahoo.co.jp までメールでご連絡を!

by ricoricex | 2015-04-15 00:00 | お菓子