ミッドランズの名前で知られるイングランド北部のエリアに位置する。
しかし、この区分は曖昧で、ノッティンガムシャーはときに、
レスターシャーやリンカンシャーとともにザ・シャーと呼ばれることもある。
また、ダービーシャー北部はサウス・ヨークシャーと一緒にして、
ザ・ノースとされることもある。
ザ・ノースにはイギリス初の国立公園であるピーク・ディストリクトまで続く
ペナインズ山脈が走る。
このエリアはノース・ミッドランズと呼ばれ、
ペナインズ山脈を擁することからもわかるように、地形の変化に富んだ場所である。
現在、多くは残っていないが、かつては石炭産業が盛んだったエリアであるほかに、
渓谷沿いには肥沃な農耕地が広がり、
ピーク・ディストリクト界隈は羊の畜産で知られる。
ほかの酪農が盛んなエリア同様、ダービーシャーもこの土地ならではのチーズを作っている。
プレーンタイプはチェダーを思わせるチーズだが、より強く熟成したフレイヴァーを持つ。
年月をかけて熟成させる方がより味わいが増すが、たいていは若いうちに出荷される。
このチーズのヴェリエーションがセージ・ダービーである。
その名が示すとおりセージが入っているものの、さほどハーブ感は感じられない。
初期の時点においては、このチーズはフレッシュなセージをみじん切りにし、
新しいカードを加える前においてから圧搾されていた。
時により緑色を立たせるためにホウレンソウの搾り汁が加えられることもあったという。
この製法はフィギュア・ダービーと呼ばれ、
緑色を白いチーズに寄木細工のようにはめこみ、視覚効果を狙うために用いられた。
この製法で、クリスマスの時季に作られるチーズもあった。
チェッカーボード・ダービーがそれである。
セージで緑色にしたチーズを、
マリーゴールドの搾り汁で黄金色に輝かせたチーズを組み合わせて作る。
今日、上質なセージ・ダービーを買い求めるなら、
自然のセージを使い、筋のように模様が入っているタイプを選ぶとよい。
このセージ・ダービー、スフレを作るのにうってつけである。
セージの風味と緑色が加わって、ひと味違うスフレができることうけ合いだ。
(・・続 く・・)
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